男子が親離れ出来ないのは大体母親のせいだよね
タイトルは作者の独断と偏見です。
異論は認める!
そんな僕は今、ロイの人生において最大のピンチに直面している。
「なぁ、本当に通わなければ駄目なのか?」
「勿論でございます。貴族に生まれた人間は皆、15歳の成人を迎えた次の年の春から学園に入学する決まりでございます」
「だよなぁ……」
彼女はルーナ。
僕が5歳の誕生日に父から友人兼専属メイドとしてプレゼントされた奴隷だ。
田舎の村出身で、貧乏暮らしの家族の食い扶持を減らす為、自ら借金奴隷になる事を名乗り出たらしい。何とも家族思いな娘だ。
奴隷商を訪ねた父が偶然彼女を見付け、今に至る。
今のルーナは正直に言って魅力しかない。
大きな二重の目に、ミルクティーの様に透き通った瞳。
同じくミルクティー色の綺麗な鎖骨まであるミディアムヘアを前髪と顔周りを降ろして、お団子にしている。
そして、その頭にはしっかりとホワイトブリムが。
常にメイド服を着用しており、露出は極端に少ないものの、そのたわわに実った胸は動けば弾み、男子の目を嫌でも釘付けにする。
この世界、ブラジャー無いんだって。サイコー。
いや、待てよ。
むしろブラジャーをどうにか開発しないと将来重力に負けてしまうかもしれない……。
それは死活問題だ……。
今後の課題にしよう。
さて、現実逃避もそろそろ限界だ。
ルーナを引き連れて家族の待つ食堂を目指す。
「申し訳ございません。遅くなりました」
「気にするな。これから3年の間、長期休みには戻れるとはいえ、寮生活だ。名残惜しいのも分かる。私もそうだったからな」
そう声を掛けてくれたのは、僕の父であり、ガストンブルク侯爵家現当主のイーサン=ガストンブルク。
青い瞳と年齢を感じさせないハリウッドスターさながら整った顔立ちを持ち、ブロンドの髪を短く切り、オールバックに纏めている。
高身長・高収入・高爵位とこの世界の3Kを地で行く完璧超人だ。
自分に厳しく、他人に優しい、本当に欠点が見当たらない。
「ロイちゃんもとうとう学園に行くのねぇ。寂しくなるわ……。ねぇ、あなた」
のんびりな口調で話す、父の横に居るのが母のミネア=ガストンブルク。
少々幼い顔立ちで、綺麗と言うより可愛いが全面に押し出され、二十代と言われても差し支えない。
顔に似合わずルーナを超える双丘を持ち、年齢相応の色気のあるグラマラスボディの持ち主だ。
瞳と髪色は栗色でウェーブがかった長い髪をサイドに下ろしている。
母は元々商家の娘で貴族では無い。
父が他の街で母を見かけた際に一目惚れして猛アタックの末、無事結婚に至ったらしく、その為、父に側室はいない。
側室を娶る場合、それが貴族の娘だとどうしても母が側室になってしまうからだ。
おいコラ、そこ。
子どもの前でイチャイチャしない。
「父上、ありがとうございます。母上、今生の別れではありません。次の長期休みには帰ってくれますし、同じ王都の学園ですからすぐに帰ってこられます」
「そうなんだけどねぇ。またママって呼んで良いのよ、ロイちゃん」
「母上、ロイちゃんは辞めて下さい……」
「お母様、とりあえず朝食にしましょう」
「はやくたべたいです」
「あら、ごめんねリリちゃん、マリィちゃん。ではいただきましょうか、あなた」
「そうだな。皆、いただくとしよう」
母に朝食の催促をしたのは二人の妹。
僕の1つ下、今年14歳になるリシリア=ガストンブルク。
程良い大きさのアレを持ち、引っ込んでいる所は引っ込んでいるスタイル抜群の肢体と、父と同じ青い瞳とブロンドのサラサラヘアを真っ直ぐ下ろしている。
母とは違い、美人の言葉がしっくり来る切れ長の目を持つしっかり者だ。
もう一人はマリリア=ガストンブルク、今年10歳。
こちらは母似で、栗色の可愛いくりくりお目々とくるくるな髪はツインテールにされている。
常にニコニコしており、我が家のアイドル的存在だ。
あっ、因みに僕の外見は見事に父と母を受け継いでいる。
少し癖のあるブロンドヘアを肩まで伸ばしており、普段は常に結んている。
何でも、父が昔こんな感じだったみたい。
瞳の大きさは母譲りで瞳は父譲りの青色。
身長は残念ながら母と遺伝子組み換えが強く、同年代の男子と比べても少し低い。ぐぬぬ……。
こんな容姿のせいか、昔から女の子に間違えられる事も多い。
…………正直、自分で見ても可愛い系男子、男の娘だ。
朝食を食べ終え、一度部屋に戻り、荷物の確認をする。
確認とは言っても、必要な物の大部分は学園で用意されているので、本当に生活雑貨+趣味の物程度だ。
そんな訳ですぐに確認は終わり、早々に部屋を出る。
玄関に向かえば家族総出のお見送りだ。
「ロイちゃん!いつでも帰ってきて良いんだからね!」
「大丈夫だ、ミネア。私達の子は強い。何も心配要らないさ」
「でも……やっぱり心配だ――――――」
「はいはい、すぐイチャつかない。大丈夫ですよ、母上。何の心配も要りません。だって――――――」
「学園まで徒歩5分、そもそも正門がここから見えているし。それに学園長と学園長秘書は父上と母上でしょう?」
そう、そうなんだよ。
僕が今年から通う学園、《ガザニア帝国騎士魔法学園》は代々賢者の子孫とその配偶者がそれぞれ学園長とその秘書の任に就くのが決まりだ。
よって全然別れにならない、むしろ普通に毎日会う。
いや、学園長に毎日会うのかは分からないが、少なくとも会おうと思えばいつでも会えるし、休日はお散歩感覚で実家にも寄れる。
「そんな事よりもお兄様、良いのですか?早く行かないと時間が……」
「え?もうそんな時間!?じゃあ行ってきます!」
入学初日に遅刻なんてヤバ過ぎる!
僕は猛ダッシュで学園へと向かった。
あれ?父上と母上はまだ家にいたけど大丈夫なのかな?
まぁ良いか。
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