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狐の嫁入り -土姫ノ章-  作者: ツカサシキ
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5-23 昔噺の追憶(23)

11月事霜月見舞いを申し上げます。

今月もご拝読いただきまして、ありがとうございます。


※苦手な方は、迷わずに御閉じください。

 よろしくお願いいたします。

 ――何故、知っているのか?

 単純に癇癪浪人の父親が、その一部始終を目撃したらしく…怒られているのを他の家臣や女中さん達に目撃視されたのだ。


 被害に遭ったのは、よく新鮮な野菜や果物の訪問販売の親子――…その約3~4歳の女の子だ。

 初めて会った時は、赤ちゃんだったのに…久々に会ったら大きくなっており、お手伝いと大人の真似事をしたい年頃なのだろう。


 たどたどしく、初々しさの残っているが…立派な根菜類を一生懸命に説明する姿に対応している料理番や女中さん達の心を『ほっこり』させていた。


 その和んでいる中の一人に癇癪浪人の父親の姿もあった――…たまたま町に出向いた茶菓子を思い出し、妻に話すと直ぐに用意させた。


 ――用意させている間の出来事だった。

 いそいそと癇癪浪人の母親が、持ってきたのを受け取ろうとした同時に悲鳴が――…何事だと、振り返ると…震えながら頭を抱えて、縮こまっている女の子の姿だった。


 騒ぎ立てる現場に一気に緊張が、走る――…女の子の異変に気付いた両親が、必死に様子を見ていた。


 女の子は「痛いっ…痛いよぉ…」と、泣きじゃくりながら左側の目を抑えていた――…目元から一滴の血が、流れていた。


 その女の子の傍らには、血の付いた尖った小石が――…嫌でも分かる。

 癇癪浪人の母親は、直ぐに駆け寄ると懐から手ぬぐいを取り出し…女の子の怪我をした目元を診た。


 騒ぎを聞きつけた家臣に癇癪浪人の父親は、事情説明をした後に医師の手配を発令していると――…その様子を人目のない死角から覗いたのは、ニタニタと不気味に嗤っている癇癪浪人の姿。


 目を疑ったが、直ぐに悟った癇癪浪人の父親は――…我を忘れたように迅速に癇癪浪人の元へと駆け寄った。


 突然の父親の登場に癇癪浪人は、驚いたと同時に『バキッ』と――…激しく打たれる時に発する音が、その場を響いた。


 ――癇癪浪人の父親に問答無用とばかりに殴り飛ばしたのだ。


 突然の事に更に騒ぎ立てるが…癇癪浪人の父親は、構わずに「お前は、あの子に石を投げつけて何をしているのだっ!」と、叱責。

 此処で、この騒動の“元凶”の存在に気付いた…いや、強制的に気づかされたのだ。


 ――その後、家臣により呼ばれた医師に女の子を診てもらった。

 不幸中の幸いにも癇癪浪人の母親の応急手当てが、功を奏した…女の子の目は、瞼が…少し腫れてしまっていた。


 少し、遅れていたら失明していただろう――…女の子の容態が、気がかりだが…怪我の状態を知る妻に任せて、そのままにしておけない元凶を判断を下そうとしていた。


 泣きじゃくりながら謝罪をしたが、直ぐに口だけの謝罪である事を見破ると「子供だからと善し悪しの区別が、つかない年齢ではない。あの子だけでなく、動物にも危害を加えていたと報告を受けている」と――…淡々と述べた。


 その言葉を聞くや否や、実の父親に対して「嘘を申さないでください!父上!」と――…役者顔負けの迫真の演技を披露した。


 しかし、待っていたのは…父親としてではなく、静かな怒りを灯した目を実の我が子に向けている『奉行』の顔だった。


 ――我が子を拘束させた後に医師を呼んでいる間に…癇癪浪人の手慣れていた様子に癇癪浪人の幼馴染に聞いてみたのだ。


 そしたら思いをよらぬ反応だった、ほんの一瞬だけ…言い淀まれたが「倅の過ちを正すために教えてほしい」と――…幼馴染の少年は、次第に薄っすらと涙を浮かべて「父を…父の職を辞しません、か?」と…我慢を溜め込んでいたのだろう、少しずつ話した。


