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狐の嫁入り -土姫ノ章-  作者: ツカサシキ
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5-10 昔噺の追憶(10)

9月事長月見舞いを申し上げます。

今回も拝読していただきまして、ありがとうございます。

また読みにくい部分が、あるかと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。


※苦手な方は、直ぐに閉じてくださいね。

 よろしくお願いいたします。

 その後――…修行僧を無事に終えた兄は、帰宅の準備に取り掛かった。


 故郷の村から離れて、何度か訪れた事のある土地にて修行する事となり――…早二年の年月が、経っていた。

 宗派にもよるが、約二年間の修行を行わないと“僧侶”として認められない。


 ――その長年の修行を終えた。

 辛かったが、達成感と共に勝手ながら『第二の故郷』とも思っていた兄は…寂しさに浸りつつも荷造りを終えた。


 荷造りが、終えた事と出立する日時の事を師匠に報告すると――…懐から大事そうに“何か”を取り出し、兄の前に差し出した。


 目の前に差し出されたのは、可愛らしい花柄の刺繍を刺してある山吹色の小ぶりの巾着だった。

 その巾着袋に兄は、思わず目を丸くしていると師匠に「忘れていると思う、が…其方から預かった“再会祝い”だ」と――…思い出した。


 思い出した、が――…お布施である事を話そうとするところに師匠から「お布施ではなく“気持ち”を無駄にする気か?」と、怒られた。

 そして、金銭を入れある可愛らしい巾着については「其方の故郷の出から引っ越してきた者からの贈り物だ」と――…また目を丸くした。


 ――この地に引っ越してきた者と言えば、元故郷である金物屋一家の事だ。

 まだ目を丸くしたままにしていると、師匠から「其方が、此処での修行を卒業すると同時に渡してほしいと頼まれた」と…また目頭が、熱くなっていた。


 お礼に行きたいが、もう既に夕刻時――…思った以上に荷造りに手間取ってしまったのもあるが、お別れ会のように祝ってくれた。


 翌朝の早朝――…兄は、次の新たな『お弟子さん』のために部屋の掃除をし終えると“最後の務め”として回路の拭き掃除。


 次々と最後の務めを片付けと朝餉を終えると、出立の刻となった――…せっせと旅支度を師匠への挨拶を済ませた。


 まだ作業時間だというのに…見送りの許可を貰ったのだろう先輩と同期、後輩に別れの惜しまれながらも見送った。


 参道へと歩みを始めてから何気に振り替えると…あっという間に世話になった寺社は、小さくなっていた。


 改めて、姿勢を正し「ありがとうございました」と――…深々と頭を下げた。


 ――すると『気ヲツケテネ』と、可愛らしい声がした。

 咄嗟に顔を上げると、紅白梅の刺繡を施された美しい振袖を身に包んだ…深々とキツネの面を被った女の子の姿があった。


 呆気に取られていると…仮面越しだが、微笑んだように見えた。

 女の子は、挨拶を終えると――…温かな風がも吹くと同時にキツネの面を被った女の子の姿は、消えていた。


 もう汗ばむ季節であるが…先程の風は、不思議と熱くなく…爽やかな風だった。

 突然の不思議な出義事を体験した兄は「(土地神様)」である事を思考が、一直線に理解した事に慌てて頭を下げた。


 兄は、挨拶を済ませると――…また歩みを始めた。


 歩み続けると見慣れたはずの町並みが、目に入った。

 その同時に“別れ”である事に再び理解してしまう…寂しさ残るが『自ら決めた』事である事を無理矢理、振るい正せてから…また歩み始める。


 歩みながら一軒一軒に別れである報告と加護の願掛けを務めていった――…そして、同郷の金物屋さんに行き着いた。

 お礼も込めて、同じように加護の願掛けを終えた時――…開店前の準備をするために女将さんが、出てきた。


 お互い驚いてしまったが、兄から加護の願掛けをさせて頂いた事と茶巾袋の礼を言うと…女将さんは、お礼を言いながら鼻声へと早変わりした。

 引っ越して早々に再会を果たしていたが、もう『お別れ』に寂しさと兄の立派な姿に感動を湧き上がっていた。


 早いとはいえ、あっという間に開店となってしまう事に兄は「そろそろ行きます。機会があったら寄りますね」と、挨拶をすると――…女将さんに「ちょっと、待ってて!」と、慌てて店に戻っていった。


