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狐の嫁入り -土姫ノ章-  作者: ツカサシキ
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5-13 昔噺の追憶(13)

12月事師走見舞いを申し上げます。

今月もご拝読いただきまして、ありがとうございます。


今年2024年も大変、お世話になりました。

来年も完走していきたいと精進してまいります。


※苦手な方は、お閉じください。

よろしくお願いいたします。

 こちらも幸いながらも…羊親子と住み着いていた妊婦狐は、いがみ合う事なく…励ましあっていたように見えた。


 草食動物にとって、肉食動物は『天敵』である――…同じ、雌であり妊婦であったからかもしれない。

 あくまでも個人的な都合のいい解釈である事を自覚している。


 しかし――…子育てが、忙しいであろう羊は…お腹いっぱいになり寝ている我が子から離れては、狐妊婦の様子を見てきた。

 母も例外なく、様子を見てきた――…人でも動物でも妊娠と出産は、気が立つものだ。


 母は、人肌までに冷めさせた微温湯と焼いて解しただけの鶏肉を乗せた…塩気を薄めた『猫まんま』に作り…差し入れていた。


 始め警戒されていたものの…気持ちが、通じたのだろう。

 人気があっても警戒する事なく、美味しそうに食べてくれていたのを今でも思い出す。


・・・・・


 しかし、野生動物に“やってはいけない行動である”が――…もう亡くなってしまった妊婦狐は、この村にとって欠かせない『守り神』のような存在だった。


 大袈裟に聞こえるだろうが――…主に作物の保存している保管庫の側を根城にしていたため、田畑を荒らすモグラやネズミ退治に一役を買っていた。


 狐からしてみたら餌取である、が――…村人達は、ありがたい存在。

 しかも子供達と羊の“英雄”でもあるのです。


 ――また大袈裟だと笑われるでしょう。

 子供達が、裏山にて旬の山菜や果物の取りだけでなく羊の散歩も行っていた時の事――…裏山の草を食べ進めていた子羊が、子供達と羊の群れから離れてしまった。


 その時――…荒い息を吐きながら体格のいい狼が、子羊と群れから離れてしまった子羊を連れ戻そうとした友達の妹さんの許に飛ぶように襲い掛かった。


 一部始終を見て驚愕した兄と他の年長者は、助けるべく一斉に駆け出すも――…明らかに距離が長く、間に合わない。


 中には、突然の出来事に驚き…硬直してしまう子供、悲鳴を上げながら尻もちをついてしまった子供や年長者さんの手を掴んでしまう子供に分かれてしまい…行く手を阻まれてしまい、まるで千鳥足にでもなったかのようにもつれた。


 ――その間でも最悪な事態である事に変わりない。


 その時だった「ぎゃわんっ!」と、狼から悲鳴を上げた――…村の『守り神』である黒い狐の姿だった。


 狐は、狼より小柄だというのに勇敢にも歯肉と白い犬歯を剥き出しにしながら威嚇をしていた――…狼も負けじと体制を整えながら狐と同じように歯肉と白い犬歯を剥き出しにしながら威嚇していた。


