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友達招いたら自分以上に親が気合い入れちゃったりするよね

 翌日、寮に残る予定だったオズの外泊申請を取り、昼過ぎに学園を出る事になった。


「ごめんね。時間かかっちゃったよ」

「全然。そんな遠い訳でも無いし。さぁ行こ―――」

「ロレミュリア様、お迎えに上がりました」

「いや、家見えてるんだけど……」

「え……と。どなた?」

「申し遅れました。私はガストンブルク家の騎士団副長サンストフと申します」

「あ……。ぼ、ぼくはオースタスと言い……申します」

「オースタス様でございますね。ロレミュリアと仲良くしていただき、ありがとうございます」

「い、いえ……。こちらこそ……。平民のぼくと仲良くしてもらって有り難いです」

「ねぇ……。そろそろ向かわない?」

「ご、ごめん!」

「はっ!では、こちらにお乗り下さい」

「乗り降りと走り出してから止まる迄の時間で着くんだけどなぁ……」


 それでも無下にする訳にはいかないので、恐縮しまくるオズの手を引いて馬車に乗り込んだ。

 この世界の馬車乗り心地悪いなぁ、これも改良しなきゃ。

 そしてあっと言う間に到着。


「「お帰りなさいませ、ロイ様」」

「カーマ爺、ルーナ、ただいま。お出迎えありがとね」

「当然でございます。お隣はご友人のオースタス様ですね。ようこそお越し下さいました」

「え?えっ?な、何でぼくの事を知っているんですか!?」

「執事として当然の事でございます」

「そ、そうなんだぁ……。執事さんって凄いんだぁ…………」

「いや、違うから。この人がおかしいだけだから」


 出迎えてくれたのはガストンブルク家に先代から仕えてくれているカーマイン・アピス爺ことカーマイン従者長と、僕の専属のルーナだった。


「もうすぐ昼食の準備が出来ます。お部屋で一度お着替えになられて下さい。頃合いになったらお呼び致します」

「分かった。オズ、行こう」

「ははははははは、はいっ!」

「緊張し過ぎだって…………」


 緊張出両手足が一緒に前に出ているオズを連れて2階にある客室へ。

 近い方が便利だから僕の隣の部屋を用意してもらった。

 着替え終わったら僕の部屋に来てもらうように伝えて一度別れる。


「ん〜!久々に自分の部屋だー!やっぱ落ち着くなぁ」


 僕の部屋には自ら開発したなんちゃって家電を自重する事無く置きまくっている。

 そもそも部屋が広すぎる、一部屋一部屋が学校の教室くらいある。

 確か40畳くらいだったかな?1人なのにベッドもキングサイズだし。

 そこを一人暮らしの男のワンルームに魔改造済み。

 そろそろ着替えてしまわなきゃ。


「さて、父上はまだ学園だろうけど、母上と妹達が居るだろうから……この辺りの服で良いか」


 畏まった場ではないので、白いシャツに黒のパンツに着替えてしまう。

 学園に居る時は制服か寝間着くらいしか着なかったから私服姿は新鮮だな。

 外出の時も基本制服だし。


 そんな事を考えていると、扉がノックされる。


「はーい。開いてるよー」

「お邪魔しまー……って、何これ!?」

「あぁ。そこからか……」


 入ってきたのは案の定オズだった。

 部屋までの間話していると、私服があまり無いと言っていたので、僕の服を貸しているのだが、少し大きかったかな?

 同じ服装だが、少しダボついている。


「これ全部ロイ君が造った!?凄い!」


 見た事が無い魔道具に目をキラキラさせている。

 用途や使い方を説明しながら、昼食までの時間を2人で潰していた。




 そこから少し経ち、ルーナが案内のために部屋を訪れたので、話を一時中断し、食堂に向かう。

 道中、オズがルーナ(の双丘)をチラチラ見ていた。

 やっぱりオズも男の子なんだなぁ。このムッツリめ!

 あとで誂ってやろう。




 食堂に入ると既に妹達が席に着いていた。

 ルーナに案内されるまま、2人の向かい側にオズと並んで座る。


「お帰りなさい、お兄様」

「おかえり!おにいちゃん!」

「リリィ、マリィ、ただいま。良い子にしてた?」

「お兄様!私はもうすぐ成人するんですよ!子ども扱いしないで下さい!」

「まりぃ、いいこにしてたよー」

「そうかそうか、マリィは偉いねぇ」

「えへへ……」


 やっぱりマリィは天使だ。

 リリィも可愛かったのに、最近は少し冷たくてお兄ちゃん、寂しいぞ。


「羨ま…………んんっ!それより、そちらは学園のご学友ですか?」

「は、はいっ!オースタシュ……と……申します…………」

((あっ、噛んだ))


