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滑雪(episode80)

作者はスキー一回しか行ったこと無いです。

 アンブロジアが育つまでは私の生活も特に変化はない。育てながらパチンコ屋で仕事をしてる。時々、メイド喫茶に臨時のバイトに誘われたりするけど。まあ気晴らしに行ったりすることもある。あれから変なのは来てないんだって。さすがは四季咲ってところかなあ。


 そんなこんなで日々の生活がのんびりと過ぎていくのに堪能していると、オーナーからデートのお誘いがあった。


「スキー、ですか?」

「そうそう。ちょうどスキー場をオープンさせる親戚が居てね。一緒に若い子もどうかと」

「えーと、私とオーナーだけですか?」

「とんでもない。タケルはもちろん行くし、恐らくは凪沙も行くだろう」

「あ、じゃあ行こうかな」


 という訳でその他にも興味のありそうな人を含めてスキー旅行へと相成った訳で。未凉みすずさんはマコト君とデートだから行かないって言ってた。大変仲がおよろしいようで。


「ウェイウェイウェーイ! 冬と言ったらスキーっしょ!」

「ゲレンデに舞う人影、颯爽と滑っていくオレたち。控えめに言ってサイコーじゃね?」

「キミの視線はイタダキだぜ、コネコちゃん!」


 当然のように三馬鹿も来た。早まったかな? いや、でも、タケルも凪沙も来てるんだから私だけ来ないという選択肢はないはず!


 スキー場は古森沢の一族の経営らしく、オーナーとタケルはここの支配人と面識がある様だ。昔話に花が咲いている。凪沙は……タケルの昔話に食いついていた。あーうん。私は興味無いけど凪沙にはお宝話なのかもしれないね。というか昔から知ってる仲なんだからそのエピソードとかも知ってんじゃないの?


「やっと二人きりになれましたね、ティアお姉様」


 そんなぽつんと取り残された私に近づいて来るのは保乃やすのさんだ。あれから仕事中は真面目にやってるけど、休憩時間とか仕事終わりにはベタベタとくっついて来るようになった。いや、まあそれはそれでもいいんだけど、やたら密着度が上がってくるんだよね、ほっとくと。


 今回の旅行も凪沙はそっちのけで私の方に擦り寄って来てるからね。まあ凪沙はタケルにベッタリで幸せそうなんだけど。


 旅館に荷物を置いて、スキーのウェアに着替える。今回、女性陣のウェア代はオーナーが出してくれました。私が持ってないって言ったらあれよあれよという間に買い揃えるって話になってて引きずられるようにスポーツ用品店に行ったんだよね。


 スキー場に着くとゲレンデと呼ばれるスキーを滑る場所には人が沢山居た。リフトと呼ばれる機械に乗って滑る場所まで登っていき、そこから滑り落ちるらしい。えっ、降りる? いやいや、落ちるでしょ。って言うか落ちるよ!


 インストラクターとか呼ばれる顔面偏差値の高そうなチャラ男が私たちのコーチらしい。私、凪沙、保乃さん、そして同僚の女の子たち。頭の軽そうな女の子たちはインストラクターに群がってたけど、私と保乃さんは凪沙に教わっていた。


 凪沙、スキーなんか来たことないらしいんだけど、滑れるんだって。意味わかんないよね。私はちょっと難しいかなあ? 保乃さんは転びながら凪沙に教えて貰ってたけど、あの転び方って危なくないように転んでるから、もしかしたら滑れるのかもしれない。


 私も滑れる様に身体強化はしておく。というか、身体強化掛けてたら転んでも痛くないと思うんだ。まあ、頭から突っ込んでも大丈夫だと思うんだけど。


 きゃあきゃあとやってるのを横目で見ながら、私は私の練習をしていたら、インストラクターが私のところに来て教えようとしてきた。


「ああ、違うよ違う。もっとこういう風に」


 そんな事を言いながら身体を触ってくる。有り体に言って気持ち悪い。凪沙は滑れるから結構です、って断ってた。というかタケルと一緒にいればいいのに、って思ったらタケルはスキー滑れないから旅館で待機してるんだって。なんで来たんだよ。あ、オーナーに誘われて断れなかった? いや、それにしても凪沙が滑ってんだから滑ればいいと思うんだ。


 練習用のなだらかなコースで初心者の私たちは滑る練習をする。インストラクターの人は教えるのが本職だから上手いと思う。割と直ぐに滑れる様になった子が次々と出て来た。


 凪沙は私のことを心配しながらも上級者用のコースに行くらしい。あの、凪沙って未経験じゃなかったっけ? コツは掴んだから大丈夫? さすがというかなんというか。


 凪沙が上級者コースに行くのに保乃さんもついて行った。やっぱり滑れるんじゃないか! 凪沙が心配してたけど、どう見ても手馴れてる感じがしてるんだよね。


 私は初心者用コースを何度か滑って中級者用へ。そこには三馬鹿が居た。こいつら滑れるのか?


「来たね、コネコちゃん!」


 三馬鹿の鹿、鹿島が私に指を突きつけてくる。なんでも私を待っていたらしい。いや、実際は女の子を待ってたけど誰も来なくて寂しかったそうだ。そりゃあそうだよね。初心者用コースにはインストラクターの周りに女の子たちが群がってて、凪沙と保乃さんは上級者用コースだもん。


 三馬鹿は初心者用コースだとインストラクターの顔面偏差値に勝てないから中級者用コースで張ってたんだと。涙ぐましい努力である。それでも彼らはそこそこ滑れることには変わりない。華麗、というにはドタバタしてるが、普通に滑っていく。スキーで魅せるというのは悪くないのかもしれない。


 まあ、私はいくら上手く滑れてもそこに評価は付けれないんだけどね。滑れたからなんなんだ、としか思わない。出来るならいいけど、出来なくても構わないんだよね。実際、タケルもオーナーも滑ってないし。というか何しに来たの、あの二人は。


 中級者用コースに踏み出す。スキーの操り方はだいたい覚えた。上級者用コースだと地形の変化に対応出来ないかもし!ないから、ある程度傾斜の緩やかな中級者用コースで練習する必要があると思ってここなのだ。


 雪に反射する光に目を焼かれない様にゴーグルをつける。まあ遮断する魔法使えば大丈夫なんだけど、いちいち魔法使うのもね。あ、寒さの軽減はしてる。寒いの苦手だし。

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