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高峰(episode72)

チョモランマ登山編スタート(適当)

 なんかタケルに必死で止められた。いや、別にいいじゃん。八千メートル程度でしょ? 一万メートルくらいまでなら空を飛んだ人だって居たみたいだし。いや、私じゃないけど。飛行魔法とかよく分からないからさ。木門か金門って聞いた記憶もあるけど、今は失われてるからね。


 それに比べれば地面のある山を足を使って登るんだから大したことないない。いや、山登りはそれなりにキツいと思うけど、私には魔法があるから身体強化すれば疲労はそこまででもないと思う。


「はあ、まあ分かったよ。ティアが何やりたいのかは分からないけど、それでも護衛くらいはつけて欲しいんだけど。十条寺なんでもや辺りに知り合い居ない?」

「ええと、居ないことはないけど」

「それならそっちで手配した方がいいよ。チョモランマともなればそれなりのツテがいるだろうから」


 タケルが言うにはシェルパを雇え、との事だった。検索検索ぅ。えーと、なになに? チョモランマの南嶺に暮らす少数の山岳民族? 現地人? あ、もうひとつ意味があった。チョモランマの案内人のこと。なるほどなあ。山を知ってる人を連れて行け、という事かな?


「という訳なんだけど、誰か心当たりいない?」

「久々に会って言うことがそれ?」


 私の前に居るのは妖世川の才女、アンネマリーさん。連絡したらヨーロッパを歴訪して帰ってきたところだと言うので、空港に迎えに行ったのだ。なんか赤毛がくすんでますけど、大丈夫かな?


「はあ、まあ私はこれから休暇だからついて行く分には構わないわよ」

「えっ、アンネマリーさんも行くの?」

「あんた現地の言葉喋れるの?」

「アンネマリーさんは喋れます?」

「まあいくつかは大丈夫だと思う」

「すごーい、多才だね」

「まあ一般人よりかは。それより、ガンマには声掛けたの?」


 突然ガンマさんの名前が出た。いや、アンネマリーさんは妖世川がいむしょうだから誰か知り合いにシェルパ居ないかなって思っただけでガンマさんには声掛けてない。


「先に十条寺なんでもやじゃないの? まあいいわ。……もしもし、ガンマ? 今時間ある? は? あなたの後ろに居るの? 何言って……」


 アンネマリーさんの背後の席から三つ編みメイドさんがすっと立ち上がった。なんで居るの!?


「お二人とも、偶然でございますね」

「なんでここに居るのよ?」

「先程も申しました通り、偶然でございます。午後のコーヒーなどを嗜んでおりましたところでして」

「いつからつけてたの?」

「まあ心外です。私が尾行などと……そうですね、空港でティアさんがアンネマリーさんが出て来るのをはしゃぎながら待ってた辺りからですかね?」


 ちょっと、どこから見てたの? いや、絶対空港に行くよりも前から居たよね? いつから? いつからなの?


「はあ、まあいい。とりあえず十条寺に連絡取りたいと思ってたんだ。誰か山を案内できる知り合いは居ない?」

「チョモランマともなれば人を選びますが、居ない訳ではいません。現地の人間を雇用してありますので行けば何とかなるかと」


 十条寺の手は海外にまで伸びているらしい。現地に待機してあるのがもう最高に意味がわからない。


「妖世川も海外法人あるけど、十条寺も大概ね。まあいいわ、そこで。紹介してよ」

「もちろんです。三人で行きましょう」

「人の話聞いてた? 三人じゃなくて行くのは私とティアよ」

「そんなのってないですよ。私たちお友達じゃありませんか」


 この場合、凪沙はいいのだろうか? って思ってしまう。まあ凪沙はタケルのそばを動かさない方がいいだろうし、あまり頻繁にパチンコ屋を休ませても良くないだろう。収入がね。いや、いざとなったらタケルの嫁になって主婦やればいいと思うけど。


「はあ、わかったわよ。出国手続きは三人分でいいのよね?」


 どうやら面倒な手続きは妖世川の方でやってくれるらしい。さすがアンネマリーさんだ。


「それじゃあ、登山用装備を用意して、一週間後に出発ね」

「今から行かないの?」

「段取りが間に合わないわよ!」


 なるほど。まあダンジョンに入る前も、遠くの街に行くのも準備をして旅立つもんな。まあ、私が家を出てきた時はそこまで準備してなかったけど。もう一刻も早く縁を切りたかったからね。


 それから一週間ほど、私はパチンコ屋で頑張って働いた。というかさすがに何日も休む事になるので、その前に働きダメしとこうと思ったんだよね。いやまあいてもいなくても同じだって言われるのは分かってんだけど。


「で、あんたはその格好で来たわけ?」


 私の格好はハイキングスタイル。スニーカーにデニムのボトムス、スカートだと歩きにくいからね。帽子も買ったよ。やっほー。テントはまあいいかなって思って持って来てない。


「山を舐めてますね」

「あんたね、大山だいせん登るのでももっとマシな格好するわよ!」


 そんなこと言われても登山コーナーに行って店員さんに聞いたらこういう格好が好まれるって言われたんだもん。


「そ、れ、は、間違ってもチョモランマに登るなんて思われないからよ!」

「言ったもん。どこに登られるんですか?って聞かれたからチョモランマって言ったもん!」

「店員さんはなんて?」

「まあ、すごいですねって笑ってくれたよ」

「絶対冗談だと思われてるやつ!」


 アンネマリーさんは頭を抱えた。そんなアンネマリーさんの装備は普通のOLみたいな格好のスーツなんだけど?


「私は交渉役だから山に登らないわよ?」

「ええー、一緒に行こうよ」

「いやよ! 私は頭脳労働系なのよ。それより、ガンマはなんでメイド服なのよ!」

「メイド服は万能の装備。登山にも対応していますから」

「そんな訳あるかぁ!」


 空港で騒ぐと迷惑なので必要なものがあれば現地で買う事にした。ちなみに諾子さんから餞別って言われて家族カードなるものを渡された。なんでも好きなだけ使える魔法のカードらしい。海外でも使用可能とか言ってた。あと、お土産よろしくって。何買って帰ろう?

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