 自己紹介でまさかの自分の名前を噛むという神業を見せたオズは最後、消え入りそうな声になり、顔を真っ赤にして俯いている。


「まりぃはね!まりぃだよ!よろしく、おーすたしゅ!」

「ち、違っ!オースタスですっ!」

「あれ?ちがうのー?」


 純粋無垢な天使の無自覚な追い打ちで赤かった顔は更に赤くなり、それを見た僕とリリィは笑いを堪えきれず吹き出してしまった。


 良かった。

 オズも馴染んでくれて何よりだ。


 話が一段落したところで母上がが入ってきた。


「皆、お待たせ。ロイちゃんはお帰りなさい」

「だからロイちゃんは…………もう良いや。ただいま、母上」

「オースタスちゃんだったわね?ようこそ、ガストンブルク家へ」


 不意に声を掛けられたオズは飛び上がる様に立ち上がり、腰を90度に曲げてお辞儀する。


「こ、この度は、かのこ、高名なガストンブルク家に―――」

「そんな畏まらなくて良いのよ。ロイのお友達なら大歓迎。いつでも遊びにいらっしゃい」

「は、はいっ!ありがとうございます!」

「ふふっ、良い子ね。ロイちゃんにピッタリだわ」

「きょ、恐縮です…………」


 屋敷に入ってきた時よりも更に緊張しているオズ。

 そりゃそうか。

 学園の学園長秘書であり、ガストンブルク公爵家の第一夫人(1人しかいないけど)と言葉を交わすなんて、普通は有り得ない筈だもんな。

 しかも公の場ならまだしもその自宅な訳だし。

 例えるなら平社員が国内有数の大企業の社長とか、政治家のお偉いさんの家に訪問してるみたいなもんだし。

 そう考えると悪い事をしたかな?


「さぁ、お料理が冷めない内にいただきましょう」

「「「はい、いただきます」」」

「い、いただきます…………?」


 いただきますは前世の食事前の言葉だ。

 昔、習慣的に言っていたら父上に意味を聞かれ説明書きところ、我が家でも使うようになった。

 因みにご馳走様も言っている。


「あれ?えっ……と…………」

「オースタスちゃん。作法は気にせず、好きに食べて良いのよ」

「は、はい。ありがとうございます」


 そうだった。

 学園内で一緒に居るから忘れていたけど、オズは平民。

 貴族の食事マナーなんて知らないもんね。

 食後に軽く教えてみようかな?それとも食事の時間を皆とズラしてもらうか。

 あとで相談してみよう。

 昼食は恙無く進み、食後の紅茶を飲みながら話題は僕達の学園生活の話に移る。


「どう?学園は楽しい?」

「はい。こうやって友達も出来ましたし、入学して良かったと思います」

「いーなー。わたしもはやくがくえんにいきたいー」

「リリィちゃんもあと5年したら通えるわよ」

「マリィは来年入学だよね。試験頑張ってね」

「勿論です。お兄様と同じ首席を目指します」

「ぼくよりも優秀だから大丈夫だよ」

「……お兄様より優秀な方なんて国内に居るんですかね?」

「え?何か言った?」

「当たり前です。と言ったんですよ」

「ごめん、ごめん。そうだよね」


 小声で聞き取れなかったけど、マリィの事だから心配要らないだろう。


「オースタスちゃん……私もオズって呼んで良いかしら?」

「え?は、はい!勿論です!」

「ありがとう。じゃあオズちゃんはどう?学園は楽しいかしら?」

「……はい。Sクラスの皆はとても優秀で、正直付いて行くのがやっとではありますけど、それでも楽しいです!」

「そう、それは良かった」

「それにロイ君と仲良くなれて幸せです!」

「あらあら、可愛いわね。ロイちゃんの結婚相手にピッタリだわ」

「母上、冗談が過ぎますよ。いくらカザニア帝国では同性婚が容認されてるとは言え、オズがそんな気―――え?」


 女性陣3人(+ルーナ)の視線が僕に突き刺さる。

 え?何?僕なんか変な事言った?

 オズは苦笑いしながらこっちを見てるし……。


「お兄様、流石にそれは……」

「ロイ様、失礼が過ぎますよ?」

「おにいちゃん、さいてー」

「え?えっ?何?どうしたの?」

「ロイちゃん…………貴方、本当に気付いていないの?」

「え?気付いてない?」


 何を?まさか本当にオズはそちら側の方なの?

 いや、それは人の好みだから問題無い。

 でも僕が受け入れきれるのか……?


「オズちゃん。ロイちゃんはいつもこうなの?」

「はい……。ぼくが隠していたのもあるので、しょうがないとは思うんですけど?」

「隠してた?何を?」

「まさかこんなに鈍感な子だったとは思わなかったわ……」


 ますます理由が分からなくなってきた。

 一体どういう事だ?


「この際はっきり言っておくわね」


 母上が一度言葉を区切る。


「オズちゃんは―――」
















 「女の子よ?」

 お母様の爆弾かま投下されました。

 そう、元々オズは女の子だったのです。

 じゃあ何故男として学園に入ったのか?

 その理由は次話で語られます。


 期待していた方が居たらごめんなさい。

 僕にそっち方面は書けませんでした。



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