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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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物には順序があるよね

「「「「「…………え?」」」」」


 皆の目が点になっている。

 漫画で表すならかなり崩れた作画になっていそう。

 でも直ぐに正気を取り戻したクラウスが僕に反論してきた。


「ロイ……先生。当代剣聖であるシリウス様に当代剛壁のゴルド様のどちらか、もしくは両方に片膝を着かせる?無茶を言うな!」

「え?何で?」

「何でも何も無いだろ!最強の剣士と最硬の戦士の二人だぞ!?俺達が―――」

「出来る訳無いって?」


 クラウスの弱腰発言も分からなくは無い。

 僕もクラウスも幼い頃から二人に稽古をつけられており、数えるのも馬鹿らしくなる程に痛めつけられたもんね。

 あの二人は両極ではあるが、少なくとも僕が知る限りの武の頂点。

 普通に考えたら片膝どころか触れる事すら出来ないと思う。




 だけど―――




「絶対出来ないなんて事は有り得ないよ」


 僕がそう言い放つが、それに食って掛かるいつもの女の子。


「馬鹿じゃ無いの!?あんたは出来るかもしれないけど、私達はまだSクラスとは言え学生よ!?重圧に負けて正面に立つだけでも精一杯、場合によってはそれすら出来ないかもしれないわ!」

「流石ヨルハ、よく分かってるじゃん。その通り、()()皆じゃ本気の御二人の前に立った瞬間気を失ってしまうね」

「やっぱりじゃない!だから無茶なのよ!」

「あれ?聞こえなかった?僕は「今の」って言ったんだよ?」

「え……?」

「御二人も決して暇な方では無い。だから御二人に挑めるのは年に一回。1・2・3年生の終わりの計3回挑戦する約束を取り付けた。だから先ずは来年の春、初めての挑戦に向けて計画を立てていこうと思うんだよ。無論、そこで目的か達成出来れば良いけど多分無理だろうから、最終的には3年の卒業間近、そこ迄に皆には相応の実力を付けてもらいたいと思ってる」


 僕の発言に、また皆か静かになった。

 普通であれば一生に一度会えるかどうかの雲の上の人(式典は別として)、それに学生の身でありながら一回どころか3回も挑めるなんて有り得ない。


 既に父上を通じて了承は得てある。

 勿論、相応の対価が要求されたけど些細な事だ。


「ロ、ロイ君……じゃなかった先生。本当に出来るのかな?……」


 オズだけにおずおずと…………ごめん、面白く無かった。

 遠慮がちに質問をしてくるけど、それに対しての返答は申し訳無いけど一つしか無い。


「分からない」

「あ、あれ?自信満々に出来るって言うところじゃないかな?」


 僕の返事が予想外だったのか、オズは困惑している。


「だって、結果なんて未来が読めない限り分からないよ。ぶっちゃけどうなるか分からない。全ては皆の頑張り次第…………いや、違うかな。皆がどれだけ結果を残せるか次第だよ」

「頑張っても駄目なのかな?」

「頑張ったところで結果が伴わなければ意味は無いよ。勿論、無駄な努力なんて無いけどね」

「ちょっと、それ矛盾してるんじゃない?」

「そう?無駄と思っていた事が予想外のところで役立つ事は幾らでもあるし、無駄だと分かった事は一つの発見だと思うけどね」

「そういうものかしら……」

「こればっかりはアルベルトとしての考え方かもしれないね」


 何かを研究する際に思わぬところから結果が飛び出してくる事も多々ある。

 成果が出なかった研究が他の研究に役立つ時もある。


 無駄な努力は無駄じゃない。

 それをどう生かすかが大切なんだ。

 無駄だと切り捨ててしまえばそれこそ本当の無駄になる。


 …………まぁ、本当に駄目なものも無くは無いけど……。


「なにはともあれ、今から目的に向かっての目標を立てていこうと思う」


 どれくらい走ればゴールに辿り着くのか分からないマラソンをし続けられる猛者は殆どいない。

 いるとしたら極一部のド変態のみだ。

 だからこそ、先ずは短距離・中距離の目標を定め、一つ一つクリアしていく事でゴールへと走り続ける。

 まぁ、今回の場合ゴールが実質的に最後の試練になるんだけども……。


 その旨を皆にも説明していく。

 難しい顔をしている者・納得している者・理解はしているが納得しきれてない者がいるのが教壇からはよく分かる。


 ってか、教壇って思った以上に見えるんだなぁ。

 僕が授業を話半分で他の事をしていたのもバレてたのかもしれない。


「先ずはこれを見てほしい」


 僕は魔箱から取り出した用紙を一人一人配っていく。

 渡された紙を見てそれぞれが色んな表情をしてくれる。


「それは皆の長所と短所が書いてある。自分でも自覚があるところもあれば、全く無かったところもあるよね?」

「ロイ、質問を良いか?」

「何?クラウス」

「俺の短所に魔力の燃費が悪いって書いてあるんだが、どういう事だ?模擬戦をしていても魔力切れを起こした事なんて一度も無いぞ?」

「あぁ、それね。それは―――」




 こうして、僕は一人一人の質問に対して、時に答えを、時にわざと自分で気が付いてもらえるようにわざとヒントのみを答えながら、就任初めてのHRと一日の授業を終えたのだった。





 はぁ……地味に疲れたよ。

 ホームルーム後、そのまま授業になっていました。

 今後はロイとじジンが教師としてほぼずっと登場し、極稀に他の先生方が出てきたり出てこなかったりします。

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