 教えてくれた内容が、内容だった――…生き物を小石を投げては、脅かしながら傷めつける。


 癇癪浪人の父親の毅然とした態度に呆気に捉えながらも…何時もの仕事を熟すように目の前の父親は「納得していない顔だな。お前は、赦されない行為をし続けていたのだ。しっかり、母の実家である寺社に更生を申し立てた」と――…続けた。


 その言葉に癇癪浪人は、絶句した――…癇癪浪人の口は、金魚のように口パクをしながら何とか言葉を出そうにも出るはずのない。


 ――既に“決定事項”である。

 突如決まった決定事項に石のように固った癇癪浪人を『寺社奉公』をさせるべく、自室謹慎をさせている間に早急だったが…癇癪浪人の母親の実家への事情申請を行った。


 申請受理されるまでの間――…傷害を受けた野菜売りの家族には、手当代金全額負担と“お抱え直売”として立身出世となった。


 ついでと言ったら不謹慎だろうが、全農民に三ヶ月間の訪問特定健診を発令を行った。

 戦時中の流行病になりやすい時期でもあり、野菜売り親子を診てくれた医師からも危惧申請を受けたのだ。


 ――早速と、準備完了と同時に訪問特定健診を実行していた。

 初めての試みに疑心暗鬼を持たれてしまったが、当主の人柄を知っているため…受け入れてくれた。


 治験だが…最新医療の進展ため、着々と個人差あるものの検査結果を得ていた頃――…貫禄のある癇癪浪人の母親の実兄にて僧侶と同じく貫禄のある数人の僧侶が、問題を犯した癇癪浪人を迎えに来たのだ。


 迎えに来るまでの間も…また懲りずに猫を被り父親に直訴と言わんばかりに抵抗を試みていたようだが、叶うはずもなく――…久々の妹夫婦との再会を喜びながら二言三言の挨拶を交わしつつ、手土産を物々交換をしていた。


 そして――…挨拶をそこそこに早速、本題である自室謹慎をされていた癇癪浪人の話をしながら部屋へと…向かった。


 事前に報告を受けていたため、部屋に入って早々に暴れる可能性を考慮し…数人の僧侶達が、先頭に立った。


 ――案の定。

 この言葉が、相応しいだろう。


 読み通りに部屋の戸を開けた瞬間、雄叫びを荒げながら体当たりをしてきた――…だが、こちらも予想範囲内だったらしく…あっという間に組み伏せられた。


 ほぼ母親と同じ体格までに成長しているとはいえ、男性だ――…母親か女中だから突飛ばせると、思ったのだろう。


 子供ながらの渾身の――…だったのだろうが、自身を組み伏せたのは…顔なじみのある僧侶である伯父だった。


 呆気に取られていると、何気に周囲を見ると…迎えに来た貫禄だけでなく、体格のいい伯父と数人の僧侶――…後ろには、険しい顔をした両親の姿。


 あっという間の出来事と光景に呆気にとらわれていると、担ぎ上げられた――…担ぎ上げられた際に我に返り、慌てて抵抗していたが…暴れないように縄で、あっという間に手慣れた様子で…拘束された。


 拘束されても喚き散らしながら抵抗を試みたようだが、敵うはずもなく…あっという間に舌を怪我しないように猿ぐつわもされた。


 その一部始終を目の当たりにした者は「坊ちゃまは、祟られたのでは?」と――…噂されてしまったが『臭い物に蓋をする』である。


 子供特有の凶暴性は、現代でも問題視をされている――…どんなに恵まれた環境であっても子供からしたら『当たり前な日常』であると同時に「物足りない」と、誤認してしまう。


 ――当たり前と、思っている時点で“誤っている”のだ。


 誤認の正体は――…よく天災や事故、事件を思い浮かべますが…最近版だと、何時の間にか『ネット犯罪』に巻き込まれてしまっているのと同様だ。


 いくらセキュリティ対策・設定を行っていても危険と隣り合わせの日々を送っている。

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