「「グルルルルッ!」」


 ――同じイヌ科であるが、改めて見なくとも体格の違いに嫌でも気づく…よく「見た目で、判断してはいけない」と…親から言われたが、心臓に悪い状況だ。


 しかし…狐は、負けじと狼に威嚇し続けた。

 その間――…兄は、前に出て…隠すように怖がっている他の子供達を落ち着かせながら…年長者さん達に子供達と子羊達を託すように誘導していた。


 誘導している間も気が抜けない。

 狼が、狐を主眼にしているが――…子供達と羊達が、一歩一歩動く度にチラチラと…襲い掛かる場面を見計らっていた。


 ――その時だった。

 また狼が『チラチラ』と、よそ見した瞬間――…狐は、瞬時に狼目掛けて突進した。


 ドカンッ――…と、また勇敢にも体当たりをしたのだ。

 また狐に体当たりされると同時に痛みにより狼は「ギャインッ!」と、悲鳴を上げると直ぐに…初めより痛かったのか、よろつきながら来た道に逃げ帰ってしまった。


 狼が、逃げ帰っても…狐は、まだ耳を立てながら警戒態勢をしながら威嚇をし続けていました。


 暫くすると、まだピンッと耳を立てたままの状態で――…落ち着かせるために顔を洗ったり、体を舐めていた。


 あっという間に緊張感が、切れた事もあり…狼を追い払ってくれた狐に子供達は、お礼を言いたいらしく…近寄ろうとするのを兄と年長者さん達が、止めた。


 確かに…村に飼われている馬や鶏、羊を傷つけないどころか…実った畑の野菜を荒らさずに逆に食べ漁るネズミやモグラを狩って食べる守り神的な存在。


 加えて――…人の言葉が、分かっている節を見せる。


 しかしながら親近感を持ち、狼を追い払ってくれたものの――…野生動物のため、狼の次に襲い掛かってくるかもしれないからだ。


 ピコピコと、耳を傾けている狐だったが…何かに気づくと同時に猫のような忍び足をしながら気配のある目先目掛けて…電光石火の如く、飛び掛かっていった。


 飛び掛かると同時に茂みが、激しく揺れ動いた――…生い茂っているため“何”をしているのかは、人間の肉眼では…どんなに頑張っても確認できない。


 ガサガサッ――…と、激しく音しか響かない。


 また狼だったら嫌だったため…兄は、他の年長者さん達に小声で「あの狐様が、頑張っている間に行こう」と――…年長者さん達も兄の言葉に同意し、子供達と子羊達を誘導しようとした。


 だが――…子供達も子羊達も岩かと錯覚する位、頑なに動かない。


 いいや、これは『気になって動けない』だろう――…中には「一緒に帰りたい」と、ぐずりだしてしまったが…兄も年長者さん達も“心を鬼にして”無理矢理、抱っこし…下山した。


 子羊達も子供達と同じように気になって動けなかった、が――…年長者さん達に『ポンポン』と、お尻を叩かれながら「メェメェ」と…抗議するかのように鳴きながらも渋々だったが…行進し始めてくれた。


 ――その後、無事に下山した所に田畑作業中だった大人達に話した。


 始め、あまりの早い散歩に理由を聞くや否や――…子供達と子羊達が、無事である事に安堵を溢すしかなかった。


 作業の手を止めてしまったが…話を聞いた狼の件もあるため、子供達と子羊達を守るように送迎を買って出てくれた。


 子供達の送迎道中――…子羊達の小屋と離れてしまうため、二人の大人達と年長者さん達に子羊達を頼み…見送った。


 見送っても不安というのは、どうしても拭えないものだ――…思い返せば、一人一人の家宅に送迎した時の子供達の表情は…曇っていた。


 ――楽しんでいた散歩に…狼との予想外な出来事に初めて見た子も多かっただろう。

 子供達の思った以上の驚きと同時に…何よりも“狐”の安否が、分からない事への不安を隠せずに闘いながら帰路に就いたのだから無理もない。


 最後の子供を送り届けると――…出迎えてくれた母親に事情を話すと、送った子供達の同じように青ざめながら「無事で、良かったっ…!」と…子供を力いっぱい、抱きしめた。


 抱きしめられた子供は「苦しいよ…」と、抗議するが…母親の腕は、弱まる事なく…静かに震えていた。


 その様子に男衆の一人から村に居りてくるかもしれない狼に対して、注意勧告を話した――…母親は、まだ子供を抱きしめたままだったが「ぅんぅん」と…必死に注意勧告について、耳を傾けていた。


 その後――…二言三言の会話を終えると、案の定というべきか…。


 我慢できなかったのだろう…まだ母親に緩めに抱きしめられている子供から「狐様…無事だよねっ?大丈夫だよねっ?」と、必死に問いかけてきた。


 子供の質問に対して、答えられない――…不透明な現実に対して、子供を変に期待させてしまっては『心情』を壊しかねないからだ。

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