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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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38/70

現実は小説より奇なりって本当だよね

 リュツィフィエール(失墜した精霊王)に《雷神の裁き(ジャッジメント)》を放ったものの、倒すには程遠く、対した傷を負わせる事が出来ずに気を失った。


 しかし、不思議な事に今は真っ白な空間にふわふわと浮かんでいる。


(ここは……?夢…………?)


 右も左も上も下も分からない、見渡す限りの純白。

 何が起こっているか分からずにいると、頭に声が響いた。


『ここは私の存在する空間です。意識を失い倒れた貴方の魂だけをこの空間へと喚びました』


 頭の中で考えた疑問への回答が示される。


「誰だっ!?」

『私は名も実体と持たぬ存在。貴方の世界では【精霊王】と呼ばれています』

「精霊王…………」

『そうです。貴方が借りを返せと仰ったので、返そうと思いまして』


 つまり、俺をこの世界に転生させ、ロレミュリアとして新たな生を授けた張本人がこの精霊王なのか。


『その通りです』

「ナチュラルに心を読むんですね……」

『この程度、造作もありません』

「そっすか…………」


 読心を悪びれる事も無く使う辺り、自分達とは一線を画す存在だと痛感する。


『そんなに褒められるとは思いませんでした。嬉しいです』

「褒めた……かな?」

『はい、褒められました』

「じゃあそれで良いっす」


 何だろう?

 少し天然なのかな、この人?

 いや、この精霊王。


『さて。私としては何時までもこうしてお話していたいのですが、貴方はそうでは無いでしょう?』

「そうですね」


 そうだ。

 今、戦場は大変な事になっている。

 ここで時間を無駄に費やして、目を覚ましたら誰もいませんでしたなんて洒落にならない。


『その心配は無用です。こちらとあちらでは時間の流れが違います。ここで何年過ごしてもあちらでは一瞬の出来事。勿論、過去では無ければ好きなタイミングに戻る事も可能です』

「うわぁ……。何でも有りですか…………」

『この世界は私が創ったので自由自在です』


 え?待って待って。

 そうなると精霊王と言うより創造神とかそのレベルじゃん。


『貴方の世界ではそう呼んだりしますね。全てその世界にいる人々が勝手に呼んでいるだけなので、私としてはどちらでも宜しいのですが』


 あ、もうデフォで心の声と会話するつもりなのね。

 じゃあ、この流れで質問良いですか?


『どうぞ』


 でも、流石に失礼だから声に出して告げよう。


『でもその前に、姿が見えない相手に話し辛いでしょう。適当な姿になりますね』


 ド級のマイペース。

 そして、そんな事も出来…………ますよね、そりゃ。


『はい、勿論です』

「えっ……と……。オズ……じゃないですよね?」

『はい、貴方が一番親しみを感じている姿になりました。どうでしょうか?』

「どう?と聞かれましても……『オズだなぁ』としか……」

『つまり、私は完璧だと。そう言う事ですね』

「もうそれで良いんで質問をして良いですか?」

『何故か私の扱いが雑な気がしますが、寛大な心で許しましょう』


 わーい、ありがとー。


「では、質問です。俺をこの世界に転生させたのは貴方なんですか?」

『はい』

「それは何故ですか?」

『何となく?』


 え?嘘でしょ?理由無いの?


『はい』


 ……思った事を読まれるの、案外便利かもしれない。


『流石私です』


 はいはい、凄いですね。


『その扱いに異議ありです。雑だと思います。あと、話してる相手に無言なのは如何なものかと』

「あぁ!面倒だな、この精霊王!」

『乙女心を勉強した方が良いと思われます』

「なあぁぁぁ!どうせ非モテの童貞だよぉぉぉぉぉ!」


 この精霊、躊躇無く人の急所攻撃してきやがる。

 何だ?敵か?敵なのか?


『私は貴方の味方ですよ』


 オズの見た目で女神スマイルされて敵認定出来るかぁぁぁ!


『まぁまぁ、落ち着いて下さい』


 オズ(の見た目の女神)が手を軽く振る。


「これが落ち着いて…………落ち着いた。え?何かしました?」

『心を落ち着かせました』

「流石精霊王」

『褒めても良いですよ。褒めたら私が大変嬉しくなります』

「わーすごいすごい」


 話が逸れ過ぎている、修正せねば。


『こちらの世界に喚んだ理由は貴方が適任だと思ったからです』

「へ?」

『貴方の魂は善性が強い。誰にでも心優しく、他人を下に見たりしなかった。自分が幾ら凄いと言われようと、それに胡座をかかず、謙虚で居続けた。それが選んだ理由です』


 ……選んだ理由あるやないかーーーい!


『勿論、人並みの性欲や少々独特な性へ―――』

「女神様ストーーップ!それ以上は駄目!心が砕けるから!」

『大丈夫ですよ。それくらい私がいつでも元に戻せます』


 そうじゃ無いんですよ、そうじゃ。


『ふむ。人間は難しいですね』


 貴女が特殊過ぎるんですよ、貴女が。


「それで?こっちに連れてきて何をさせようとしているんですか?」

『特に何も』

「はい?」

『特に何もさせるつもりはありません』

「……何か転生者の使命とか?」

『ありません。強いて言うなら、身体を大事にして下さい』

「それそれは丁寧に…………って、違うでしょう!」

『ふむ。それがノリツッコミと言うやつですね』

「もうやだ、この精霊。話が噛み合わない」

『そんなに褒めても金銀財宝しか出ませんよ?』

「すっっっごい有り難いですねぇ!?」





 どうしよう、本当に話が進まない。

 女神と言えば【ツンデレ】【母性マシマシ】【ド天然】のどれかって相場ぎ決まっていますよね!ね!?

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