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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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親友の親からのお願いって断れないよね

 お久しぶりです。

 生活環境が色々と変わり過ぎて執筆時間が取れませんでした。

 これからも不定期になってしまうかもしれませんが極力更新していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

 ドラゴン。


 それは空想上の生き物である。

 いや、生き物であるかどうかも分からない。

 場合によっては権力の象徴的な意味合いもある。


 因みにだけど、ドラゴンを漢字で描くと「竜」。

 日本古来に伝わる「龍」とは違う生き物って事が多い。





 って事はどうでも良くて―――




「ドラゴンの討伐……ですか?」


 皇帝でもあり勇者の末裔でもある親友の父と賢者の末裔であり自分の実父である2人からの命はまさかのものでした。


「あぁ。帝国の南部にある鉱山地帯に住み着いたと報告があった。現状は特に直接的な被害が出ている訳では無いのだが、発見された以上放置は出来ん」

「「直接的な被害は」って事なら間接的にはもう既に?」

「これを見てくれ」


 陛下の目配せで父上が帝国の領土が描かれた地図を広げた。


「現在ドラゴンはここに住み着いている」

「…………ん?ここって確か…………」

「そう、ワイバーンの寝床と言われるワイバーンが住む山岳地帯だ」

「あぁ〜…………成る程」

「察しが良くて助かる」


 つまり、ワイバーンの寝床にドラゴンが住みついた。

 それによってワイバーンが住処を失い、他の地域に流れ出す。

 そうすると今度はワイバーンが流れ着いた地域の生き物が他の地域に…………と、完全なる負のスパイラルが完成してしまっている状況だった。


「ワイバーンはドラゴンの様な規格外の生き物を除けば生態系において最上位に位置する。そんなものが広範囲に広がれば被害が出る事は明白だ」

「更に、その場所の生態系の頂点が変わってしまって、その他の生物が居場所を無くし、本来の居場所では無い所に現れて被害が出てしまったと」

「そうだ。ドラゴンは存在そのものが天災と言って良い。しかし、天災と違って対処出来る」

「まだ傷の浅い内に対処して、元の状態に戻してしまえと」

「その通り」


 陛下が言っている事は正しい。

 正しいんだけど1つ疑問が残る。


「あの……1つ質問を良いですか?」

「勿論」

「それ、僕である必要あります?」


 だってドラゴンなら皇帝を含む英雄の子孫なら対処可能な筈。

 相性次第では1人だと「少し苦戦するかな?」程度。

 それなのに僕に討伐を命じた理由が分からなかった。


「え?だって教師って生徒がいない長期休み暇だろう?」


 あ…………。

 この人躊躇無く禁句を言ってしまった。

 学園全員……いや、異世界含む全世界の教職員並びに保育士の方々が言われたくないワード1位の核爆弾級の地雷を踏み抜きましたよ。


 ほら、貴方の横にいる方から怒気が混じった魔力が凄まじい勢いで立ち上っているよ?

 その魔力だけで多分ドラゴン討伐可能な位に。


「アル…………?」

「ん?何だ?」

「お前……そんな事思っていたのか?」

「え?」

「長期休み中の教師は暇だと?何を馬鹿な事を言っているんだ。良いか?毎日の授業は事前の計画に基づいて行われているんだ。その計画も年間を通して、更にそこから学期毎に細かく分けられている。更にクラス毎の進行状況や急な休校、更に感染症等の出来事がある度に修正をし続けなければいけない。それに加えて年間行事の計画や試験の計画、生徒それぞれの進路相談や質問に応え、生活の指導や親御さんへの報連相……。行事前には残業上等の業務量に膨れ上がる。やる事は山程あるんだぞ?生徒達が休みだからと言ってそれに便乗して休む教師が何処にいると思う?あぁそうだ、いる訳が無い。休める訳が無い。寧ろ休日や長期休みには学園に足を運んで「子どもがいないからゆっくり仕事が出来るー」と言う始末。それなのにお前は―――」

