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魅了されて寝取られた彼女の贖罪は  作者: らいとふっと


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5/11

追放

 

 お母さんに縁を切られ、私が帰る家は無くなった。


 どうして……?

 これって、私が悪いの……?


 お父さんが亡くなって、お母さんから憎まれて。



 茫然自失な状態で、トボトボと故郷の集落を歩く私。


 顔馴染みの人達を幾人か見掛けたものの、誰一人として挨拶すらしてくれない。


 お母さんが言った通り、私は故郷を失ってしまったんだ……。





 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢





 それから3日を掛けて、私は隣接する領地に入った。


 馬を走らせれば半日の距離だけど、履いていた靴は既にボロボロになってしまっている。



 ようやく辿り着いたジャンの家。


 けれど。

 ジャンの父親から私に向けられたのは、激しい怒りだった。



「儂に顔を見せに来るとは、いったい何を考えているんだッ!」


「あの、話を聞いて下さい! 私、エスペン王子に操られて……」


「適当な嘘を()くな! 貴様のせいでジャンは……」



 いつも優しく私を歓迎してくれていたジャンのお父さん。

 なのに、貴様呼ばわりされる程に嫌悪されているのはショックだった……。



「お願いします、ジャンに会わせて下さい! 私、ちゃんと謝りたいんです!」


「謝るだと? ふざけるなッ! 息子に会わせて欲しいのは儂の方なんだぞッ!」



 どういう事なんだろうか?

 此処には、ジャンは居ない……?



「地獄の様な国境警備の任務から還って来たジャンを、国外に追放したのは貴様らだろうがッ!」



 涙声で叫ぶジャンのお父さんの声に、私の身体は硬直してしまっていた。



 国外に……追放……した……?


 ジャンはもう、この国に居ない……?

 もう私は、ジャンに会う事が出来ない……?



「貴様が密告したそうじゃないか……ジャンが国境警備から帰還出来たのは、魔族と結託して国家転覆を画策しているからだと……」


「な、何ですか、それ? そんなの、私は……」


「惚けるなッ! 王子の妾である立場を利用してジャンの人生を壊したくせに! 貴様には人の心があるのかッ!」



 実家に帰った時と同じだ。



 私が知らないところで、取り返しのつかない事態になっていて。

 その罪は、全部が私のせいにされていて。


 それなのに、私の話は聞いてくれない……。



「帰れッ! もう二度と現れてくれるなッ!」



 辛辣な言葉と侮蔑の眼差し。

 お母さんの時と一緒だ。



 どうして、こうなっちゃったのかな……?


 私、本当に何も知らないのにさ……?


 もう、元には戻れないの……?



 これで、私が帰る場所はどこにも無くなってしまった。





「ジャン……会いたいよぉ……貴方に、会いたい……よぉ……」


 その場で泣き崩れようと、手を差し伸べてくれる人は誰も居なかった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] バッドエンドもの、大好物です! 更新を楽しみに待ってます
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