やるなら徹底的にやらないといけないよねパート2
今回は区切りの関係で少し短めです。
ここで皆様に注意。
書き出し最初の方に人によっては気分を害する可能性のある例えを使用しております。
苦手な方は本文7行目までを見ない様にしてスクロールして下さい。
そこまでを読まなくても内容の把握に問題はありません。
僕は二人に作戦の概要を説明した。
現在、リュツィフェールは自身が動ける様になる為に周辺の魔力や攻撃魔法を魔力に還元してそれ等を手当たり次第吸収し続けている。
それなら逆にそれを利用してやろうと考えた。
どの程度まで魔力を吸収し続けるか分からないが、それならいっその事こちらから強制的に与え続けてやろう。
前世で上質なフォアグラを育てる為に餌を食べ続けるガチョウの様に。
…………あれ、初めて見た時は少し気分が悪くなったけど。
話を戻すと、無理矢理魔力を押し付け続ければ、動ける様になっても魔力が飽和して動けないかもしれない。
まぁ、元気一杯になる可能性も否めないが、今出来る事は他に無い。
『―――って感じなんですが、どうでしょうか?』
『…………正直、気は乗らないわね。成功したら良いけど、失敗したら悪戯にあいつの完全復活までの時間を縮めるだけでしょう?準備の時間が減る事を考えればあまり良い作戦とは言えないわね』
『ふむ。俺は小難しい事を考えるのが苦手だから、得意な二人に任せるが、要はアレだろ?どっちにしろ復活するし、復活したらいくら準備しようとそう簡単にはあいつは止められねぇ。だったら一か八かでもあいつをぶっ飛ばせる方法を取りたいんだろ?』
『少し乱暴ですが、つまりはそういう事です』
『なら俺はロイに賛成だ!』
『ありがとうございます』
『あぁーーっ!もう!分かったわよ!私も賛成するわ!』
『ルシアお姉ちゃん、ありがとうございます』
『全く……シリウスはこんな時ばっかり核心を突くんだから。やっぱり野生の獣かしら?』
『あぁ!?何だと!?』
『それより、シリウス。賛同したからには失敗したら私達二人が責任を負うわよ』
『当たり前だ。成功は部下の功績、失敗は上司の責任だからな!』
『二人共…………』
二人の言葉に思わず目頭が熱くなった。
失敗したら責任を取ってくれるつもりなのに、成功したら僕にその功績を譲ってくれようとしている。
だが、そんな事には絶対にしない。
どうやっても成功させてやる。
『では二人共、お願いします!』
『えぇ』
『おぅ!』
二人は即座に行動を開始してくれた。
予定通り、魔法師団は絶え間無く相手に攻撃魔法の雨を降らせる。
攻撃に参加してない団員の方々には開戦前に渡した魔道具をいつでも展開して仲間を守れる様に、防御陣形を組む為に奔走してもらっている。
その間に騎士団には魔道具の設置をお願いした。
その魔道具は、僕が開発(魔箱の中の八割弱が秘密裏(開発した魔道具やその試作品)した対魔法特化の魔道具だ。
特に名称は無いが、その効果は折り紙付き。
使い方が少々特殊で、対象を囲む様にその魔道具を等間隔で設置していき、極力完全な円にする。
『真円に近い程効果が高まり、遠い程効果は弱まる』、そんな制約を付与しているのだ。
今回は魔法陣があるので、それに沿えば実質的な制約は無いに等しく、ほぼ最上の効果が得られるだろう。
並べ終えたら全ての魔道具を一斉に起動、対象の魔力を魔道具に取り込み、魔道具に組み込んだ魔石に記憶させる。
それで準備は完了だ。
後は、相手が何らかの行動をした際に魔道具が記憶した魔力を感知すれば自動で障壁が発動する。
因みに、感知した魔力以外には障壁は作用しないので、『相手からの攻撃は遮断し、こちらからだけ撃ち放題』のフィーバータイムの完成。
少し狡いとは思うが、今回そんな事は言っていられない。
シリウス団長率いる騎士団は必ず無事やり遂げてくれるだろう。
これで僕は心置き無く準備が出来る。
今まで一度も試した事が無い僕の全力の一撃を放つ準備を―――。
今回ロイが例えに出しているフォアグラの動画、某動画サイト等にもあるのですが、気軽に検索しない事をお勧めします。
因みに作者、元々レバー系が苦手なので、フォアグラは無くても問題ありません!(好きな方を批判する訳では無く、一個人の感想です)
と関係無い話は置いておいて。
戦後処理等の話はもう少し続きますが、次話にて今回の戦争の戦闘編は終了になります。
それ以降はこの作品の主な要素であるほのぼのに戻ります。




