1.入学式
狼男___
普段は人間の体をしている
満月、螂ス縺阪↑螂ウ蟄を見ると、耳と尾が生える
最近では多く見られない
絶滅したとも考えられている
基本、冷たい態度をしている
だが、狼姿になるとデレデレになる
桜が満開……というより散りかけている頃、私は高校デビューをした。華のJK (キラーン)だよ! 遂に……漫画やアニメのような恋をしてみたいものだ。そう、私は漫画、アニメ、ラノベが大好きなオタク。それ故に恋なんてしたことがない。世界中の乙女は皆白馬の王子様を探しているけど、そんな人間なんて存在しないの! そもそも白馬とか時代設定大丈夫そ?って感じだし (←メタ発言)まぁまぁ、それは置いといて……高校こそは新たな出会いを求めるぞ!
校門をくぐると、『祝 入学式』と書かれた看板がある。皆そこで写真を撮っているが、興味が無いのでパス。先にクラス発表が気になる。でも、、知ってる人はいないはずなんだけどね。だって、元々いた中学の学区とは遠く離れた私立の高等学校に入学しましたからね! (ドヤッ)教室に向かう為にはやはりクラスを確認しなければならぬ。最初のクラスは大事だ。それによってスクールカーストが決まるからな。あとは、イケメン探し。カーストよりイケメンの方が大事だ! イケメン! イケメン! ごほんっ おっと失礼。見なかったことに。そのまま昇降口に張り出されたクラス表を見る。人だかりができていたが、看板の写真撮影の列ほどではない。
一組 …………………
二組 …………………
三組 …………………
四組 ……河本月彩………………
五組 …………………
六組 …………………
おっ、四組のところに私の名前はっけ〜ん。一応仲良くなるために重要な、出席番号の前後の人見とくか……多分席も近いだろうし。え〜っと、大神湊、菊池梨里フムフムなるほど……。って、大神湊とか言う奴名前的にイケメンだろっ! 早く会いたい…… いや、ここでブスだった場合 (←失礼)大変なことになる。期待はしないでおこう。
クラスも確認したことだし、早速クラスに行こう。まだ硬い上履きに足を突っ込んで一年四組の教室を探し始めた。
五分後。
「あれ〜 おかしいなぁ…… どこにも一年四組がないっ!」
ちなみに迷子ナウ。人が通りそうにない薄暗い廊下だし……。誰かいるかな……? ラノベだったら絶対イケメン男子が『どうしたの?』とか言って助けてくれるのになぁ〜。ずるいぞヒロイン。ヒロインに悪態つくと私はトボトボ歩き始めた。
「すみませーん。誰かいますか?」
私が声をあげるが、あたりに反響するだけで返事は返ってこない。
「う〜ん………」
私がどうしようかと思い座り込もうとしたその時。
「わっ!」
「ヒャァッ!」
「へへっ ビックリしたかな?」
「ビックリした……って誰ですかあなた!?」
「俺はね〜三年二組の田島直哉だよ!」
「セセセセセッ先輩でしたかッッッ!」
「?」
「申し訳ございませんッッッ! 命だけは………」
私が土下座する勢いで言うと、田島さんは
「全然大丈夫だよ〜。君はどうしたの? 新入生じゃない?」
と、胸に付いているリボンに視線を落としていった。
「えっ! なんでわかるんですかっ!?」
「ふふっ、学年ごとに色分けされてるからね。俺の代は青で、二年生は黄色、新入生は赤だよ」
「へぇ〜って普通に感心してしまいましたっ!」
「あはは、面白い子だね」
えっ……なにこれ……これ完全にラブコメなら告白付き合いそうな先輩後輩だよね? 何この展開。
「あの、、私道に迷ってて……」
「やっぱりね。広いからね〜。一年生のフロアまでまで送ってくよ。」
「え、いいのですか?」
「うん! 全然いいよ〜、付いてきて」
と言うと、私は言われるがままについて行った。一年四組のクラスに行く途中で先輩から、
「部活って何入るか決まってる?」
と聞かれた。もしここがラノベの世界なら、サッカー部のマネージャーか、美術部か、吹奏楽部あたりがセオリーだろう。でも、特に考えてなかったから、
「決まってないです」
と、答えた。
「ふ〜ん」
先輩はそう言うと、他には何も言わずに歩き始めた。
気がつくと、そこは一年四組と書かれたプレートのぶら下がった教室に、たどりついた。
「一年四組の教室なんてあったんだ……」
と私が呟くと、
「流石にあるよ」
と苦笑いされてしまった。
「そうだ、君に聞きたいことと言いたいことがあるんだけど、まず君の名前は?」
「確かに名乗っていませんでしたね。私の名前は河本月彩です」
「なるほど、るあちゃんね。可愛い名前」
さらっと褒められてちょっと嬉しいというか、照れる。
「で、言いたいことなんだけど……」
え、まさかの告白? 一目惚れで……とか? それとも実は幼馴染で……とか? いや、ありだよ! だってイケメンだもん!
