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模擬(episode122)

ジョキャニーヤとティアの服は決闘のせいでボロボロになってます。今はパジャマ着せられてます。なお、バトルもパジャマでやってたり。

 メアリー嬢がジョキャニーヤさんを専属ボディガードにするとのたまわれた。いや、別にいいんだけどね。八洲に一緒についてくるつもりらしい。


「ジョキャニーヤさん」

「ティア、私の事は呼び捨てにして欲しい」

「あー、うん、ジョキャニーヤ。あのね、八洲に行くのには武器は持ち込めないの。大丈夫?」

「問題ない。身体ひとつで暗殺は出来る」


 そんな答えは求めてないよ!


「安心してください、ティアお姉様」

「お姉様なの?」

「ジョキャニーヤが武器を必要とした時にはいくらでもパラソルグループで用意しますわ!」


 安心出来んわ! というかお姉様って何よ!


「ティア、諦めなさい。世界に冠たるパラソルグループの令嬢と最高峰の暗殺集団と謳われる解放闘士フィダーイーンの頭目だもの。一国を敵に回してもおかしくはないわ」


 私としては一国も敵に回したくないんですけど。あ、八洲は別なの? うんうん、そうだね。鷹月歌たかつかとか四季咲しきざきだけでもどうにでもなりそうだもんね。八洲の八家はどこをとっても一国と戦争が出来るって……バケモノかな?


「もしかして、古森沢も?」

「そうね、硬軟織り交ぜて経済政策と武力で殲滅出来そうだわね。まあやらないだろうけど。あそこは穏健派だし」


 じゃあ過激派ってどこなんだよ!って言いたいところだけど、きっと伽藍堂とかその辺だよね。


「それじゃあまずは買い物に行きましょう」

「買い物?」


 アンネマリーさんの言葉にみんながキョトンとする。


「ジョキャニーヤさんの普段着。あと、ティアのも」


 私の服は魔法付与してるから出来たら自分で何とかしたいんだけど。というかジョキャニーヤさん相手に何とかなったのって服の効果も上乗せされてたからじゃないかな?


「それなら服を買って、そこになにか細工をすればいいのでは?」


 製作段階の付与じゃなくて完成品に対する付与かあ。まあ私にも錬金術があるから大丈夫だとは思うけどね。やるだけやってみよう。


 メアリー嬢が外に出ようとすると、黒服の男たちが三十人くらいついてこようとしていた。いや、あの、さすがに街中を三十人とかの団体で歩きたくないんですけど。というかどこの貴族だよ! いや、貴族みたいなものか。


「不要ですわ! ジョキャニーヤと、ティアお姉様がいますもの!」


 あー、まあ私はともかくジョキャニーヤが護衛として役に立つかは未知数なんだけど。あと、アンネマリーさんは人数から除外してるのね。まあ通訳だもんな。私にはいらないけど。


「そ、そこまで言うのであれば我々を倒してからにしていただきたい!」


 この黒服たちはプロだ。ボディガードのプロ。おそらくは個人個人が特殊部隊とかそういう組織に属していたエリートだったりするんだろう。


「それは、楽しそう」


 ジョキャニーヤさん? 素直に喜んでる場合じゃないと思いますよ?


 私たちが試合をしたコロシアム。というか円形闘技場。後片付けはまだされておらず、ギカールの断罪とファハド王子の王太子就任のパーティが開かれているらしくみんなそっちに行っている。私らは取り残された形だ。


 ちなみにメアリー嬢も最初そこに居たが、裕也さんが相手してくれなかった……もとい、退屈をもてあましたとかで私の様子を見に来たらしい。


 あ、アンネマリーさんはお酒があるのに通訳の仕事で飲めないのに嫌気がさして逃げてきたらしい。後でお酒もらおうね。


「それでは、ジョキャニーヤ、ティアお姉様組と、むさい黒服集団との模擬戦を始めます!」


 さすがにむさいは黒服さん達にあんまりじゃないかな? 確かにむさいって言われても仕方ないと思うけど。


「そちらは本当に二人でいいのか?」

「私とティアならお釣りが来る。問題無い」


 私は問題があると思うけどジョキャニーヤさんは聞いてくれない。


「後悔するがいい!」


 そう言うと黒服たちは三十人全員が銃を取り出した。あー、うん、確かに護衛だもん。銃で制圧するよね。


「水よ壁となりて、飛来するものを押し流さん。水門 〈流水防御リフレクト〉」


 その手は読んでたから詠唱込みで発動。飛来する弾丸は全て叩き落とした。


「銃が、通じん!?」

「ハッタリだ! 撃て、撃てぇ!」


 ハッタリかましたら銃弾叩き落とせるんだろうか? いやまあ飛び道具である限りは全部落とせるけどさ。移動して撃っても無駄無駄。


「ジョキャニーヤ、左からね」

「わかった!」


 そろそろ左側の人数が少なくなってる部分に疲れが見える。練度の差というやつだろうか。飛び出すようにジョキャニーヤさんが駆ける。いや、駆けるというよりは翔けるかな?


 宙を踏む様にジャンプしてするりと集団の中に紛れ込む。人数は五人程度だ。


「なっ!?」

「こいつ!」


 慌てて対処しようとする男たちにジョキャニーヤさんは姿勢を低くしながら攻撃を交わし、足をひっかけて転ばせていく。おそらくは切り落とすことも容易いのだろうけど、密着状態で体積のデカい黒服の男がバランス崩したらどうなるか。答えは将棋倒しだ。


「うわぁ!」


 地面に転がった男たちにジョキャニーヤさんが冷静にトドメを刺していく。この場合、トドメを刺したと判定する装置のようなものが取り付けてあったらしい。ちなみに私とジョキャニーヤさんにもついている。殺さないための配慮というやつだ。


「くっ、くそっ!」


 転ばされて退場させられた五人の方に十人くらいの集団が向かおうとする。私の出番だ。


転倒スネア


 僅かに土が隆起して、足元を取られた男たちがそのまま転んでいく。また将棋倒しだ。まるで将棋だな! いや、将棋は倒して遊ばないか。私の得意な陣形は山崩しだよ!


「お、おい、お前ら、銃はダメだ! 武器を持て!」


 そうして男たちがめいめい懐から武器を取り出す。黒くて硬いパスポート……じゃなくてブラックジャックってやつだ。砂が入ってる打撃武器らしいけど制圧用にはいいらしい。


 闇医者の方じゃないよ。当たり所が悪ければまずいことになるからね。

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