おおかみ
私が入学してから2週間後……
無事に写真部に入部し、大嫌いな授業が始まりつつあるこの日この頃…… 親に入部届を書いてとお願いすると、入りたい部活が写真部ということに驚かれた。やっぱり親も漫画研究部とかに入ると思っていたらしい。いや、私もその予定だったけどね。まぁ、無事に (?)学校生活も慣れてきたってところですよ。今日も今日とて学校に行くんだよぉっ。休みが恋しい。春休みが懐かしい。ニュースで今日はきれいな満月ですよーとかお姉さんが言ってたっけ? まぁ、関係ないですけどねっ。
「つくどり〜」
「はぁ、」
やっぱりせんせーは月彩じゃなくてつくどりって呼んでくる。
「今日、大神が休みだからプリント家に届けて欲しいんだけど…」
はいはい来ました急展開! ラブコメ&恋愛モノでよくありがちな相手が休みだからプリントを届けに行くイベント! まさかこれを消化する日が来るなんて… (私には一生こないと思っていた。)このチャンス逃すまいっ。てか、大神くん休んでたんだ。 (←席隣だろ)でもラッキー。ムフフッ。
「あー、放課後によろしくな」
「あ、はい」
放課後が楽しみっ。でも、私って一応嫌われてるよね? だってあんまり近寄ってくるなとか言われたよね? いや、だるぅ。めんどくせぇ。仕方ない。神様も優しくて意地悪だからな。取り敢えず放課後をドキドキしながら待つか〜。
放課後。
ちょっと浮足立った感じで大神くんの家に突入したいと思いまーす! 遂に念願の (?)イケメンの家に入れる! さいこー。てことでピンポーン。
『はーい』
「こんばんは。大神湊さんと同じクラスの河本です。プリントを届けに来ました」
『河本?』
「え、大神くん?」
『待ってろ、今開ける』
・・・。あれ? 大神くんってそんなキャラだったっけ? いつもなら置いといてとか言いそうなのに…。もしかして私のことがすk…(((
ガチャッ
「!」
大神くんに、大神くんに、耳が生えてる!? もしかして犬耳つける趣味とかあるの!?
「っ」
グイッ
「へわっ」
私は大神くんに手首を引っ張られた。えっ。イケメンの手が私を掴んでるっ。
ガチャン
手首を引くのと同時に大神くんが扉を閉めたからバランスを崩して前に倒れちゃった…。前に倒れたらどーなるかわかる? そう! 大神くんとハグ状態になるんでーす☆ そんなこと言ってる場合じゃないぐらい心臓がうるさいんだけどね。こんなのいつも読むラノベじゃ見てないし、知らないんだけどっ! どうしたらいいの……。
「///ごめん」
顔を上げると顔が真っ赤な大神くんがいる。大神くんもこんな顔をするんだ……。
「大丈夫だよ。それよりも、大神くんは一人で住んでるの?」
私が疑問に思ったのもそのはず。靴箱はカラカラ出し、靴は大神くんが履いている靴しかなかったのだから。まあ、一人暮らしパターンって自宅でハプニングとかあっていいけどね。グフフ
「一人暮らしだけど」
「なんで?」
「お、親は死んだ、から」
「そうなんだ……ごめんね」
「いや、大丈夫……。後、俺って変だろ」
「えっ!? どこが!?」
というと大神くんは自分の耳を指して言った。
「耳だよ」
「犬なの?」
「ちげーよ」
「?」
「おおかみだよ」
「お、おおかみっ!?!? たっ、食べられる!?」
「食べんわ」
「人間……じゃない?」
「人間とおおかみのハーフ。いつもなら耳を隠せるんだけどね……」
「満月……だから?」
大神くんは驚いたような表情を見せて
「あたり」
と言った。
「プリントありがとうな」
「いえいえ……」
こんな少女漫画みたいなことが起きてさいこーですって心のなかで付け加えておく。
「送ってくよ」
「でも、耳は?」
「帽子かぶれば大丈夫だろ。」
いやいや、そういう問題じゃ…
「自転車出すから乗ってけ」
「いや、一人で帰る」
「駄目。女の子を一人で帰らすわけにはいかない」
え、以外 (←失礼)。普段の大神くんだったら一人で帰れよバーカって言いそうじゃん! (バーカとは言わんだろ)
「とにかく乗ってけ」
「は、はい」
結局乗っていく羽目になったんだけどね☆ 大神くんの後ろに乗って腰に手を回すの結構ドキドキしたっ。少女漫画みたいで嬉しい。でも私じゃあなくない!? もっと美少女にやらせろよ! (切実)