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狐の嫁入り -土姫ノ章-  作者: ツカサシキ
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5-22 昔噺の追憶(22)

10月事神無月見舞いを申し上げます。

今月もご配慮くださり、ありがとうございます。


※苦手な方は、お閉じください。

よろしくお願いいたします。

 何故ならば、あなたが『嫌われる』言動と行動をとっているからです――…亡くなった相手を“想う”なら尚の事です。


 あなた自身が「嫌だ」と、思うなら『相手』も嫌がらせ以外何物でもないのです。


 最大の供養は、あなたが――…大小のない“幸せ”を感じる事です。


 好物を食べる幸せ。

 好きな音楽を聴いたり、好きなテレビ…ドラマやアニメを見たり、好きな雑誌に漫画を読んで『笑う』事も供養になります。


 ――好きの有無が、人生=心情を左右するとも言われていますし…好きが“素晴らしい”ご褒美であり『心の救急箱』でもあります。


 気になっていた事へのチャレンジも実は、供養にもなります――…今まで以上に後押し応援をしてくれる“きっかけ”になります。


 ――それに『春・秋・冬の彼岸』や『お盆』に“必ず”様子見に来きてくれます。


 お墓参りが、難しくなってきている現代では『空』に向かって「大丈夫」と――…換気ついでに窓を開けた際にでも小声でも念じても大丈夫です。


 その“想い”は、亡くなった方への季節別の『絵葉書』を贈っているのです。


 ――もう亡くなってしまっているが、僧侶の曽祖父から教えられた。

 人だけでなく、動物も“思い入れ”次第であるが…四十九日までの間、この地に留まってくれている。


 四十九日――…仏教において故人の魂の行き先が、決まる重要な節目であり『忌明け』の事であり、長いようで短い…亡くなった事への受け入れと未練を絶ちながら“あの世へと旅立つ”準備期間。


 狐様親子も…継母羊の夫も“例外”なく…まだ、この地に留まり『寄り添って』くれている期間。


 村の子供達にも“四十九日”の事を教えてある――…子供達の反応は、様々だったが…意外にも「帰ってきてくれるんだね!」と、聞き入れてくれた。


 大人からしたら成長の速さに微笑ましいものの…手の掛からなくなってゆく、寂しさに似た心情に葛藤すると同時に安堵もする。


 ――あっという間に朝の散歩を終える頃、直ぐに冷たい井戸水を汲み…愛用茶碗に注ぎ入れる。


 すると、朝餉の支度を進めているのだろう…味噌汁の出汁の香りが、何とも食欲を意地悪にそそる。


 継母羊と子狐が、水を飲んでいる間に…子狐の朝餉の準備をするため土間へと、向かった。


 土間に行くと――…母が、朝餉の支度を進めていた。


 今日の朝餉は、とろろ昆布を巻いた握り飯と精進出汁を利かせた豆腐の味噌汁と大根と赤紫蘇の香の物に青菜の煮浸し。


 母に挨拶をすますと先程の事を話した――…すると、直ぐに用意してくれた。


 ――狐様が、使っていた椀を炊きたて御飯をよそい…熱を冷ます。

 ご飯と味噌汁の熱を冷ましている間に母は、自身の分の焼き魚の身を手慣れた手つきで…パパっと解し、ご飯の上に散らし乗せた。


 何故、直ぐに用意できるのか?

 生前の狐様の好物を把握しているからだ。


 狐様の娘である子狐も母狐と同じ好みだと、分かるや否やである――…母と医師の修行中である弟は、川魚や獣肉を食べれるから漁師飯の一つである冷や汁も作れる。


 よく苦ではないのかと、疑問に持たれるが…宗派によるが、七品料理である精進料理と一緒に作っていた。


 何より…まだ田畑の手伝いできず、将来のためにと物書きを学びに来る村の子供達への昼餉『ついで』に作っている。


 時々であるが…母親の体調次第で、お裾分けも常備している――…医師の卵である弟に巡回診療として、お裾分けを持って行かせていた。


 すっかり、当たり前な日常生活に――…曇天よりも悪質な暗黙の影が、獲物を見つめたかのように差し伸ばしていた。


 ――日々を送り、月日を送り、年月をも送り…今年も“当たり前”な日常を送れるはずだった。


 変わり始めたのは、戦争により溢れ出した例の癇癪浪人――…嫌な言い方をすれば『お尋ね者』以外、何物でもない。


 しかし、癇癪浪人の気づかぬ内に…いや、気にしなかったのかもしれないが…徐々に仲間から一人また一人と、絶妙過ぎる距離を置かれながら逃亡していった。


 同時に中には、婿養子に迎え入れられた元浪人達も後を絶たない――…迎え入れてくれた謝礼としたら割に合わないと思われるだろうが、自ら癇癪浪人の『監視』役を名乗り出てくれた。


 もうすっかり、浪人から農民の風格になった彼等からの息の合った連携と伝達を駆使していた。


 ――しかし、また…恐れていた事が、起きた。

 ドラ息子でもある癇癪浪人が、父親の部下である家臣を切り捨てたのだ――…何故、知っているのか?


 目撃したのは――…癇癪浪人の同郷で、一歳年下の幼馴染だったからだ。

 社会勉強だったはずの出立だったというのに“現実”は、どうだ――…お互い世間知らずの高枕なのが、運の尽きた。


 生まれるのが、遅かったら――…幼い頃から過度な命運を呪い、今日も証拠提供として他の元浪人達と共に監視を日夜問わずにし続けていた。


 癇癪浪人と幼馴染が、出会ったのは――…親子同伴の挨拶式の時だった。

 初めて会った時から癇癪浪人に対して「(苦手)」だと、野生の感か…必要最低限の接し方を心掛けたかった。


 ――だが、そうはいかない。


 大人の「子供同士なのだから仲良くしなさい」である――…親や周囲の大人の前では『いい子』として、何匹をも猫を被っていたのを今でも思い出される。


 幼い頃から癇癪浪人の残虐性を知るには、早かった――…大人の居ない、僅かな時間帯…誰もいない事を確認するや否や…木に止まっていた小鳥を目掛けて、厠辺りに拾ったのだろう小石を投げつけた。


 小石は、運良く小鳥に当たらなかったが…突然の小石に驚いた小鳥は、直ぐに飛び去って行った。


 徐々に高い空へと逃げる小鳥に「チッ…」と、耳を澄ませなかったら聞こえない舌打ちをしてから…また“いい子の仮面”を瞬時に被った。


 ――その様子を目撃して以来、怖気た。


 別の日には、迷い込んだ野良猫…しかも子猫に小石を投げつけていた――…この日も運悪く、目撃してしまった。


 その子猫も小鳥同様、幸い当たらなかったが…思わず、ハラハラしてしまった。

 だが、幼馴染自身も…この一件について、自身の親にすら相談しなかった――…いや、出来なかった。


 いくら『真実』を話したとしても…大人は“子供の戯言”しか、捉えない…しかも『上司の息子』を陥れる言動と行動と捉えられる。


 ――つまり、父を“失脚”させてしまう事を子供ながらに分かっていた事もあり…話さずに息を殺すように押し黙るしかなかったのだ。


 その後、似た光景を目撃しながらも押し黙りながら…お互い、嫌でも成長する。


 あっという間に母の身長を超える手前になった頃――…恐れていた事が、起こってしまった。


 遂に人を傷つけるようになってしまったのだ――…小鳥や野良猫にしていたように小石を的当てをするかのように投げては、反応を楽しんでいた。

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