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賭札(episode96)

テキサスホールデムのやり方はうろ覚えです。間違ってたらごめんなさい。

 カラカラカラとボールがルーレット盤の上を跳ねて数字に着地する。一少なければ当たっていたがハズレはハズレだ。


「ハズレちゃったか」

「惜しかったですわ」

「そうだね。めげずに次に行ってみよう」


 隣を見るとおじいちゃんも外していた。ご婦人とスーツの男も同様に。誰も当たらないという事もあるらしい。そりゃあまあ数字当てゲームだからね。


 ……まあやろうと思えば魔法で玉を操れたりはするけど、そこまでやる気は無い。というかそこそこ負けることが目的みたいなものだ。裕也さんもそれがわかってるんだろう。


「よぉし、次は当てるぞ!」


 なんて言ってても当たらなくてもいいと思ってるに違いない。チップの数が前より微妙に増えてるのも負けを取り戻そうとしてるからではないと思う。


 今度はコーナー二箇所に賭ける。うんまあ確かに一箇所に比べたら当たりやすくはなると思うよ。再びボールがルーレット盤に投入される。カラカラと転がり、また近くの数字へ。二回連続近くに落ちるなんて不幸だろう。見るとおじいちゃんは当たったようで小躍りしながら喜んでいた。


「どうじゃどうじゃ、参ったか!」

「確かにこれは参りました。お見事です」

「滝塚様は惜しかったの。もうちょいズレとれば当たっとったものを」

「そうですね。口惜しいですよ」


 そういうと先程の量よりも少し増やした額を今度は三箇所に賭けた。この人がもし凄腕のディーラーとかで狙った場所に落とす技を持ってるというならこれだけ賭けても当たらないと思う。


「では、参ります」


 ルーレット盤にまたボールが投入されて……


「よし、この数字とこの数字にベットだ」


 コーナーベットから外れてる数字にの間にスプリットベットする。金額は、コーナーの二倍。そして「ノーモアベット」のコールが響く。ルーレットで賭けれるタイミングはボールを投げ入れる前まで、ではなく、このノーモアベットが宣言されるまでだ。当然ながらルーレットにボールを投げ入れたあとも出来る。


 カラカラカラとボールが回り、裕也さんの賭けた数字にボールが落ちてきた。なるほど。やっぱりこの人はボールを狙って入れることが出来る人なのか。


「負けたわ」

「いえ、お見事なわざでした。気付かなければダメだったでしょう」


 裕也さんは払い戻しを受けて、次はカードゲームのテーブルへ。ポーカー、ブラックジャック、バカラ、こいこい、花合わせ……トランプだけじゃないみたい。後ろの二つは花札のゲームなんだそうな。


 そういえば○リオカートの会社が元は花札会社だと聞いたことがある。タケルかがドヤ顔で言ってた。裕也さんはポーカーの台へ。どうやら心理戦はお得意らしい。私? 私はババ抜きでも負けると思うよ。顔に出るらしい。


「よろしくお願いします」


 裕也さんの卓には太ったオバサンと指輪をガチャガチャにはめたターバンの男と、ちょっと悪そうな人相の奴、そしてディーラーが居た。ディーラーは男性。痩せ型のスマートな人だ。


「おや、新しい方ですね。皆様、よろしいですか?」

「構わんよ」

「私もいいわ」

「ああ」


 どうやら台の人の賛同が得られたので席に着く。隣にいたガラの悪い男が私のおっぱいに目がいっていた。


「ひゅーっ! いいもん持ってんじゃねえか。どうだ、一晩。そこのお坊ちゃんよりは満足させてやれるぜ?」


 満足も何も私は未通女おぼこなのでよく分かりませんね! いや、貴族の閨教育は受けてるのでどんな事をやらされるのかは分かるんですけど。貴族の下の方の女の子は色々学ぶんですよ。嫁入りのために。


「ははは、勘弁して貰えますか? 彼女はぼくの婚約者フィアンセなので」

「そうかそうか。まあいい。それならお前をカッぱいで、借金のカタに貰うとしよう」


 いやらしい笑い方をする。まあこいつくらいなら私一人でどうとでも出来るけど、ここで騒ぎは起こしたくないよね。


「では、始めましょう」


 ディーラーの手からカードが各々二枚ずつ配られる。あれ? 私がタケルや凪沙とやった時は五枚配ってなかった? 裕也さんは何も困った様子もなく、カードを見て「コール」と一言言いながらチップを出した。他の人もコールを宣言。


 次にテーブル中央に三枚のカードが配られた。スペードの三、四とハートのエース。このカードはみんな使えるらしい。手札とこのカードを使って役を作るんだって。どんな役が出来てるのかは教えて貰えなかった。私が顔に出るから見ないって言ったんだけどね。


「コール」


 裕也さんはそのままらしい。他の人は「フォールド」と言って降りたのが二人。チンピラ、ガラの悪い男は「レイズ」を宣言した。これはいい役が入ってるのだろうか。


「受けます。受けてコール」


 裕也さんは変わらずコール。ここで四枚目のカードが中央に置かれる。ダイヤのクイーン。なるほど。バラバラだ。


「オレもコールだ」


 そしてそのまま最後の一枚が中央に置かれる。スペードの六だ。これで五枚が出揃った。男はニヤリと笑いながら「レイズ!」と力強く言った。どうやら余程自信があるらしい。裕也さんはそれを受けてコール。淡々としている。


「それでは、ショーダウン」


 手札と組み合わせて見せる番だ。チンピラは手札を公開する。何と手札でエースが二枚ペアが出来ていた。スペードのエースとクラブのエース。場にあるハートのエースと組みあわせてエースのスリーカードだ。


「どうだ!」


 鼻息荒く手札を見せびらかすチンピラに裕也さんは静かに手札を公開した。手札はスペードの八と九。ペアすら出来てない。最悪だ……ってあれ? もしかしてフラッシュ出来てる?!


「フラッシュだ」

「な、なんだと!? お、おい、それじゃあ最後の一枚が来なけりゃお前、ブタだったんじゃないか!」

「そうだね。ハイカードだったろうね」


 場にエースがあるので手元にある一番高いカード、九が基準となっただろう。出来てなきゃ負けてたんじゃない?


「イカサマだ! イカサマしやがったな!」


 チンピラが興奮してバンッと台を叩いた。

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