「今日、部活見学が始まるから写真部に来てみてよ」
「えっ、あ、はい」
な〜んだ。1ミリも告白ではなかった。いや、ある意味勧誘という名の告白か。まぁ、行ってみる価値はあるかもしれない。なので、
「行ってみますね」
と、返事をしておいた。
「じゃあまた、入学式で」
と言うと、先輩は颯爽と去って行った。
私は恐る恐る教室に入った。中はすでに賑わっていて、パッと見女子は3グループに分かれているみたい。1つ目はThe一軍女子。皆メイクをバッチバチにきめてる。肌は幽霊みたいに白いし、まつ毛は校庭の隅にある雑草よりボーボーだ。この学校って一応メイク禁止だったはずなんだけど……。
2つ目は、二軍的な感じ? 皆でグループ組んで喋ってるって感じかな? 3つ目は私もそこに分類されるであろう。群れない人種。好きで群れない人もいれば、ただ単にグループに入れない人もいる。私はどちらかと言うと後者の方だな。自分で言うとちょっと悲しい。ただ運良く席は一番後ろで右隣が例の大神湊って人だった。私はクラスの空気ですよ〜を装って静かに着席する。一応、左隣も見てみるが、まだ来ていないみたい。再び右隣に目を向けるが、大神湊は壁の方に顔を向けて頬杖をついていた。そのため、顔は見えない。けど、雰囲気的にイケメンだろう。教室の女子からちょこちょこ「一番端の男子かっこよくない?」「まさか、イケメンっ!?」「だったら好きになっちゃうかも!」「こっち向いてくれないかな〜?」雑音に紛れるぐらいの声だけどしっかりと私の耳には届いた。私は相変わらず右隣の人を観察し続けた。もしかしたらこっちを振り向いてくれるかもしれない、と思って。3分ぐらい経つとようやくこっちを振り返った。こうなると、なにが起きるかって? 当たり前でしょ? 目が合っちゃうの! 確かに、ラノベではよくあるパターンだし、大事だよ? でも、その立場が私じゃなくて良くない!? だって目が合っちゃったの! しかもガッツリ! 向こうは気まずそうに視線をそらした。個人的には気まずいって気持ちよりイケメンって気持ちが先に来ちゃったけどね☆ (←どうでもいい)まぁ、気まずいので一応挨拶をしよう。
「よろしく、ね、」
とても、イケメンと付き合う主人公がする挨拶ではないね。うんうん。そこは付き合えないだろって突っ込んでくれよ。
「あっそ。俺にはあんまり近づかない方がいいよ」
え、相手から返ってきた返事はそんなものだった。
「う、ん……?」
私が返事をする前に大神湊はまた壁の方に向かって頬杖をした。近づかないで系はやっぱり恋愛でいい要素だと思うんだけど……"あんまり"ってなに!?私が想像してたのは……パターン1 「よろしくね!」と言ってくれる。どちらかといえば犬系。パターン2 「俺に二度と近づくな」俺様系。私は好み。って思うじゃん? まさかのあんまり近づくなって? 想像と違ったんですけど……。一旦置いといていっかぁ! (絶対駄目)。まぁ、のちのちあんな事になるなんて思っていなかったんだけどね。
仕方なく私は他の人達の話を聞いてみることにした。
「なぁ、部活決めた?」
「俺まだ決まってない……。お前は?」
「俺は決まってるぜ、写真部だ」
「はっ!? 馬鹿だろお前!」
「な、なんだよ」
「写真部は勧誘されないと見学にすら行けないんだぞ。ただ、毎年部長が腕のいい人を見定めることができるらしくて、それで勧誘してるんだぞ」
