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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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古いものを捨てるのって勇気がいるよね

 悩みに悩み抜いて方向性が纏まったのはそこから更に一週間後。

 初日こそそちらにリソースを割き過ぎて授業中ボーっとしていたけど、次の日からは詰めていくだけだったのでいつも通りに出来た…………と思う。


 何故そこまで焦っていたかと言うのは今日が月に一度の学園長との個人面談の日だからだ。


 同じ家に帰るのだから、自宅で相談すれば良いと思われがちだけど、これは家族の問題では無く職場の問題。

 だとすれば、学園長と一教師として向かい合う場で話すのが筋だと思って急いだって訳。




 一日の授業が終わり、今日の放課後の自主練は見る事が出来ないと朝伝えておいたので、教室を出たその足で学園長室へ。

 幸い、僕が着いたと同時に前の先生が出てきていたので軽く一礼をしてから扉をノックする。

 入室の許可が下り、扉を開けると部屋の中央にある机に父上……学園長であるイーサン=ガストンブルク公爵、左隣には秘書である母上……ミネア=ガストンブルク公爵夫人、右隣にはケラウ=ナーベラ学年主任が僕を待っていた。


「わざわざすまないね、()()()()()()()先生」

「いえ、こちらこそお時間を割いていただきありがとうございます、()()()


 とても親子の挨拶とは思えないが、これをする事で父と息子では無く、学年主任に対して学園長と一教師としての立場で話をする事をハッキリさせる役割もある。


「では早速本題に入ろう。教師の任に就いて一ヶ月と少し、そろそろ慣れてきたかな?」

「はい、お陰様で」

「現在のSクラスの成績やジン先生の報告を見るに問題は無さそうだね。続いてだが、現在何か問題点や悩んでいる事はあるかな?」

「ありがとうございます。はい、一つ相談……と言うよりも提案がございます」

「ほぅ……。言ってみてくれ」


 学園長の目が優しいものから険しいものに変わった。

 下の者から上の者への提案は本来順序立ててしなければいけないが、それを直接行う。

 つまり、村人がいきなり王様に直談判する様なもんだ。


「はい、現在の試験の採点方式とその順位の割り出し方についてですが―――」

「ガストンブルク先生!貴方が口を出して良い事ではありませんよ!一教師……しかも採用されて一ヶ月やそこらで……。いくら学園長の御子息だからと言ってそれは少々無礼なのではありませんか!?」


 僕が話を始めた途端、ナーベラ学年主任が僕の言葉を遮った。

 正直、こうなりそうな気がしていたんだけど、だからこそこの場で提言する事に意味がある。


「確かに出過ぎたマネだと自覚はしています。ですが、現在の方法では一部のみが評価され、それ以外の者が泣きを見るだけです。そんな事をして、国にとって優秀な人材を潰すのは学園として如何なものかと」

「だからそれが無礼だと言っているんです!この学園は代々優秀な人材を―――」

「まぁまぁ、ナーベラ学年主任。話を聞くだけ聞きましょう。それにロイ君?今、この場で発言するって事はそれは親子としてでは無いのよ?」


 話が長くなりそうなナーベラ学年主任を宥めた秘書である母上が僕に対して暗に「優しく聞けないわよ?」と注意する。


「はい、そこは弁えています。ですので、学園長と秘書として僕の立場で僕の提言を聞いていただければ嬉しいです」

「……分かりました。では、ガストンブルク先生続きを……。宜しいですね、学園長?」

「あぁ、続けてくれ」


 不満そうにしている一人を無視して、学園トップの二人の許可をもらったので話を続けた。







「―――以上が僕が考える今の試験に対する問題点です」

「成る程…………」


 僕の話を聞き終わり、顎を手に乗せ難しい顔をしている学園長。

 それは両脇の2人も同様だった。


「問題点は分かったよ。だが、それに対する改善案はどうするつもりだ?直接戦闘をさせるなんて危ない真似はそうそう許可出来ないよ?」

「そうねぇ。先生方が全て相手するにしても時間も人員も足りないわ」

「そもそも魔法師として遠距離からの攻撃魔法は重要であり、有事の際の戦術の要です。接近戦に関しては本来騎士の本分。近接戦闘が得意だが騎士には劣る魔法師となってしまう事の方が多いのもまた事実。評価をそう簡単に変える訳にはいきません」


 3人から言われた事は僕が考えていた事とほぼ同じだった。


「皆さんの仰る通りです。しかし、ナーベラ学年主任」

「はい?何でしょう?」

「今言いましたよね?「接近戦が得意だが騎士には劣る魔法師が()()」と」

「事実でしょう?」

「はい、そうです。ナーベラ学年主任が言った言葉は劣る事実であり、それは変えられません」

「では―――」

「ですが、少なからず「近接戦闘において騎士よりも優れる魔法師がいる」のもまた事実です」


 僕はナーベラ学年主任に……いや、3人に向けてそう言った。






 ここからは僕の持論だ。

 賢者であるガストンブルク家のロレミュリア=ガストンブルクとして。

 魔法論文を世に出すアルベルト=アインシュタインとして。

 そして、この学園の教師ロレミュリア=ガストンブルクとして。




 3対1の不利なこの状況、覆してみせようじゃないか。

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