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百聞は一見に如かずと言うけど見ても信じられない事もあるよね

 今回は少し短めです。

 両者、中央で剣を交わす。


 僕は両手に短剣、クラウスは長剣だ。

 因みにこの武器は練武室に置いてある、練習用の剣だ。

 怪我はしないのだが、魔道具の不具合があったら問題なので、念の為とこれを使うのがルール。


 そこから何合か切り合い、一旦距離を取る。


「どうかな?」

「まずまずの速さだが、そんなもんじゃ温いな」

「だよねぇ。じゃあギアを上げるか……」

「よし、来い!」

「言われなくてもっ!《身体強化・加速(アクセルブースト)》」


 自身をスピードを上げる身体強化魔法を付与し、先程よりも更に速くクラウスに斬りかかる。

 しかし、クラウスはそれを簡単にいなし、躱し、受け止める。


「そんなもんか!こちらから行くぞ!《身体強化・筋力(パワー・ブースト)》」

「おっも……。何回もは受け止めきれないか……」


 筋力アップされ、攻撃の重さがえげつない事になっている。

 掠っただけでもその部分が吹き飛ばされそうだ。


「ちょっと卑怯な手を使わせてもらおうかな」


 なんとか攻撃を掻い潜り距離を取って、二本の短剣を投擲する。

 驚きながらも、長剣を使って弾くクラウス。

 しかし、その一瞬の隙を逃す僕ではない。


「《身体強化・加速(アクセル・ブースト)》《二重(ダブル)》」

「なっ……!?」


 身体強化を二重に付与し、先程の倍近い速度でクラウスの背後に回り、その勢いのまま回し蹴りを放つ。

 防ぐ間もなく背中に蹴りを入れられたクラウスはその衝撃で吹っ飛ぶ…………筈も無く、皮一枚で躱し、半回転しながら僕の頭に剣を振り下ろす。


 しかし、ここまで計算通り。


「甘いよっ!」


 耐えるのを見越していた僕は回し蹴りを放った脚に力を入れ、自分で真横に飛ぶ。

 長剣が空を斬り、地面に突き刺さる。

 着地と同時に途中落ちていた短剣を一本拾い、クラウスの脚を刈り取る為に更に加速して駆け出す。


「舐っ…………めるなぁぁぁ!!」

「うっそだろっ!」


 剣の半分程まで地面に埋まっていたにも関わらず、その地面を斬りながら剣を振り上げる。

 マジでこの脳筋王子め!


「こっのぉぉぉ!」


 避けられないと察した僕は身体を捻りながら予定通りクラウスの右脚を斬り裂いた。

 片足を無くしてバランスを崩し、よろけた身体を剣で支えるクラウス。


「いってぇ……」


 その代償として左腕の肘から先が無くなっていた。


「何とか痛み分けだな!」

「普通、あそこから振り上げてくるのはおかしいでしょ……」

「さぁ!これからが本ば―――」

『馬っっっ鹿野郎共ぉぉぉ!さっさと部屋から出ろっ!!』


 耳を塞ぎたくなる様なジン先生の大声が拡声器から室内に響き渡たり、中に入ってくる。

 まぁ、今僕片腕無いんで塞げないんですけどね、ははっ。

 クラウス共々渋々部屋を出た、なお、脚が無くなったクラウスは先生に担がれて。




 部屋を出た僕達の傷は完治し、代わりに正座をさせられてお説教を喰らっている。

 流石ジン先生、王子と公爵家の跡取りに対して一切容赦無い。

 勿論、僕達はその方が嬉しいんだけど。


「良いか、お前ら。クラスメイトにあんな血みどろの戦いを―――って、ロレミュリア、お前何笑ってる?」

「いえ、ちゃんと叱ってくれるなんて良い先生だなと」

「何馬鹿な事言ってるんだ?俺は先生、お前らは俺の生徒だ。当たり前だろ?」

「その当たり前が嬉しいんですよ。ね、クラウス」

「そうだな。俺達は普段父上や母上、屋敷の教育係以外はまともに叱ってくれないからな。そうやって接してもらえるのは中々新鮮だ。これからもよろしく頼む」

「お、おう。なんか分からないけど喜んでくれたら何よ……って、違うだろうが!」


 ジン先生が更にヒートアップしてしまった。

 僕らの脚が限界を迎えた頃にやっと開放される。


「それで?こいつらにちゃんと説明するんだろう?説教の間も待ってくれてたんだぞ?」

「待ってるって分かってるなら、もう少し手短でも……」

「まだ足りないかなー?ロレミュリア君は」

「いえ!充分でございます!」

「じゃあ、俺は帰るぞ。ちゃんと説明しろよ」

「はい、ありがとうございました」

「また何かあったらちゃんと知らせろよー」

「はーい」


 手をひらひらと振りながら練武室から去っていくジン先生を見送ったところで、オズ達に向き直る。


「さて……。説明をする為に教室に戻りたいところだけど―――」








「とりあえず僕達の足の痺れが取れるまで待ってもらって良い?」

「さっき迄あんなにやり合ってた人達にはとても見えないわね、あんた達……」

「ははは……」





 僕とクラウスはそれぞれクラスメイトの肩を借り、産まれたての子鹿の様に情けない足取りで、(感覚的には)教室への長い長い道を歩いて戻った。

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