登校中の出会い
「起きてください、水瀬さん」
「うーん、あと少し」
水瀬さんはやはりうっかりというかなんというか。
ふと、僕はいい事を思いついた。
僕が水瀬さんにゴソゴソやっていると、
そこで水瀬さんが起きた。
「直也、何してるの」
僕は清々しく
「おはよう、水瀬さん」
「挨拶は嬉しいけど、これはどういうこと?」
僕は水瀬さんのパジャマを脱がせていた。
「時間短縮のために!」
「やはり、あなたは勉強より大事な理性を失っているようね」
「ありがとうございます、水瀬さん」
「褒めてないわよ!あ、そうだ直也、登下校は一緒じゃないから、よろしくね」
え?
「水瀬さんは馬鹿なんですか?僕は記憶がなくて、学校の位置が分からないのに僕を置いていくんですか」
「あ···そうだった、じゃこうしてこうして···」
僕の何故かロックのかかってないスマホを水瀬さんがいじり始めた。
「これを見ながら──」
「なんですか、この牛野屋って店、このラブゥホテルってとこも──」
「はいはーい、じゃそれ見ながら学校来てねー!」
水瀬さんは刹那の瞬間に支度をして外に出ていった。
「···あれ、水瀬さん、僕の鞄持っていってる」
僕も代わりに水瀬さんの鞄を持って、家を出る。
というか、何故水瀬さんは僕と学校へ行かないのだろう。
恋人なら一緒に行くのが普通なのでは?
僕もそっちの方が安心できるし。
「あ!直也くん!」
その声は水瀬さんではない声。
「退院おめでとう、大丈夫?」
誰、この娘。
水瀬さんと同じ服を着ているから同じ高校だろう。
「えっと···」
おっと、そうだった天才だったんだ、僕
「僕は天才なので大丈夫です」
天才かよ、僕
「僕?」
その娘はそのフレーズに反応したらしい。
まさか、僕ではなく俺が一人称なのか。
「でも、私はそっちの方がいいな、懐かしい感じで」
あ、そうすか
てか、本当にこの娘誰。
僕の過去を知ってるようだけど。
僕はその娘の鞄の名前を見てみた。
そこには美馬穂花と書かれていた。
「ホノカさん?」
「何改まってんの?いつもみたくホノでいいよ」
え、僕彼女いるのに、こんな娘の事あだ名で呼んでんの?
罪深いな、前の俺。
って、あれ?
なんかホノさん、指に···
「指輪?」
ま、まさかこんな若い娘が···
「え、どうしたの?」
「いや、なんで指輪なんかしてんのかなーって」
並行して歩いていた、ホノさんが止まった。
「忘れちゃったの、ナオ君···?」
ナオくんって僕の事?
というか、僕まさかとんでもない地雷踏んだ?
なんかホノさん泣きそうなんだけど。
「ううん、本当に昔の事だもんね、仕方ないよ。さ、学校行こ」
あの顔は多分平気じゃない。
僕はホノさんにとって多分とんでもないことを言ったのかもしれない。
何だかすごく悪いことをした気分だ。
「ごめん、前の僕」
「はー、直也、ちゃんと学校来れたかな」
直也とは違うクラスだから確認しようにも、直也くんが私に反応して周りに噂が···
すごく不安になってくる。
「あれ、水瀬さん」
喋りかけてきたのは、室長の榊原さん。
「どうしたの?」
「水瀬さん、なんで直也の鞄を持ってきてるんですか?」
私は咄嗟に鞄の名前を見る。
そこには、黒いペンで飯田直也と書かれていた。
良ければ、評価の方どうかお願いします。
それを励みに頑張りますので、よろしくお願いします!