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畑造(episode77)

やる前には確認しましょう

 ある晴れた日曜日。いや、私は日曜日じゃなくても構わないんだけど。たまたま凪沙の休みが日曜日だったし、タケルは市場が閉まってる日曜日の方が都合がいいとの事で日曜日になった。


 私? あー、まだ職場復帰してないよ? オーナーからはいつでも戻っておいでって言われてるからお言葉に甘えて育毛剤が出来るまでお休みしようかと。


 場所はそれなりに広い場所。タケルの私有地なんだって。こういうの、タケルよりも諾子さんが持ってるイメージだったけど、タケルも持ってるんだね。


 タケルに畑になりそうな場所を提供して欲しいって言ったら快く、この場所を提供してくれた。えっ、脅してないよ! カツアゲちゃうわ。


 ちなみに荒れ放題で草ぼうぼうなんだけど、この土地で何やるつもりだったんだ……えっ、秘密? 特に凪沙が居る時は? あー、私はちょっと鈍感だからわっかんないなー(棒読み)


 まあ、今は使わないみたいだし、家を建てる時は返せばいいよね。えっ、家を建てるなんて言ってない? あーちょっと早とちりしちゃったなー。早めに言ってね?


 さて、土地の持ち主の許可も出たことだし、畑にしちゃいましょうか。八洲の法律では農地を宅地にするのはなんかややこしい手続きが必要だけど、宅地を農地にするのは問題ないんだって。ただ、税金的に優遇されたかったら手続き取った方がいいらしい。あー、まあ私はその辺別に気にしないんだけどね。


 まずは畑にする場所を綺麗にする。雑草の除草作業や、石などを取り除く作業だ。ちまちまやりたくないから普通に魔法でやらせてもらおう。小さなゴーレムを土門で作って除草作業をやらせる。大きいのは私には無理だから小さいのをいくつか作った。雑草は根絶やしにして構わないのでそのまま指示を出す。


 待ってる間、凪沙がお弁当作って来てくれたらしい。最近練習してるみたい。花嫁修業かな? うん、小さくて可愛いお弁当にご飯とおかずがバランスよく詰められてる。お箸を使うのも慣れたから器用に箸を使って食べる。うん、美味しい。諾子さんほどでは無いけど十分美味しいよ。


 タケルの方はなんか五段のお重のような物が見えるんだけど、気の所為かな? 気の所為だよね? ひとつのお重にはぎっしりとおにぎりが入っていた。愛情込めて握ったんだね、分かります。私の弁当箱はご飯が無造作に入れられてたけど。というかタケル一人で食べられなくない? だいたい五人以上だよね、五段って。


「タケル、沢山食べてね」

「あ、ああ、うん、いただくよ」

「うふふ、嬉しい」


 凪沙の輝く笑顔! こうかはばつぐんだ! いや、いざとなったら私が貰って晩御飯にするし、気にしないで頑張って。


 昼食食べて少しした辺りでゴーレムが作業を終えたらしい。雑草は綺麗に取り除かれて、地面が顕になっている。そこに土門の魔法をかけて掘り起こす。これは向こうの世界でもやられていた一般的な方法。学生のお小遣い稼ぎらしい。


 土を少しばかり掘り起こしたら土をまぜまぜする。レッツラまぜまぜだ。これは土の中に空気を入れるためのものらしい。あとは土を細かく砕くって意味もある。


 で、ここからなんだけど、タケルが言うには八洲の土壌は酸性らしい。鑑定でも出てる。だから、弱酸性にする為に塩基性の灰などを撒くらしい。あ、これは知ってる。動物や魔物の死骸を焼いた灰を畑に撒くんだよ。そうしたら栄養が混ざっていい畑が出来るんだとか。どうやら酸性と塩基性の知識がそういう風に理解されていたらしい。科学的では無いのにそういう結論に辿り着くのは面白い。


 今回は何の灰でもいいって事で、除草した雑草を燃やした物を使った。どの道処分しないといけなかったから、妥当な使い方だと思う。


 そこまで来たら肥料を蒔いて土を肥えさせる。この肥料は私が作っても良かったんだけど、ホームセンターとかいうところで売ってたのでそれを買ってきた。お金で済むことならお金を使った方が手っ取り早いって話もあるしね。


 畝というものを作るといいらしい。そんなこと、元の世界ではしてなかったけど、なんか根を伸ばすのに必要なんだって。だから教えられて畝を作ったよ。


 さて、ここまでしても植えるものはアンブロジアしかないというのはいささか寂しいものがある。確かに珍しい作物でなければ育てる意味は無いのだけど……あ、そういえば女神様ポンコツやキューさんと食べた甘藷とかいう芋は美味しかった。あれも作りたいな。


 なんでもさつまいもという種類の芋らしい。タケルが教えてくれた。種芋を買ってきて植える。大きく、美味しく育って欲しい。


 タケルに見てもらおうと思ったんだけど、なんかお腹が膨れて動けないそうだ。心中お察しします。凪沙、お家に送ってあげて。そのまま泊まってもいいから。私が許す。凪沙がタケルを引き摺って帰っていった。まあそうなるよね。


 アンブロジアに鑑定をかける。育てかた間違って無いよね?


【アンブロジア:直射日光の良く当たる、水が多くある場所で育ちます。風通しがいい場所がより生育に適しています】


 あれ? 水が多くある場所? そういえば、アンブロジアを取る時ってれんこんみたいに水から引き上げてた気がする。あー、しまった、畑じゃダメじゃん! 池、池にしないと!


 大急ぎで池を掘り、そこに水を入れようと思ったが、こういうのは川から水が流れてないとダメなんじゃないかな? 魔導具で何とかするのもありだけど、盗まれたりしたら困るしなあ。近場に川は無いし、どうしたらいいのかな?


 いや、前向きに考えよう。畑にこだわる必要はなくなった。ええと、調べてみれば……なになに? 容器を用意して、土入れて、水入れて……あれ? もしかして畑必要なかった? ま、まあ、色んな野菜も育てられるし、問題は無いよね。畑は畑で頑張って、アンブロジアは家の自宅で育てた方がいいようだ。水足りなかったら魔法で足せるしね。ごめんよ、タケル。私はあなたのお腹を壊させる事しか出来なかったみたいだ。安らかに眠って欲しい。

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