「父上、ストップストップ。話が進まないから後で陛下を煮るなり焼くなり微塵切りにするなり好きにして良いですから。先に話を進めましょう」

「…………済まない。熱くなってしまった」


 父上……だいぶストレス溜め込んでいたんですね……。

 もう少し優しくしよう。


「で?陛下。それ以外にも態々僕を指名した理由はも・ち・ろ・ん!ありますよね?ね!?」

「あ、あぁ。本来は我々が出向く案件だが、その問題のドラゴンが中々に厄介かもしれなくてな……」

「厄介?」

「そうなんだ。通常の個体よりも遥かに大きい」

「古代種…………ですか?」

「可能性が高い。更に……」

「え?まだあるんですか?」


 古代種。

 それは人間が生まれてくる遥か昔から存在していたと言われる個体。

 長命なドラゴンは人間から見れば不老不死とほぼ同等であり、他の生き物と違い長い年月を生きれば生きる程その力と体躯は強大となる。


 その上他の問題があるとすれば何だろう?


「鱗が……白いんだ…………」

「はい?それだけですか?」


 え?白い鱗を持っているだけ?

 アルビノとかそういう種類とかじゃなくて?


「それだけ、と片付けられる問題では無い」

「ここからは私が引き継ごう」


 陛下に代わり父が説明をしてくれた。


 ドラゴンの鱗はその個体の特性や強さをそのまま反映させる。

 赤い鱗であれば大地を焼く炎を生み、青い鱗は大海を支配する。

 他にも緑は風、黄は地、紫は雷等、自然現象を思うがままに操る力を有し、その色が濃ければ濃い程に力を増していく。


 それに準えば白い鱗は…………。


「光…………?」

「そのとおり。しかも純白らしい」


 唯一それと矛盾するのが光の白。

 色が淡ければ淡い程力を増していく性質を持っている。


 一番厄介なのが光属性な点。


「純白の鱗を持つ光のドラゴンであれば精霊王様と同等迄はいかないものの、充分に崇拝の対象にもなり得る。それを帝国民の為とは言え討伐するとなれば…………」

「精霊殺しと同じ扱いを受けますね……。あ、だからですか」


 精霊殺し。

 それはこの世界において最も罪深いとされる大罪。

 件のドラゴンを討伐すればそれと同じ罪に問われてしまう可能性がある。


 だからこその僕。


 精霊王エレナーデに認められた使徒。

 そんな僕であれば竜殺しを成し得たとしても罪に問われない。

 だから陛下も父上も僕に依頼したんだ。


 ドラゴンと言えばファンタジーの定番中の定番であり、某RPGではラスボスだし名前も使われている。

 正直ワクワクする。




 でもそれ以上に…………。




「陛下、父上。先程の命令には従えません」


 僕の発言に陛下は親友の父では無く、この大陸を治める皇帝としての表情になった。


「ロレミュリア、どういう事だ?それは民を見殺しにする事と同義だぞ?」

「ロイ……」


 父上も僕の真意を読み取れず難しい顔をしている。


「必ず討伐する。そう約束する事は出来ません。要は帝国に被害が出なければ良いんですよね?」

「それが出来れば苦労はしないのだが……」


 そう、前提がそもそも間違っていた。


 今回の騒動の原因であるドラゴン。

 そしてその原因を取り除く=討伐と結び付けていたけど、そうじゃない。

 古代種と呼ばれる老齢のドラゴンであれば、僕達の言葉も通じる可能性が高い。


 であれば、先ずは対話を試みる。

 それでもし駄目な場合のみ精霊王の使徒として討伐をする。

 あくまで最終手段だけど。


 そしてもし、僕が考えている事が可能であれば―――


「大丈夫です!必ず!必ず原因を取り除いてみせます!人々にも帝国にも被害を与えずに!」

「どうしたんだ急に……?まぁ、やる気があるのは良い事だ。狂い始めている生態系が元に戻るのであれば手段迄は問わないが……」

「ロイ…………お前、何か良からぬ事を考えているんじゃないか?」


 あ、父上には僕の企みがバレているっぽい。

 色々聞かれる前にここは逃げるのが一番。


「では、皇帝陛下と学園長の命、しかと承りました。必ずやこのロレミュリア=ガストンブルクが此度の件、解決してみせます!では、準備がありますのでこれにて失礼致します!」

「おい、ロイ!待―――」


 父上の静止を振り切って部屋を後にした。

 やべぇ、ニヤニヤが止まらない。




 僕はこの後の事を考えながら、人にはとても見せられない顔で自宅へ向かった。


ロイ「因みに僕の授業計画は、年間目標だけを決めて後はその時その時で変える派」

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