「え……そうだったの……?」
「あぁ、写真部の勧誘は入学して1週間以内にされないと入れないからな。でも、見極めただけあってコンクールでは毎回優勝だ。人数が足りなくても、成績がいいから部活として認められてるって言ってたぞ」
「まじか……知らんかったわ」
という会話が聞こえてきた。ん、まてよ、さっき田島直哉って人に写真部来てねって言われたぞ!? これは運命……。写真部の見学に行かない理由がなくなったぞ…。見学の前に入学式があるけど、、、ちょっと面倒くさい。
「おはようございます」
と言って入ってきたのは男の先生だった。
「今日から君たちの担任を務める、宮出翔です。よろしくお願いします!」
イメージは三十代前半か、二十代後半って感じ。体育会系な気がするのは気の所為にしておこう。
「入学式のことなんだが、はじめに担任が一人ひとりの名前を読んでいくプログラムがあるから、一応名前の読みを確認するぞー」
と言うと、一人ひとりの名前を呼び始めた。私はか行だから、割と早く呼ばれる。
「大神湊くん」
「はい」
『えっ』と誰もが思ったと思う。イケボすぎるんだよぉ!!!!! 顔もイケメンで声はイケボ。完全なるイケメン(?)ですね。
「えぇ……っと、河本つく、どり、……さん?」
「違います。"るあ"です」
「そう読むのかごめんごめん」
すごーい。心に全く思ってなさそうな言い方ランキング第一位はこの人ですって言いたいぐらい気持ちのこもってない謝罪だったわ。まぁ、どうせ3日後には"つくどり"さんになってる。そんな感じで名前の確認は終わった。
「じゃあ、このあと入学式があるからしっかりした態度で挑めよ?」
「「「はーい」」」
入学式は基本面倒くさい。祝辞長すぎ。妄想は捗るけどあんまり考えすぎてると起立のタイミングを間違えちゃうからね。一回卒業式でやったことがあるけど (ナイショ)。クッソハズかった。
「廊下に出席番号順で並べー」
と先生が言った。
うーん……。並んだのはいいんだけど、前の人の身長が高すぎて前が見えないんですけど!? ちなみに大神湊って人ね。うん。背が高い。私に分けろ (むりです)。前の方が体育館に移動しようと動き始めた。体育館には階段を通っていかないと行けないんだけど……。階段って言えば、ラブコメでよくある、コケた主人公 (女子)を男子 (イケメンに限る)がそっと手を出して守ってあげるってやつだよね!? いやむしろそれしかない (?)イベント発生なるか? (←フラグ)
取り敢えず前の列について行って体育館に向かう。流石私立。めっちゃ広い。私が迷子になったのも仕方が無い。前のほうが詰まったのか、急に止まり始めた。これは!!! もしや、例の守ってあげるイベントが、発生するか!? と思うと、コケたのは私だった。なんでこんなときにコケるんだよ!? 運動音痴!!!!!!! 私は見る専だったのにぃ〜。と、心のなかで文句を言った。でもたまには体験してみるのもいいかもしれない。と、コケる瞬間思った。しかし、待ち受けていた結果は、大神湊の背中に直撃。
「いたっ」
幸い、大神湊は転ばなかったから大惨事にはならなかった。
「ご、ごめんなさいッ!!!!!」
「あっそ」
え………そこは『大丈夫?』とかって言ってくれるところでしょッ!? 何よ、『あっそ』って。もう! (フラグ回収)もちろん周りの人に見られました。泣き。視線が痛いよう……。
