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第九十八話 盗聴

公爵家、リンクマイヤーかリングマイヤーがごっちゃになってきた。この先というかこれからはリンクマイヤーで行きます。というかリンクマイヤーでつけたはずだったんだけど古いの、リングになってたんだよなあ。

「例え、演技と言っても、テオの事を、あれだけ、悪し様に言うなんて、私は、私はぁぁぁぁぁ!」

「おっ、落ち着いて、落ち着いて! そ、それよりもさっきの指輪渡したのはなんだったの?」

「ふう。そうだったわね。私のオリジナルの金門魔法よ。〈盗聴タップ〉というの」


 どうやら石を通じて向こうの音が聞こえるらしい。受信側も同じ種類の石を使わないといけないので用途はかなり限定されるのかもしれない。


「おい、それはさっさと店に戻しておけ」

「あら、私がお嬢様から貰ったのよ? 今後協力していくにしても、期限を損ねるのは良くないんじゃない?」

「くっ、確かにな。まあいい。その分の料金も一緒でいいと言われてるんだ。少し吹っ掛けてやる」

「欲を出して元も子も無くさないようにね」

「誰に向かって言ってるのだ。私はフォーレのトップだぞ?」


 うーん、秘書とトップの会話らしくもない。もしかして二人の関係はより深いものなのでは?


「分かっていますわ。あなたはトップに相応しい方。だから我々も協力したのです。自信をお持ちになって?」

「ふん、貴様ら教団に加えてミルドレッド家。更にヒルダ様の傀儡となったリンクマイヤー家まで手中におさめられればこの国の実権は最早私のモノだ」

「その意気ですわ。応援しておりますわよ」

「もちろんだ。資金はくれてやる。だから今後も頼むぞ」

「お任せください」


 はーっ、教団? 教団ですか? また? いや、確かにこないだから教団関係ばっかりやってる気もしないでもないけど。あ、檮杌とうこつは教団関係ないかな? いや、関係ある事にしちゃえ! ゴルゴム(教団)の仕業だ!


「教団如きがテオドール様に楯突くと? 誰に喧嘩を売ったのか教えてあげますわ!!」

「いや、ヒルダ様。落ち着いて。向こうに聞こえたりしないんですか?」

「こっちは受信専用にしてあるから問題ないわよ! それよりも、教団の奴らがここまで入って来てるとは」

「前にミルドレッド家を襲った奴も教団でしたからね」

「まさしく因縁の相手ね」


 さて、教団が相手となれば直接戦闘能力とか必要になって来そうではある。でも、今回は商人としてフォーレ商会を何とかすればいいのかもしれない。となれば当初の予定通り、私が動くとしましょう。


「ヒルダ様、この辺りで希少なものって何かあります?」

「そりゃあまあ沢山あるわよ。日頃食べる小麦や野菜、肉類、食べ物だって不足する場合もあるもの。もちろんそうならないようにしてはいるけど」


 まあ確かにそうだ。何が希少なのか、分からないし、売れない。私としてはどっかに買いに行って、それを王都に運んで売るみたいな商売をやりたいんだけど。


 フォーレ商会のメインがアクセサリーなどの装飾品なのだから装飾品で勝負をかけたいところ。でも、あいにく私は装飾品に詳しくないからなあ。


「ヒルダ様はどういう装飾品が欲しいですか?」

「テオに気に入って貰えるやつ」

「……ごめんなさい。一般的な貴族の女性はどんな装飾品を欲しがると思いますか?」

「私が一般的ではないと?」

「少なくともテオドール……様に気に入って貰えるやつなんて答えは帰ってこないと思いますから」

「まあそうね。テオにとっては私がオンリーワンだもの」


 そういう意味では無いけどややこしくなりそうだから飽くまで一般論ということで答えてもらおう。


「だいたいの貴族の女性はパーティにつけていくのがメインだから、まず、目立つやつね」


 まず目立つのか。まあこの目立つ、というのもチンドン屋みたいにデカくてテカテカ光ったのとかはダメなんだろう。どこぞのサチコみたいに電飾つけたって仕方ないもんね。


「次に主張し過ぎず、自分自身を引き立てるものであること。もちろんドレスとの調和も取れてる事が前提ね」


 飽くまで主役は「自分自身」であるべきなのだ。アクセサリーが注目されてもアクセサリーばかりに目線がいけば自分がおまけみたいになってしまう。珍しかったら注目浴びるが、自分に似合ってるものがいい。自分という要素を加えてこそ輝くものがいいのだ。


「で、やっぱりそう簡単に真似出来ないもの、だけど、真似したくなるものがいいわね」


 難しいことを言い出した。真似出来ないけど真似したくなる? ううん、気持ちはわかるんだけど。まあ君はオリジナルって言われた方がいいよね。コピーなんかじゃない、眩しいほど輝き出すかはどうかおいといて、なるべく長く使えて、自分の代名詞になるようなものがいいよね?


 ちょっと考えて私の元の世界の流行を……流行を……ええと、ファッションの流行ってどんなのだっけ? いや、だって、私ら、研究所では白い服しか着せて貰えなかったんだよ? それに任務とかに駆り出される奴らはみんな迷彩服とかそういう目立たないやつだったんだもの。


 あ、なんかダンスパーティーとかに行ったやつはそういうの着てた気がする。でも私はその頃能力発現してなかったからなあ。


「ええと、とりあえずどっか行ってみる」

「どっかってどこよ」

「とりあえず国内から頑張ってみようかなと」

「うーんそうね。それなら港町まで行ってみたら? 外国からの船も来てるかもしれないし」


 SOREDA! そう、外国船からの輸入品だよ。なんなら船に乗って外国に行ってもいいしね! いや、外国に行ったらその間にこの国どうにかなるかもしれないけど。


「ヒルダ様、ありがとう。で、その港町ってどの辺?」

「ここから西にずっと行ったら海があるからその辺にあるでしょ。まあいちばん大きいのはアンダーゲートかしら」

「ヒルダ様は行ったことないの?」

「貴族の女性は出歩かないもの。領地と王都の行き来くらいしかしないわよ」


 まあヒルダ様の場合はそれに加えてリンクマイヤーの領地にも行ってたみたいだけど。とりあえずアンダーゲートという街に行ってみよう。冒険者ギルドに行けば行き方とか分かるかもしれない。商業ギルドは……まあ、なんか嫌だし。冒険者ギルドなら顔見知りも居るしね。アンヤ婆は元気かなあ?

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