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狐の嫁入り -土姫ノ章-  作者: ツカサシキ
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1-5 情報に飢えた『モノ』は、ざらついた“情報(刺激)”を求める

立て続け投稿ですが、本日を持ちまして『一章』を終了いたします。

また書き直してしまいますが、よろしくお願いいたします。

 しかし、それだけで終わらなかったが…簡単に掻い摘めば、その日に僕が気絶した事を知った僕の家族が、総出で学校と揉めに揉めたのは…別の話。

 その後の幼馴染である友達の武勇伝は、小・中・高校と続き…他にも有り過ぎの為、割愛する。


 ――これは、僕の幼馴染で友達である“無患子(むくろじ)菜種(なたね)”が体験・経験した記録帳だ。


・・・・・


 僕が、その記録を書いていると何処で知ったのか…知った時の彼女の冷たい眼差しは、今でも恐怖心を駆り立てられるが、僕は「(残したい!)」と、また自分の我儘を優先し…大学生になってから今日も記録付けをしている。


 そんな昔の事を思い出しながら教室に向かっていると…何処の教室からも騒がしかった。


 教室に入り、クラスメイトに「おはようー」と、声掛けをすると山彦のように次々と男女の生徒からの僕と同じ言葉が返ってくる。


 席に着きながら聞き耳を立ててみると「また行方不明者が出たんだってさ」や「マジで?これで、何人目よ?」と、ざわついていた。

 中には「また家出なんじゃないのー?」とかを交えた雑談が飛び交っていた。


 実は、三日前からテレビのニュースと新聞に大きく取り上げられている話題だ。

 内容は、学校帰りや塾帰りの中学生と高校生の女学生が突然、行方が途切れる――…という、行方不明事件が立て続けに起こっていた。


 しかも――…9名。


 警察も当然のように捜査をしているが…何一つ、手掛かりが無くお手上げ状態。

 その事実を知った民間人からのツイッターとかのネット関係で『警察、大丈夫か?』とか『一体、何を探してるんだか…。』と、チクチクと突き刺すような炎上が起こっていた。


 そのネット関係経由の中には『カルト教団の拉致か誘拐じゃないか?』と、話しが風船のように肥大するまでになっていた。


 和気藹々と、話す同期生をよそに授業の準備をしていると…予鈴が鳴った。

 予鈴がなると…同時にパタパタと、足早に自分の席に着く生徒達の行き来が始まる。


 全生徒が、席に着く頃…数分後に担当教師が、教室の戸をガラガラと開けた。

 教卓に着くと直ぐにホームルームが、始まった。


 ホームルームの内容は、やはり行方不明事件に関する注意事項だった。


 そして、先生に「この中で、行方不明になっている子を見かけたり知っている人が居たら必ず警察に話すように」と、通告した。


 しかし、生徒の中には「絶対、家出だと思うんだけどな~」と、何故か家出説を推す人や「いやいや、もしかしたら愛の逃避行かもよ~♪」と、駆け落ち説を上げる人が少なからず居るのが現実…この場で、被害者家族が見聞きしていたら、どんなに息が詰まることだろう。


 その人達に注意しても「可能性を言ってるだけだってー」とか「多感な年頃なんだからあり得なくないでしょ?」と、開き直る――…この繰り返しにてイタチゴッコが、続く日常茶飯事だった。

 何時の間にかホームルームが終わり、あっという間に一時限目の授業が始まった。


 先生は、授業の解説等を長々と喋りながらスライド式の黒板を『カッカッカッ』と、音を立てながら白色や赤色、黄色のチョークを交互に使い分けながら先程まで話していた解説をスラスラと書いていった。


 僕は、先生の口頭と書かれている黒板からの解説を自分なりの解説ノートに書き写していった。


 そんな中、聞き忘れのないようにスマートフォンをボイスレコーダー機能に変更し机の上に置いておいたライトが点滅していた。

 授業中だったが、気になってしまい…画面を確認すると、メールの受信だった。


 授業中のため、気が引けたが…宛先を見ると、高校を卒業して記者として活躍している旧友・里中(さとなか)(じゅん)からだった。


 メールの内容は、例の行方不明事件の続報らしきメモだった。


 旧友は、僕に「(菜種に訊いてほしいんだな…)」と、何となく確信したが…直ぐに「(自分で聞きなよって、言っても…無駄かな…?)」と、変な葛藤が左右に揺れ動いた。


 僕は、心の葛藤しながらメールの内容を読み進めた。

 そのメモの内容は――…先程まで、警察に行ったのであろう新情報がつらつらと書かれていた。


 読み進めながらも僕は「(いくら僕が口が堅いからといって信用し過ぎでは?)」と、また別の感情が働いてしまった。


 しかし、僕自身も気になっていたせいもあり…先生の授業内容を聞きながら書きながらメールの内容を読み進めていった。


 警察より提出された報告によると簡単に掻い摘んでしまえば、行方不明になっている女学生の共通しているのは、同じ十代――…しかし、他の共通点と接点が無い赤の他人。


 でも同じ塾に通っている子が居たようだが…別のクラスで中々、かち合わない。


 探せば探すほど、理解に苦しんでいるという内容だった。

 旧友も苛立ちを隠せないらしく「いっその事、駄目元で霊能者にでも聞けっ!」と、言い出す始末。


 僕は、周りに気づかれないように小さく溜め息を着いた。

 そして、届いたばかりの旧友からのメールを彼女に丸ごと送信した。


 そして、僕は…送った直後に後からやってくる後悔を振り払うように今日一日の授業を集中した。





 第一章 -完-

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