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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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最中より事後処理の方が面倒な事ってあるよね

 ラリノア聖教国の侵攻を無事?食い止め、その後の動きも無いと判断した夏休みの半分が過ぎたある日。


 ってか、夏休み中だったんだよね、僕。

 夏休みとか学生だったとか二学期からは教師になるとかすっかり忘れていた。


 まぁそんなある日、僕は何故か陛下の執務室にいた。


 何故かも何も理由は分かってはいるけど…………。

 僕一人立っていて、僕の対面には執務机に座っている陛下とその両隣に父上と母上・ルシアお姉ちゃんにシリウス師匠・剛壁のゴルゴ=ドーンさんに聖女レイエナ=ダルクさんが並んでいる。


 圧迫面接が可愛く思えるレベルだ。


「さて、ロイ君。何故呼ばれたかは分かるよね?」

「……はい」

「一応、ルシアとシリウス含む、あの場にいた者には話を聞いている。隠す事は許されない。全てを話してくれ。これはお願いでは無く、王としての命令だ」


 普段は殆ど使わない王としての命令。

 それを使ってまで話の真実を聞きたいって事か……。

 これは誤魔化せないな。


 僕は陛下の命に応じ、あの場で起こった全てを包み隠さず話した。


 エレナーデの事、精霊紋の事、魔法の事、そして…………僕の本当の正体の事。


 それを聞いて父上と母上は涙を流している。

 他の面々は眉を顰めたり、訝しんだり、様々な反応をしていた。


(だから話したくなかったんだ……。絶対に父上と母上は悲しむと思ったから…………)


 自分の子どもが転生者と聞いて、複雑だろう。

 僕自身がそうだったから。


「…………ルシア、レイエナ、そしてイーサン。彼の話に嘘は無いな?」

「えぇ。嘘を吐いた反応、魔道具には出ていないわ」

「はい。彼の魔力は一切揺らいでいません」

「あぁ。ロイは嘘は言っていない……」


 魔法を得意とする三人が僕の言葉が本当かをそれぞれの方法で判別していた。


「そうか……。ロイ君、君が真実を話してくれた事、感謝する。だが、いきなり使徒だ。とか異世界からの転生者だ。と言われて混乱している」

「そうですよね……。僕も正直混乱しました。それに、生まれて直ぐに記憶があったので、ずっと混乱し続けていた。が正しいかもしれませんが…………」


 陛下が本心を告げてくれたので、僕も本心を伝えた。

 生まれてからずっと―――と言うのは流石に大袈裟かもしれないが、少なからず常に何処かしらに違和感があった。


 エレナーデに会ったお陰で、今はそれも無くなったけど……。


「少々宜しいですか?」

「あ、あぁ。どうした、レイエナ」

「ロレミュリア君……いえ、ロレミュリア様。もし貴方様が精霊王様の使徒であれば、我が一族は貴方様に誠心誠意お仕え致します。ただ……出来れば…………」

「エレナーデ……精霊王に一目会いたい…………ですよね?」

「…………っ!?はいっ!可能なのですか!?」

「短い時間なら……大丈夫だよね、エレナーデ?」


 レイエナさんの問い掛けを僕を通してエレナーデに問い掛ける。


『はい。可能です』


 勿論答えはイエスだった。


「可能みたいです。この場に喚んで良いですか?」

「お願いいたしますっ!」

「待て待て待て待て……。ロイ、それは本当かい?」

「はい、父上。エレナーデ曰く、僕は親友らしいので」

「精霊王様と親友…………?それにさっきから言っているそのエレナーデって言うのは…………」


 母上が言い終わらない内に、僕の後ろの空間が光を放ったと思えば、そこには僕が想像した通りの姿をしたエレナーデがいた。


『私の名はエレナーデ。この世界を創り、女神や精霊王と呼ばれる存在。私の名もこの姿も、私の大親友であるロイが与えてくれたもの。ロイ以外が軽はずみに口にする事は許しません』


 その言葉共にエレナーデは途轍も無いプレッシャーを放つ。


 いやいやいや、世界創造の神様がいきなりそんな殺気立って出てきたら怖がらせちゃうでしょ。

 ほら、皆顔を真っ青にしてピクリとも動けずにいるし。


「エレナーデ、ステイ。落ち着いて」

「ろ、ロレミュリア様。精霊王様にそんな不敬を―――」

『ロイが言うなら仕方有りませんね』

「えぇ…………」


 僕の言葉でエレナーデは放っていた殺気を完全に抑え、静かに微笑む。


「せ、精霊王様……。直言をお許しいただけますか?」

『……ロイ。この者達は貴方にとってどの程度重要ですか?』

「僕の両親に親友の父、それに今の僕を育ててくれたと言っても過言では無い大切な先生達だよ」

『ふむ……。では、この場にいる者は私の名を呼ぶ事を許します。カザニア帝国の王、アルフォンス=ペンドラゴン、直言を許可します』

「寛大な御心に感謝を。エレナーデ様が精霊王様である事は我々身を持って理解致しました。先程、ロイ君から聞いたのですが、ラリノア聖教国の者達が使徒様若しくは使徒様の系譜では無いと言うのは本当なんでしょうか?」

『はい。私の使徒は現在、ここにいるロイ一人です。子孫もいません』

「現在。であるならば、我々の先祖を導いたとされている使徒様は……」

『はい。それは私が初めて遣わした使徒で間違いありません』

「そうですか……。エレナーデ様、質問にお答えいただき感謝いたします」


 ん?どういう事?

 我々って事は僕の……ロイの先祖の賢者達だよね?

 それを導いた人がいるなんて初耳なんだけど…………。


(最初の使徒は私が初めてこの世界に召喚した異世界人です。ロイと同じく精霊紋を託して、初代勇者一行を陰ながら導き、魔王討伐に助力しました)


 心を読んでのフォローありがとう、セレナーデ。

 でも使徒を選定したって事はまた魔王が…………?


(いえ。偶に予兆が現れますが、生まれた直後に私が全て消滅させています)


 わぉ、なんという圧倒的リスキル。


「どうした?ロイ君?」

「あ、いえ。何でもありません」


 頭の中でエレナーデと会話していたけど、傍から見れば僕とエレナーデが黙りこくっているだけに見えるのか、今後気を付けよう。





 そんなこんなでエレナーデを交えて、本格的にラリノア聖教国をどうするかの話し合いが進んでいった。

 小さい会社の社長含む重役に囲まれたと思ったら、世界一の大企業より更に上の存在が現れて援護射撃してくれる。


 そんな面接、受けたかった。

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