 兄は「(何だろう?)」と、思っていると…先程のように慌てながら女将さんが「握り飯を作ったから持って行きなさい。整備されているとはいえ、長旅だから休憩がてらに食べなさい」と――…握り飯の入った包みを渡してくれた。


 突然の事に驚いてしまったが…ありがたく、受け取った。

 お弁当を大事に仕舞い終えると…また一言二言の挨拶を交わして、別れた――…時折、振り返ると…間もなく開店だというのに見えなくなるまで、手を振って見送っていた。


 ――途中、申し訳ない気持ちになり…少しだけ、足早に後にした。

 足早でも性というべきだろうか、また一軒一軒に加護の願掛けを行いながら…小町の出入り口が、近づいた。


 最後の家への加護の願掛けを終えると同時に…来た道を振り返った。

 途中、早歩きをしてしまったものの…お世話になった寺は、あっという間に遠くにあり不思議な気持ちとなった。


 お弁当を持たせてくれた金物屋さんは、開店したばかりだが…もう待ち望んでいたかのようにチラホラと並び始めていた。


 服装からして、大工さんだった――…知り合った大工さんの姿もあった。


 兄が、修行初めの頃に挨拶に伺った際に出会った新人の大工さんであり「自分も他所から来た新人なんだ。仲よくしような」と…お互い“余所者”だが『職』が、違えど“修行”の身であったため直ぐに仲良くなったそうだ。


 ――その後、修行の休憩時間に差し入れをしあっていた。


 丁度、寺子屋を開業していた頃でもあり…お試しとして参加してくれた子供達には、茶菓子。

 子供達と混じって授業に参加していた親御さんには、今晩の副菜として…香の物を手渡していた。


 茶菓子として、手渡しているのは――…秋の『宝作』として、寺社の一部の庭を畑にしており…柿とサツマイモを育てていた。


 香の物は――…授業料として頂いた新鮮な野菜を日持ちするように塩漬けや酢漬けにして、手土産にされる。

 秋になると、実った柿の実とサツマイモは――…干し柿と干し芋にして、手渡すため“寺子屋恒例”となっている。


 時にサツマイモを扱った『おはぎ』を振舞った――…炊いた小豆も人気を誇っているが、荒く潰したサツマイモの素朴な甘さも人気を得ていた。


 ――干し柿と干し芋以外、手渡しているのは…ザラメおかきや煎餅。

 この頃に砂糖が、出回っているため『砂糖饅頭』や『砂糖羊羹』を売りに出されていた記述もあります。


 しかも寺社として、干し柿と干し芋や香の物を作られているため師匠筆頭に“無病息災”の祈禱を籠めた『旬』の御利益付きである。


 そして、寺社が“取り扱っている米菓子”とも例外なく…無病息災の祈禱を籠められていた『御利益食品』として、人気を集めていた。


 丁度――…買い出しの当番にて、一緒に回る事となった際に兄の昔馴染みに金物屋さんに出向いた。


 兄の顔を見るや否や…店主さん達に大変、喜ばれた。

 一言二言、挨拶を済ませていると――…大工さんは、何種類かの釘を購入していた。


 本来ならば、余分に持って行くか…お昼休憩辺りに足りない分を購入しに行くそうだが、疑問だった事を質問してみると「他の店の看板商品よりも使い勝手が良い」との事だった。


 その後は、手伝ってくれた礼にと大工さん“おすすめ”のゴマ煎餅と玄米煎餅を奢ってくれたそうな。

 甘いモノが、苦手な人でも食べれる評判の人気煎餅であり――…先輩にも好評な煎餅であった。

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