願い
聖域を壊して……。
それがアビィの願いだった。
「聖域ってここの事か?」
"いいえ、ここではない別の場所……この要であるこことアビィとアルテッサが守っている聖域を壊すことが出来る鍵が眠っている所"
「鍵?それはどこにあるんだ?」
リックが聞く。
アビィ達を助けるにはあの聖域を壊せばいいのでは?とリックも思っていたからだ。
"ごめんなさい……100年の眠りのせいでどこにその鍵があるのか記憶にないの"
アビィが申し訳なさそうに答える。
「いや、鍵があるって分かっただけでも良かった」
リックがそう答える。
"リック、あなたは本当に優しいのね……でもいつかその優しさが仇となる日が来るかもしれない。だから覚えておいて……優しいだけではアビィを救うことは出来ないってことを"
「あぁ、分かっているよ……」
リックも分かっていた……優しさだけではアビィ達を救えないことを……。
リック自身も強くならないと、そう思っていた。
"アン、リーン、そしてリック……どうかお願いします……聖域を壊して"
「あぁ、必ず聖域は壊すよ……約束だ」
リックがそう答えると水晶の中にいるアビィの顔が微笑んだ。
「アビィ、あとひとつだけ教えて欲しいことがある……このアルテッサから貰った地図の場所に覚えあるかな?」
リックはアルテッサと別れる時、託された地図......呪いのせいなのかアルテッサでさえ近づけない場所だった所。
その地図をアンとリーンにも見えるように広げる。
「リーンは、この場所分かる?」
アンがリーンに聞くがリーンも分からないのか首を振る。
水晶にいるアビィは今この地図が見えてるのか分からないが、リックは水晶に向かって地図を広げて見せる。
"ごめんなさい……もしかしたら知っていたかも知れないけど、今の私にはこの場所に覚えはないわ"
「そうか……」
それでもアルテッサが何かしらの力が働いて動けなくなってる可能性がある。
何も手がかりがないよりは動きやすいのでこのままこの場所を目指すことにしようと思ってるリックだった。
"これからここを新たに結界を張ります……張ったら私はまたしばらく眠りにつくことなる……どうか願いします……聖域を壊して"
「あぁ……必ずその願い叶える!」
"ありがとう……"
アビィがそう言うと水晶が光だし思わずリック達は目を閉じる。
光が収まり目を開けるとアビィは再び眠りについたのか話しかけても返事が返ってくる事はなかった。
しばらく、リック達はアビィが眠っている水晶を眺めていたがこのままこうしてはいられない……先に動いたのはリックだった。
「出発しよう」
そうリックが言うとアンとリーンも頷き洞窟を後にする。
洞窟を出ると既に太陽がてっぺん近くにあり時間的に昼をさしていた。
「さぁ行こう」
リックがそう言うと3人は歩き出す……アビィの願いを叶えるために……。
ここから本当の旅が始まろうとしていた。




