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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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結局、力こそパワーなんだよね

『良かろう、其方の言うとおりだ。だが、我を従えるのであれば力を見せよ。その力を認めた暁には其方……ロイに従おうではないか』


 と、言われて結局力で証明するしかなくなった。


 そんなこんなで相変わらず青褪めた表情をしている3人を寝床の端に移動させ、僕が渡した魔導具で身を守ってもらっておく。

 更に寝床周辺に幾つか魔導具を設置して強固な障壁も多重展開済みだ。


 多分、戦いの余波では壊れない…………筈。


『さぁ、思う存分死合おうではないか』

「出来れば死ぬのは勘弁なんですけど……」


 凄く楽しそうな雰囲気が伝わってくるけど、もしかして貴方戦闘狂ですか?


 僕も楽しみかどうかで言えば…………まぁ楽しみだけどさ。


「なるべく辺りに被害が出ないように気を付けて下さいね?」

『それは其方の実力次第だ。では…………行くぞ!』


 ドラゴンが口を開けると、そこに大量の魔力が集まり始めた。

 初っ端にブレスかよっ!


『防いでみよ!』


 集まった魔力が光へ変換され放たれる。

 それはまるでレーザー砲だった。


 それと同時に僕は右手を銃の形にして指先に刻印術式を多重起動させる。


「〈極電磁大砲(ヴォルトカノン)〉」


 以前は発動に数秒程時間を要したけど、あの偽精霊王との戦いを経て、通常の多重起動術式であれば即座に発動出来る様になっている。


 光のレーザーと雷の大砲が両者の間でぶつかりあい、凄まじい魔力の余波が辺りを襲う。


 何とか魔導具は耐えてくれた…………いや、1個か2個壊れてる気がする。

 まぁそれでもこれだけの衝撃に耐えてくれただけで上々だ。


 これで開始直後の名刺交換は終了、続いては技の応酬となる。


 ドラゴンの飛び道具はブレスのみ。

 そんなイメージが強いかもしれないがそんな事は無い。

 勿論、ある程度以上の上位種にならなければその通りなのだが、目の前にいるのは例外中の例外だ。


 物理学に反した羽ばたきで巨体を浮かせ、小さな光弾を無数に展開、某ロボットアニメの無線式オールレンジ攻撃兵器みたいに縦横無尽に飛び回ってこちらを狙い撃ってくる。

 それに対して此方も某聖杯を奪い合うアニメの慢心する王様みたく空中に術式を展開し、そこから雷撃を放って相手のファンネ……光弾を相殺していく。


 後は魔力量次第となるが、いくら僕の魔力量が多いとは言え、ドラゴンが持つソレと比べれば流石に分が悪い。

 精霊紋を使えなくは無いけど、それでもあの時みたいに無尽蔵に魔力を使える訳では無い。

 世界の危機でも無いからエレナーデの助力は乞えないし。


 さて、ここからは分の悪い長期戦だ。

 何処かで挽回の一手が必要になるがどうしたものか…………。






 そこから1時間程経過した……気がする。

 戦いに集中しながらだからそこまで正確では無いけれど。


 相変わらず同じ様な展開が続いているが、先程から時折相殺しそこなったものや不意を突いた光弾による射撃で少しずつ押され始めていた。

 体中に小さな傷が増えてきているのがその証拠。

 一方、相手は雷撃を受けても傷一つ付かず、相変わらず純白を保っているのが恨めしい。


『ふむ……。いくら精霊王の使徒であっても元は弱い人間、この程度か』

「そりゃそうですよ。もう充分ですか?」

『そうだな、正直期待外れだ。其方にも精霊王に―――』


 ドラゴンが最後まで言い切る前に僕の雷撃が相手の顔面に直撃した。


『今のは中々だったな。どうした?図星を突かれて怒ったか?』

「僕が弱いのは本当の事だから何を言われても良い。けどエレナーデの事を馬鹿にするのは…………許さない」


 使わない予定だった精霊紋に魔力を注ぐ。

 注がれた魔力を喜ぶ様に眩い光を放ち始めた。


「ちょっと狡いと思ってたけど、使わせてもらいますよ」

『幾らでも使うと良い』


 精霊紋の魔力を今度は身体中に浸透させ、更に体表面に雷を纏う。


「《雷化(モールニヤ)》」


 雷と化した身体はドラゴンの光弾を物ともせず、一瞬で距離を詰め、飛び上がる。


『なっ―――』


 空中にいたドラゴンに着地して僕は相手の背に優しく触れる。

 そして一言、言葉を紡いだ。


解放(リベレイト)


 刹那、精霊紋の魔力と雷の魔力がドラゴンに流れ込んだ。


『ぬおぉぉぉぉぉ!!』


 これまで僕の攻撃を歯牙にも掛けていなかったドラゴンは苦悶の声を上げる。


 ゼロ距離からの大規模な無属性+雷属性魔法の直撃。

 それ程の威力を油断していた背に受ければドラゴンと言えど一溜まりもない筈だ。


 これは挽回の一手として最初の一手以降、少しずつ練り上げてきた魔力だ。

 多分ドラゴンも気付いてはいたと思うけど最初の一撃の印象が強かったのか、遠距離からの攻撃に意識を割いていたみたいだ。


 直撃を受けたドラゴンは重力に従い落下を始める。

 背に乗った僕も同様に。


 しかし、流石は伝説の生物。


 地面に叩き付けられる直前、大きく羽を羽ばたかせ墜落を避けると同時に僕を振り落として再び空に舞い上がった。


『小癪な真似を…………』

「侮った自分が悪いんですよ。それで?認めてくれましたか?」

『あぁ……。しかし、其方の全力を見たくなった』

「嘘でしょ!?嫌ですよ!?」

『そう言うと思ったぞ。だが……これならどうだ?』


 空中に高く舞い上がったドラゴンは最初と同様……と言うのは烏滸がましい程の魔力を集め始める。

 上空から地上に向かって撃ち下ろすドラゴンブレス。


 いや、違う。

 これが本当のドラゴンブレスなのか。


『避ければ辺り一帯灰燼と化すだろう。それでも嫌と申すか?』

「拒否権は無さそう……ですね!」


 ドラゴンはやると言ったからにはやる。

 生物の頂点に立つアレはその他の命なんてそもそも興味が無い。


「世界の危機……には程遠いけど、もう少し力を貸してもらおうか」


 僕は両手をドラゴンに向けて、魔力を練り上げていく。





 さぁ、本当の力比べの始まりだ。

 ロイが言う通常の多重起動術式。

 ロイが使ってるのは刻印術式なので発動が早いが、本来詠唱術式や魔法陣術式であればかなりの時間を要するし、そもそも多重起動自体が普通じゃない。


 つまり、ロイの普通は普通じゃない。

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