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短編大作選

LED電球が切れるまでは

掲載日:2022/10/17

 私が生まれた日に、この電球は付けられた。


 私が生まれた日に、このLED電球は付けられた。


 私が目を開けているとき、ほぼずっと、その電球の光が瞳を射す。


 苦しんでいるときも、つらいときも、ずっと。


 ママと抱き締め合っているときも、ずっと。


 上には、やさしくて、力強い光があった。


 光は、あたたかさをたっぷりと含んだ、美しい色をしていた。






 私は、突然、治療が見つかっていない難病になった。


 少しだけ、弱さを見せることになってしまった。


 それは、生まれてから5年という、月日が流れた直後だった。


 このLED電球が付けられてからも、同じく5年が経っていた。


 それなのに、付けた時と同じくらいの目映さで、電球は光を放っている。


 そんな感覚がある。私とは、対照的すぎる。




 動くことさえ、儘ならない。動くことさえ、儘ならない。


 難病だから、この人生に、数秒も楽な時間はない。


 時の流れというものは、残酷だ。少しずつ、すり減らされてゆく。


 それでも、頑張るしかない。頑張るしかないんだ。


 私と、寿命10年の電球。どちらが先に、力尽きるか分からない。






 今日、私も電球も、10歳の誕生日を迎えた。


 突然、電気が消えた。切れたのではない、消されたみたいだ。


 代わりに、10本のロウソクが暗闇から現れた。


 そのロウソクは、白いケーキに刺さっていた。


 ママが代わりに吹き消すと、暗闇がまたやって来た。




 再び電球の明るい光が、私を包んでくれた。


 私は、ただ微笑むことしか、出来なかった。


 でも、それでよかった。それでよかったんだ。




 小さいけど、とてつもない光を放つ電球。


 寿命の日が来ても、私を照らし続けてくれている。


 かなりの憧れを持っている。でも、この電球よりも、長く光っていたい。


 この人生に、希望をちょっとだけ、見つけたから。

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