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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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64/70

雌雄を決する……って何かカッコいいよね

 今回、後書きにお知らせがあります。

 ドラゴンが魔力を集め、真のドラゴンブレスの準備を始める。

 いや、もう準備は終わっているのかもしれない。


 多分僕を待っているのだろう。

 直感的にそんな気がした。


 それに応える様に僕は魔力を練り上げ、高めていく。

 魔力を全力で解放し、その全てを精霊紋に流し込む。

 暴れ出す魔力を抑え、一滴も漏らす事無く押し留める。


 《雷の裁き(ジャッジメント)》では足りない。

 しかし《精霊王(イノセント・)の裁き(ジャッジメント)》は使えない。


 リュツィフィエール(失墜した精霊王)を倒した後、考えていた。

 もし、アレに近しい脅威が目の前に現れた時それに対抗出来る手段。

 僕の独自性である刻印術式と多重起動、それに精霊紋を合わせた精霊王の使徒である僕だけの魔法を。


 それを今、此処で放つ。


「〈我、精霊王の使徒也。その力を以て、我が前にある脅威を取り除かん。全ての祖となる無の魔力をここに紡ぎ、紡いで重ね合わせん〉」


 詠唱するのは《精霊王(イノセント・)の裁き(ジャッジメント)》を模した文言。

 独自に改良して、自分の為の魔法に落とし込んだ。


「〈我が手から放たれるは精霊の脈動。魂の奔流。刮目せよ〉《精霊紋(ピュア・)の裁き(ジャッジメント)》」


 ドラゴンに向けられた両手から放たれたソレに形は無い。

 しかし、確かに虹色に輝くうねりが目標目掛けて真っ直ぐに進んでいた。


 それと同時に太陽の様な光を帯びているドラゴンの口から放たれるブレスもまた純白では足りない程の神々しさを持った光の奔流だった。


 地上と空中の境で白と虹の2つはぶつかり、天を2つに分ける。


 地上には虹色のオーロラが降り注ぎ、空の青は白で埋め尽くされてしまう。

 端から見れば美しいとも取れる非現実的な光景。

 しかし、見る者が見れば有り得ない程の魔力がぶつかる恐ろしい光景でもあった。




 もうどれくらい経ったのか。


 一瞬?数分?数時間?


 時間感覚すら消え去る程の全力の一撃を放った僕に残っているのは気力のみ。

 何ならもう座り込んで寝てしまいたい。


 そして、虹色と白の衝突は突然終わりを告げた。


 安心感から思わず地面に腰を下ろす。

 飛びそうな意識を必死に繋ぎ止めて、ドラゴンの方を見ようとするがそれより先に轟音が響き、地面を揺らした。


 一瞬「負けたのか?」と不安になったが、視線の先には魔力が枯渇し、落下したドラゴンが見えた。

 先程の轟音は彼?が墜落した音だと気付いて安堵した。


 しかし安堵したのも束の間、ドラゴンは四本の脚を使って立ち上がる。

 まだ終わりじゃないのかと悪態をつきながら僕もそれに呼応して何とか立ち上がり、まともに動かない右手をあちらに向ける。


『安心すると良い。もう我は其方に向ける魔力は一滴たりとも残っておらぬ』

「魔力は無くてもその巨大で叩き潰すくらいは簡単でしょう?」

『我々竜の力の源は魔力だ。その魔力が尽きれば動く事すらままならぬ。もう我は動けん』

「なら何で立っているんですか?」

『ただの意地だ。負けはしても竜の矜持が敵を前に地に伏せる事を許さん』

「負け……ては無いでしょう?僕も正直今すぐ倒れたいんですから痛み分けですよ」


 お互いフラフラになりながら舌戦を繰り広げるが、あっさりとドラゴンは負けを認め、その理由を話してくれた。


『人間の身で我等力のある者と引き分けたのであれば、それは勝ちと同義だ』

「僕は精霊王の力を借りてるのでズルしているのでその定義に当てはまらない気がしますが……」

『力無き者が様々な創意工夫をするのは当然であろう?それに借り物の力とは言え、それを十全に使いこなしている。卑怯とは誰も言うまい』


 …………本当に敵わないな。

 王が王たる所以が今の台詞に詰まっている。


 でも不思議と悪い気は―――ん?


「もしかして……わざと…………ですか?」


 今の発言を聞くに、先程のエレナーデや僕を見下す様な考え方をしているとは到底思えない。

 その考えに思い至り、思わず聞いてしまった。


『あぁでも言わなければ其方の全力は見られなかったであろう?』


 表情の変化があれば「ニヤリ」と笑っていそうな声色だった。

 結局、僕はこのドラゴンの掌の上だったって訳か。


『それで?其方は我に勝った。其方は我に何を望む?』

「勝ちを譲ってもらって「何を望む?」と問われても言い難いのですが……」

『奪おうが譲られようが勝ちは勝ちだ。さぁ、望みを言うが良い』


 あ、このドラゴン、僕が何を言うか多分分かってるっぽい。

 じゃあ遠慮無く言わせてもらおう。


「それでは、僕と契約をして下さい」

『竜を契約で縛ると?我を従えるつもりか?』

「従える……とは違いますね。仲良くしましょうって感じです」

『竜と仲良く……?其方、馬鹿であろう?』


 ドラゴンにも馬鹿と言われたんですが?

 避難していた3人の方を見てみると、遠い筈なのに首が縦に振られているのがハッキリと見えたのは不思議だね。


「……もう馬鹿で結構ですよ。それよりも契約をお願いします。一応、魔力耐性が高い竜種専用のものを創りましたから多分問題無く行使出来る筈です」

『竜専用……?創った……?其方が……?』

「はい、そうですよ」


 唖然としていたドラゴンが突如吠えた。


 ……いや、頭の中に爆笑と表現して良い笑い声が聞こえるからあれは笑っているんだろう。

 ただ、地面にバシバシ尻尾を叩きつけるのはやめてほしい。

 叩きつける度に地面に罅が入ってるからね?


 暫くして笑いが収まったのか、今度は真剣な眼差しをこちらに向けてきた。


『先の発言を訂正しよう。其方……ロイは強き者だ。その様な者とであれば勝敗問わず此方からも契約を頼みたい』

「それはこちらとしては有り難いですが……」




 え?これ態々戦わなくても最初から契約云々話しとけば良かったのでは?


 そんな言葉を飲み込んで僕は無事、ドラゴンと契約する事が出来たのだった。








 何か腑に落ちないけどねっ!!




 〜お知らせ〜

 本日、19時に2作品の短編物語を投稿予定です。

 もしお時間有りましたらそちらもよろしくお願いします。

 また、ご好評であればそちらを長編として執筆予定ですので、ご意見ご感想又は評価を頂けると励みになります。


 え?今現在投稿が止まってるもう1つの長編はどうしたって?

 そちらはそちらで現在書き溜め中ですのでもう暫くお待ちを…………。

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