これから
夜が明け朝になった。
アン、リーン、リックは目を覚ます。
「なぁこれからアン達はどうするんだ?」
「私は……ここを守らないといけない……けど……」
アンはそう言うとなにも言えなくなってしまった……アンはリックに会い外の世界に興味を持ってしまった。
ここを守らなければならないのは分かっている……けど、外の世界に出て色んなことを知りたい。
だからアンは迷ってしまったのだ。
「アン……」
リーンがアンの肩に手を置き心配そうに名前を呼ぶとアンはその手を軽く握る。
「大丈夫よ……分かっているから……リック、私はここを守らないといけない……だから」
悲しそうにアンは言う……リックもアンに自由になってほしいとは思っているがどうしたらいいのか分からないでいた。
その時、アビィの時と同じくどこからか声がしたような気がした。
"アンも自由にしてあげて……"
「アン……俺は君を自由にしたいという願いは変わらない……アン、君は本当はどうしたいんだ?」
リックがそう聞くとアンは再び考え込んでしまった。
アン自身もこのまま外の世界へと出たい……でもここを守らないといけない……。
アンは決断出来ずにいるとアビィが封印されている水晶が光り始めた。
いきなりの出来事にアン達は驚く。
するとどこからか声がして来た。
「誰?」
"私はアビィ……あなた達の事はずっと見てきました"
アン達一同それを聞いて一斉にアビィが封印されている水晶を見ると淡く光り輝いていた。
「本当にアビィなの?」
"はい……アビィで間違いないです"
「もしかして、あの時の声は君なのか?」
リックは聖域から出る時、自分に素直になっていいと言う声に導かれアビィを助けることを決意したのだった。
その声が今聞こえてる声にとてもよく似ていた。
"はい。私です……あなたならあの子を助けられると思ったからです"
「そうなの?」
そうアンはリックに聞く。
「あぁ、あの声がなかったら恐らく俺はアビィを助けようとしなかった」
"ありがとう……私の声に反応してくれて"
「いや、こちらこそありがとう。おかげでアビィを助けようという気持ちになったよ」
「所でアビィ、どうして今あなたの声が聞こえるの?」
"それは、アン……あなたを解放する為よ"
「私を解放する為?どうゆうこと?」
"そのままの意味よ……アンはここを守らないといけないと思ってリックと旅に出ることを迷っている……そうよね?"
アビィに言われアンは小さく頷く。
確かにそうだ……自分はここを守らないといけないと思っている。
けれど、心の中ではリックと旅に出たい……そう思ってしまう。
"ここは私が守るから、だから行っていいのよ"
「でもアビィ、封印は?」
"100年、ただ眠ってたわけではないわ……もう少しで封印も解ける。だからこうして話も出来るようになったの"
「聞きたい、封印はいつ頃解ける?」
リーンが聞く。
それはアンもリックも気になっていた。
"ここに新たな結界を貼ろうと思う……けどその力を使ったら私はしばらく力を使えなくなる……だから封印を解くのはまだ先になる"
「アビィ……君の封印を急いだ方がいいんじゃないのか?」
"リックの考えは分かるわ……私もそうしようと思った。けど私の力もこの100年で弱まり、記憶もほとんど失ってしまった……だからあなたたちに託したいの"
「アビィ、君が託したいことって」
"あの聖域を壊して"
それがアビィの願いだった。




