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0. 永遠の別れ
火に包まれた村。
村中に横たわる顔見知りのみんな。
血を流して倒れているお母さん、お父さん。
そして目の前には、
「そ…湊燕様っ……ち、血がっ…」
刀の柄をつたって
愛する人の血が
私の手から滴り落ちる。
刀は心臓を、体を、貫いていた。
私を抱きしめられるほどに、深く、深く。
「すまない…光…。これしか方法が…っ。」
後ろから聞こえる足音たちが、襖を乱暴に開く。
「そ、湊燕副隊長!!!」
「あの女を捕らえろ!」
逃げる余地がない。
だって私は、この国のトップ梯団の副隊長をこの手で刺し殺しているのだから。
「光…ソルウルビスへ行け…。必ずみなが幸せにしてくれる。」
副隊長の覇気なんてもう微塵もなかった。
体重が少しずつ私にかかってくるのがわかる。
湊燕様の顔が私の肩にかかり、耳元で最後の言葉を囁いた。
「光…愛してる。」
湊燕様がどんな顔で囁いていたのか。
私にはわからない。