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バスボール  作者: 奈々
1/2

録音書き起こし

【時間】令和6年7月4日 22:00~25:30

【場所】神奈川県C市ファミレス

【人物】マナ、インタビュアー(私)

【きっかけ】マナより「うわさ程度であるがインタビュアーの好きそうな話がある」と持ち掛けられた



「うち、今Y市でキャバ嬢やっているんだけどさ。知ってるでしょ?」


 ――うん。2年目ぐらい?


「3年目に入った。そろそろ今の店だるいし辞めようかなと思ってんだよね。で、体入(体験入店)してたころから一緒だったルミの話になるんだけど」


 ――なんか1回、彼氏を取った取られたみたいな話があった子?


「それはメグミ。え、クソ元カレの話はやめてくんない?」


 ――分かった、ごめん。で、ルミっていう子がどうしたの?


「なんか先月だったかな、いきなり店辞めちゃって」


 ――いきなり?


「それより前から休みがちだったんだよね。遅刻はよくしてたけど休むなんてそんなにしなかったからどうしたんだろうねー、なんて話していたら、突然あたし辞めますっていってそれっきり」


 ――それ以降連絡はとれてるの?


「辞めた日にうち休みだったからいなかったんだけど、意味分かんないからメッセージ送ったんだよね。なんかお店の子たちも『すごいやつれてた』って言っていたから何かあったのかも~なんて言ってたし」


 ――メッセージの返信は来た?


 マナから「店いきなり辞めたって聞いたけどどうしたの? オーナーのセクハラ? ババア? 男?」といった内容の文面が送信されている。(ババアというのはマナと仲の悪い古株の嬢)

 ルナからは「とかさないで」とだけ書かれたメッセージが受信されている。その後もマナからいくつかメッセージが送られているが、すべて既読がついていない。


「どういう意味か分かる?」


 ――いや全然分からないけど。『とかさないで』ってどういうニュアンスなんだろう。髪を梳かすのあれなのか、砂糖を溶かすのとかすなのか……


「で、で、アイナって子がいるんだけどさ」


 ――アイナ。


「仲良かったし何回か泊まりに行って家覚えてるからルナんち行ったんだけどさ、ルナいなかったんだって」


 ――行ったんかい


「代わりに何があったと思う? 大量のバスボール」


 ――……バスボール?


「なんかあれ、入浴剤。あるじゃん、入浴剤の店のカラフルなやつ。アレみたいなのがさ、部屋中に転がっててやばかったらしいよ」


 ――ルナはバスボール好きだったの?


「さあ。太客から大量にバスボール貰ってキショいな話は聞いたかな〜。あ、それだったのかも?」


 ――まあともかく、バスボールを残してルナは消えた……ってこと?


「そうそう。ほら、これ。アイナがルナの部屋から貰ってきたやつをくれたけど、うちいらんからあげる」


 ――窃盗じゃねーか。最悪なリレーをかますな


 もらったのは野球ボールぐらいの大きさの球だった。赤と白が混じり合いさながら肉のようである。

 ラップで包んであるが、なかなかサイケデリックな香りがした。


 ――アイナ、まさか配ってた?


「うん。あー、でもアイナも同じこと言って来なくなったんだよね。2日前から?」


 ――え? 来なくなった?


「なんだろ、呪いだったりして。そうだとしたら爆笑」


 マナから見せてもらったアイナからのメッセージには「とかさないで」とやはり同じように書いてあった。


 ――ちなみにマナは、バスボール使った?


「風呂壊れたからまだ使ってない」


 ――早く直せ



【以下、話題が変わるため録音終了】


 

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