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第六十一話 呪縛

リンクマイヤー公爵家崩しの陰謀がここに!

 お手伝いの村娘さんが来て数日。私は雑談しながら女の子たちと仲良くなった。これ、ハーレムルートってやつかな? いや、私は女の子なので女の子に好かれてもそこまで嬉しくはないよ。出来たらイケメンに囲まれたい。グスタフさんは顔というか大きさでアウトだよ。ウィリアムさん? うーん、顔はいいんだけどなんか胡散臭い。


 という事で村娘さんのお話。なんで私の屋敷に住み込んでくれないかというと、まずは、ここまで商人が来ないから。村にふた月に一度くらいの頻度で来る商人さんは村娘たちの楽しみなんだとか。それは確かに。女の子は買い物好きって言うよね。


 いや、それ言うと私が女の子じゃないみたいに聞こえるか。だって、研究所暮らしが長かったからか、あまり、自分のものを買うってのに慣れてないんだよ。だいたい研究所にあるもの使ってたし。というかこっちに来てもギルドや宿屋など仮住まいばかりだったからね。これからだこれから。


 もうひとつの理由はこの館の元の持ち主のせい。村娘のうちの一人が手伝いに来てたんだけど、そのまま館の主人に陵辱されて殺されたらしい。らしい、というのはその村娘が未だに行方不明だからだ。だから村では夜な夜なこの館に幽霊となってさまよってるのだみたいな話があったらしい。


 私? 別にそんな非科学的なことは信じてないんだけど……でも、この世界って魔法って非科学的な事があふんだよね。ならまあ幽霊とかいても不思議じゃないか。特に怖いとかは思わない。


 ホラーなゲームを涙目でやってた八号辺りなら泣くかもしれない。あの子感受性強かったからね。だから夜寝られないからおしっこ付き合ってって転移テレポートで私の部屋に入ってくるんじゃないよ。いや、まあ、当時は私が転移を発現してなかったので、逃げられないだろうという判断かららしいのだが。三号だって発現してないじゃん! あいつは念動サイコキネシス特化型だったけどさ。


 それはともかく、住んでる私がそんなものに遭遇してないので安心して欲しいと言ってみたらお風呂に一緒に入ったり、ご飯を一緒に食べたり出来るようになっていった。これは、素直に嬉しい。


 ここに来る子は三人いて、ベッキー、アンヌ、ラヴィアだ。ベッキーはそばかすがお悩みな元気っ子。掃除が得意でニコニコしながら屋敷中を掃除してくれる。


 アンヌは料理好きな子。少し無口ではあるが、料理のことになるとスイッチが入った様になってしまう。いつも美味しい料理をありがとう。私は転移があるので様々な調味料を時々渡してるのだがそれを宝物の様に愛でている。胡椒をあげた時には瓶を抱いてうふふうふふとニヤニヤしながら床を転がっていた。いや、見ようとして見たわけじゃないよ。ほんとう。


 一番教養があるのはラヴィア。読み書きに簡単な計算まで出来てしまう。元は私が貴族かと思って、その手伝いにと寄越されたらしいが、私は貴族ではないので書類とかそういう仕事はないのだ。なので普段は屋敷の調度品などを整える相談や商人との折衝役を頼んでいる。つまり、やることがないのだ。だって転移で連れてったりしないもん。まあ話し相手みたいな?


「あの、キュー様。私にもなにかお仕事はありませんか?」

「えーと、ごめん。直ぐには思いつかないからちょっと待って」


 こんな会話がよくかわされている。なお、エレノアさんを連れて来た時にはギルドの書類を持ち込んでおり、ラヴィアが居て助かったということが何度かあったので、エレノアさんの心の平安のためにもラヴィアにはいてもらいたい。


 さて、雇う分のお金だが、実はリンクマイヤー公爵様が是非うちに出させてくれと申し出てきた。その代わり私に頼みたいことがあるんだそうな。まあ、エドワード様には心痛も与えた事だし断れないかな。


 という事で久々にリンクマイヤー公爵家に。テオドール……様が迎えてくれた。


「よく来たな、キュー!」

「お召しに従い参上しました」

「堅苦しい挨拶は抜きだ。こっちに来てくれ」


 個室に通された。ここには私とテオドールの二人しかいない。何をするつもりだろうか? まさか私を手篭めに? いや、ヒルダ様という妻がありながら有り得ない。ぶっちゃけ、私がヒルダ様に女として勝ってる部分なんてないのだ。いや、おっぱいの大きさなら若干勝ってるかも?


「お前と話さねばならんと思ってな」

「私には話さねばならないことなんてありませんけど」

「人の話を聞かずに自分の都合のいい様に考え、違っていたら陰謀だ、仕組まれたと話す。正直、貴族として以前に人として生活できるかどうか疑問に思える……お前、私のことを父上にそう言ったそうだな?」


 リ、リンクマイヤー公爵様!? 私の批評を本人に喋っちゃったんですか?! なんで、なんで!?


「いや、不敬罪とかそういうのに問うつもりはない。なぜならあの頃のオレは本当にそういう感じだったのだから」

「えっ!?」


 自覚があったのか。それならなんで今はまともになってるんだ?


「私は呪いに掛けられていた。そしてそれをヒルダとお前が救ってくれたんだ」


 はぁ!? 呪い? 何の話? 私は別に何もしてないよ?


「私に母が居て、それが姦通で離縁されたというのは聞いているか?」

「え? ええ、まあ」


 言い難いことを言うなあ。まあ流れで聞いたんだけど。


「その母が、私の傍に置いておくように、と言って残していった宝石があるのだが……そこに呪いがかかっていたらしい」

「なんですって!?」


 ええと、つまり、呪いをかけたのはテオドールの母親? 自分の息子になんで?


「どうやら母の姦通相手なのだが、教団の息のかかった奴らしいのだ」


 うぉい! また教団かよ!


「まあお前が私を宝石の呪いから断ち切って戦場に連れ行ってくれた事で目が覚めた。本当に感謝している」


 えっと、つまり、転移したから呪いがテオドールを追えなくなって、そのまま呪いの呪縛から解放されたって事? あーまあ、私には魔力ないから転移にも魔力などで干渉出来なかったって事かな?

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