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休み明けの朝って凄く憂鬱だよね

「あぁ〜……。学校行きたくない〜……」

「そうは言ってももう着くね」

「そんな現実叩き付けるのやめてくれ〜」

「あ、着いた」


 そりゃそうだ。

 何度も言うが、うちと学校は目と鼻の先なんだもん。

 これも毎回言うけど、馬車に乗る必要無いよね!?


「さ、行くか」

「切り替え早いよねー」

「着いたらもう諦めるしかないからさ」

「まぁそうだよね」


 2人並んで教室に向かう。

 歩いている最中、周りから視線が僕達に刺さる。


 正確には()()ではなく、()()()だ。


 そんな視線から逃げる様に教室へ足早に向かった。


 少し早めの到着だったが、教室には既に人影があった。


「おはよー」

「おはようございます」

「おぉ、ロイ、オズ。お……は…………えぇっ!?」

「どうした?クラウス。朝から大声出して」

「え?いや、だって。お前の隣にいるのって……」

「えへへ……。オースタスです」

「お、おおお、おおおおお、女だったのかぁぁぁぁ」

「クラウスうるさい」


 クラウスの反応を見て分かるとおり、オズには変化があった。

 オズは今、スカートを履いている。

 そう、男としてでは無く、女として登校してきたのだ。


「オズ……隠すの……辞めた……?」

「うん、そうだよ」

「そっか……。オズが良いなら……良い……」

「キリエ!お前気が付いていたのか!」

「当たり前……。むしろ……気が付かない方が……おかしい……」

「そうなのかっ!?」

「殿下……うるさい…………」


 キリエはさも当然の様に言う。

 って事は女性陣は何となく気付いていたのかな?

 それとも、事前に知らされていた……とか?


 その後も教室に入ってくる面々にオズは質問攻めに合いながらも、律儀に一人一人へ返していた。


 話を聞いていると、最初はキリエのみ気付いていたが、キリエから話を聞き、その他の女子メンバーもオズに確認、陰ながら女子にしか分からない悩みの相談等をしていたらしい。


 そんな事より今は別の問題がある。


「あんた!休暇中オズと一つ屋根の下で暮らしていたんでしょ!?変な事してないでしょうね!?」

「変な事ってなんだよ!してないよ!」

「そうだよ?ロイ君家は大きいから一つ屋根の下って言っても沢山お部屋があったから」

「「いや、そうじゃなくて……」」


 オズの天然発言が炸裂した。

 思わずヨルハと被ってツッコんでしまう。


「しかし、あれだ。実際オズが女子なのは分かったが、それでも寮の部屋割りはどうなるんだ?流石に男女同室と言うのはいくら学園長の息子でも無理があるだろう?」


 珍しいクラ「珍しいとは何だ!珍しいとは!」……おい、モノローグに入ってくるなよ!

 えっと……何だったっけ?

 そうそう、クラウスの発言どおり学園の寮は男女別々であり、原則男女同室は認められていない。

 しかし先日、オズが女子として学園に通いたい事、僕と同室のままでいたい事を父上と母上に相談したところ、それは呆気なく解決した。


「それなら大丈夫です。ぼく、ガストンブルク家ロレミュリア=ガストンブルクの弟子になりましたから」

「「「「「え?」」」」」


 自信満々に言い放つオズの発言で皆の頭の上に疑問符が浮かんで見える。


 父上と母上の解決策はこれだった。

 僕は今現在、刻印術式を筆頭にそこそこの数の魔法論文を発表している。

 自分で言うのもなんだけど、賢者を超える賢者とか呼ばれて、国内外問わず弟子入りを求める声が多数上がっていた。

 今まではそんな面倒な事をしたくないと思っていたが、今回はその手段を取った。

 弟子を取った場合、様々な責任が発生する。

 弟子の衣食住等の最低限の生活の保証、身の上の保護、研究における秘伝の伝承等々。

 勿論、弟子側にも為すべき事があるけど、そこは今回は割愛。


 そんな訳で正式にはまだだが、父上から皇帝陛下への報告は既に済んでいるので、いずれ正式な許可は下りる予定。


「……て事だから、弟子との同室は男女関係無く問題ないんだよ」

「そうなのか。しかし、ロイが弟子を取るとはな……」

「意外?」

「あぁ。弟子を一人取ったとなると、俺も私もと申し込む者達が増えるぞ?」

「それは大丈夫。弟子入りするにあたって、課題を幾つか用意したから、今後はそれを突破した者のみにしているから」

「課題?」

「そうそう。筆記・実技・面接をしてもらう事になる」

「面接は何を?」

「実際に話してみたいのと、その人が何を研究していて、それが僕と合うかとかだね」

「ふむ……。それは俺でも可能か?」

「え?クラウスは嫌だ」

「何故だっ!?」

「ウザいから」

「何ぃ!?」


 クラウスを弟子にするなんて真っ平御免だ。

 それに、次期皇帝が弟子とか僕の平穏が消し飛ぶじゃないか。


 そんな話を横にワナワナと肩を震わせている者が一名。


「…………よ」

「ヨルハ?どうしたの?」

「不潔よっ!弟子とは言え、まだ学生!それなのに同衾するなんて!」

「同衾とか言うな!ベッドは別だから!」

「何だと!?ロイ!お前!同士(童貞)だと信じていたのに!」

「話をややこしくするな、クラウス!」

「ロイの……えっち…………」

「キリエさんまで!?オズ!何か言ってよ!」


 暴走するクラスメイトに耐えきれず、救いの手を求める。


 だがしかし、そこに救いは無かった…………。


「ロイ君と……。えへへ。まだ早いと思うけど……いずれは……。ぼくも嫌とかじゃないけど……。まだ恥ずかしいな……も、勿論、ロイ君がどうしてもと言うならゴニョゴニョ…………」

「頼む、オズ!戻ってこーーーい!」




 こうして、先生が朝礼の為に教室に来るまで暴走するクラウスとヨルハ、面白がって合いの手を入れるキリエ、トリップしているオズを宥めるのに注力する事になった。


 いや、周りもニヤニヤして見ていないで助けろよ。

 特に三馬鹿、何を『流石はロイ様だ』みたいな顔してんだよ、ぶっ飛ばすぞ。

 作者の箸休めで書いていた筈なのに、書けば書く程新しい設定とか増やし過ぎて、パンクしそうになっている。

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