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超エリート貴族の長男は苦悩する〜転生したら主人公では無く、貴族の息子でした〜  作者: まっしゅ@


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14/70

やって良いと言われたなら逆にやり難い事ってあるよね

 ガストンブルク邸地下一階にある訓練所に到着した。


 地下一階の七割のスペースを訓練所が占め、騎士や兵士の日頃の訓練はほぼ全てここで行われている。


「操作は私がするわね。環境設定は闘技場、痛覚・衝撃・魔力量はどうするの?」


 学園と違い、こちらは外から操作をするタイプ。

 母上が聞いてきた3種類は訓練内容によってオンオフが出来る。


「普通なら有・有・有だけど、無・無・有で良いんじゃないですか?」

「ぼ、ぼくは全部有りで大丈夫です!」

「私も有りで問題ありません」

「あらあら。女性陣の方が勇ましいわね。じゃあ全部有りにするわね」


 マジか……。

 痛みを感じるのなら女性陣に攻撃当て辛いぞ。

 怪我はしないけど、怪我させてしまう。

 ただ、向こうからの希望なので、そこは遠慮無くいこう。


「ロイちゃん、武器はどうする?」

「自前で良いんじゃないですか?折角全有でするならもう完全に本番を想定した方が良いと思いますよ」

「分かりました。では、リリィちゃんとオズちゃんは先に中に入って、どう立ち回るか2人で決めておいて。ロイちゃん、念の為上級以上の魔法と創造した魔法は禁止ね。特にアレは」

「分かりました。と言ってもそもそも使う気無いですよ。……あっそうだ」


 僕は部屋の中にいる2人に装置から呼び掛けた。

 因みに、今は作戦会議中だから部屋からの声はこちらに聞こえない。


「リリィ。今日はどうする?無しの5手落ち5-1くらい?」

『そうですね。無し3手落ち3-1でいかがでしょうか?』

「お、だいぶ強気だね」

『オズお姉さんがいますから』


 オズが頭の上に?を浮かべている。

 僕とリリィが話しているのはハンデの塩梅。


 無し3手落ち3-1は、

 武器は無し。

 3回攻撃されるまでこちらは防御か回避のみ。

 攻撃を3回されたら、こちらから1回攻撃可能。

 となる。


 リリィとの模擬戦のルールは基本これだけで通じる。

 勿論、細かいところを決める場合もあるが。

 そう言えばリリィと全有でやるの初めてじゃないかな?

 無・有・有が多かった気がする。


『お兄様、準備出来ました。入ってきて下さい』

「了解」


 作戦が決まったんだろう、入室の許可をもらい、僕も部屋に入る。


『皆準備は良い?』

「「「はいっ!」」」


 母上が最後の確認を取る。

 僕もあちらも準備は万全。

 オズは2本の短剣を逆手に持ち、低い前傾姿勢で構えを取るいつものスタイル。

 リリィはオズの半歩後ろに位置し、長杖を構えていつでも魔法を放てる体勢。

 僕?僕は最初は相手の出方次第だけど回避か防御が確定なので、特に構えを取らず自然体のまま。所謂棒立ちだ。


「では…………始めっ!!」


 母上の声が室内に響く。

 その合図と共に、僕に向かって無数の氷の針が飛んできた。


「初手、リリィの刻印術式による魔法攻撃。っと」


 その攻撃に対して僕は手を横に振り雷のカーテンを出現させ、それに針を衝突させて砕いた。

 砕かれた氷がキラキラと雪の様に眼前を覆う。


「あ、これが狙いか」


 先程の攻撃は陽動。

 回避が出来ない量の魔法をぶつけて防御魔法を発動させ、視界を塞ぐ事で次の一手を読みにくくするって作戦だ。


「って事は…………よっと」


 僕は元の位置から少し大袈裟にバックステップ。

 それとほぼ同時を影が通り抜けた。


「2手目、目隠しをして死角からオズの近接攻撃。なら最後は……。うん、当たりっ」


 バックステップの着地点に氷の棘が出現。

 少し手前で強引に地面を蹴り、そのまま身体を翻してその棘の更に後ろに着地した。


「3手目は着地予想地点に遠隔操作した魔法での追撃。うん、中々良い手だね」


 これで最初の3手は終わり、それと同時に僕は1手分の攻撃権を得た。

 この状況、まず潰したいのは……。


「オズの方だよねっ!」

「あっ!止まれな……っ!」


 無理な体勢で着地した隙を逃さず、オズが《身体強化・加速》を使って突っ込んできた。

 それを読んでいた僕は彼女の目の前に岩の柱を出現させる。

 オズは止まり切れずそのまま激突、加速の勢いそのままにぶつかったので、そのダメージは相当だろう。

 念の為、棘にはせずに柱にしたのは、気持ちの問題だ。


「さて……。残りはリリィだけだね」


 次の僕の攻撃はまた3手防いでから。

 しかし、一対一になった時点で僕の勝ちは揺るぎないものになっていた。




 そこから何戦かして、結局最後は無手10手落ち10-1までやった。

 結果は僕の全勝。

 まだまだ2人に負ける訳にはいかないからね。


「もーー!2人掛かりで10手落ちなのに一度も勝てないどころか一発も当てられないなんてーー!」

「ははは……。やっぱりロイ君は強いね……。勝てる未来が見えないよ……」

「2人の作戦や連携は凄く良かったよ。僕も勉強になった、ありがとう」

「ロイちゃん。その言葉は慰めじゃなくてただのとトドメよ?」


 2人共動きも良かったし、戦いを重ねていく毎にどんどんコンビネーションが良くなってたからそれを褒めたんだけどなぁ。


「でも、本当の事だよ。2人共、今は負けて良いんだ。これは本番じゃない、勝っても負けても得るものがある。悔しがるより先にやる事があるんじゃない?」

「あら、ロイちゃんは厳しいわねぇ」

「今は優しくしても意味ありませんから。今甘やかしたら実戦では命を落としてしまうかもしれません」

「分かっています……。ずっと言われ続けてきましたから。『悔しがる暇があれば何が良くて何が駄目だったか反省して見直せ』って」

「そうだよね……。ぼくも言われた。リリィちゃん!2人でまた作戦会議をしよっ!」

「そうですね!私の部屋に行きましょう、オズお姉さん」

「うん!」


 うんうん、二人の仲が深まって良かった。

 歳が近いし、これからも仲良くしてほしいな。


 ん…………?そうなると僕今から独り?

 えっ……と……、何をしよう……。

 あ、そうだ。

 折角帰ってきたし、今の内に次の論文用の実験しようかな?


 残された僕は遊び相手が居なくなり、次の研究でもしようかと出口に足を向けたが、後ろから肩を掴まれた。


「ロイちゃん?私はまだ居るのよ?折角だから付き合ってもらえない?」

「え?」

「さっきの3人の戦いを見てウズウズしちゃってね」

「……分かりました。じゃあルールを決めましょう―――」


 母上は貴族で無いにも関わらず、才能に溢れた人だ。

 オズとは真逆のパワー系、更には風魔法を操り、速く重い攻撃をしてくる一撃必殺の戦闘スタイル。

 あの細腕の何処にそんなパワーがあるんだろう…………。






 そして、母上に付き合った結果、結局夕食が出来たとの報せを受けるまで、僕は訓練所から出る事は出来なかった。

 個人的に清楚で可憐なお嬢様がゴリゴリの脳筋戦法使うの……好きです。 



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