そんなこともありつつ、無事 (?)体育館に着いた。正確には体育館入口前って感じ? 入場からが入学式らしいからね。あぁ〜、マジでさっさと家に帰りたい。
『新入生の、入場です。拍手をお願いします』
と、マイクを通して司会者の声が聞こえた。始まるぞぉ〜。
『1組』
と、呼ばれると前のほうが少し進んだ。多分1組が入場したんだろう。
『2組』
『3組』
『4組』
私のクラスだ。ゆっくり丁寧に歩いて入場する。色んな人からの視線が痛い。こんなたくさんの人の前を動くことなかなかないから! こっちだって緊張するの! と、心のなかで文句を言う。もちろん聞こえないけど。
『5組』
5組が呼ばれるとちょうど座る椅子の近くまで来た。先生がお辞儀するのと同時に校長先生の方に向かってお辞儀をして着席する。
『6組』
これで最後か。ここの学校は6組まであるから入場が長い。
『これより、第〇〇回。入学式を始めます』
あぁ、始まってしまった……。
『学校長祝辞』
『来賓祝辞』
『祝電披露』
『生徒会長の言葉』
お、そういえば生徒会長って誰なんだろう? 今後の生活の上で、生徒会長ってけっこう大事だからね。校則とか、校則とか、校則とか………。
『皆さんこんにちは!』
ん? なんかこの声聞いたことあるんだけど……?
『生徒会長の三年二組、田島直哉です(キラーン)』
こいつだ!(←失礼)まさか田島先輩が生徒会長だったなんて……しかも写真部! 完璧人かよ……
『桜が咲く、暖かいこの日。着慣れない制服に身を包み皆さんは見慣れないこの学校の門をくぐりました。皆さんは今日からこの高校の一員です。 わからないこと、不安なこと、楽しみなことでいっぱいだと思います。そんな時はぜひ、周囲の先生や大人、先輩たちに聞いてください! 〜〜〜〜、〜〜。〜〜〜』
なんか……元気いっぱいの人だったわ!(自分もね)てか、生徒会長の話は終わったけどまだまだ残ってるんだよね。だるい。あぁ、イケメンが壇上に上がってお話でもしないかなぁ〜 (願望)
『新入生代表挨拶』
お、そういえば新入生代表挨拶って誰がやるんだろう……? まさかイケメン!? (←本日2回目のフラグ)
『一年四組 大神湊』
!!??? (←フラグ回収)
イケメンんんん! 最高だわ。ちゃんと話聞こ。
『春の暖かな日差しが降り注ぐこの日、私たちは着慣れない制服に身を包み、この学校よ一員となりました。〜〜〜、〜。〜〜。〜〜〜〜〜』
いや〜イケボ最高! マジでみんなそう思ってる。隣を見てご覧? 他のクラスの女子までメロメロ♡ なんなら後ろの奥さん方まで……。おっと、担任と目があった☆ 殺気を感じるぜ! そんなことは置いといて……。やっぱりイケメンって得しかないと思うんですよ。 顔はかっこいいからみんなからチヤホヤされるし、声が大体イケボなことが多いですからね。 となると、ここで敵になるのがクラスの他の男子なんですよ (?)つまり、嫉妬しちゃうんですよ。醜いですねぇ(←誰目線?)もしくは男子もメロメロになっちゃうパターンですかね。うんうん結局イケメンサイコー♡ 付き合いたくはないけど (早口)
『これで第〇〇回、入学式を終わりにします』
わお、妄想してたら入学式終わっちゃった。ちゃんと起立のタイミングで立てたかな?