一族
アンは再び語り始めた。
一族の名はカルア一族。
カルア一族は長年聖域の水を狙っていた。
だが、アビィとアルテッサが守護する聖域にはなかなか入れずにいた。
それは、アビィの水を操る力とアルテッサの戦闘能力が高くカルア一族は、アビィ達に手が出せないでいた。
しかも、アビィには心を読む力もあり近づくことさえできなかった。
水を求めるふりをして中に入ろうとしても心を読めるアビィを騙せず入口で拒まれてしまう。
その為、強くてアビィでも心を読めない人間を作るためクローンを作り出すことに成功した。
名はグレン。
カルア一族の中でも圧倒的に戦闘能力も強く、なんと少しなら心も読めるようだった。
カルア一族はグレンに水を奪う為に戦闘を教え心を読ませない為に感情を捨てさてた。
そしていよいよ決行の日……。
グレンは聖なる泉へとやって来た。
「ここは様々な効果のある水がある聖なる泉、あなたは何を求めてきたのかしら?」
泉にやって来たグレンにアビィが姿を表す。
早速アビィは心を読み始める。
(何、この子……なにも感じられない……まるで感情もないような……)
アビィはなんの感情も読めなくて何も答えずにいるとグレンが口を開いた。
「水をくれませんか?」
「あ、ごめんなさい……何を求めてるのかしら?」
アビィはそう聞くとグレンはニヤリと不気味笑みを浮かべ、ゆっくりと答える。
「この聖なる泉ごとです」
グレンはそう答えると、アビィは一瞬考えてしまった……それが一瞬、隙を見せてしまった。
グレンはその隙を見逃がさなく、その隙でグレンはアビィに切りかかる。
アビィはすぐに水を操り応戦するが一瞬の遅れで腕を大きく切られてしまった。
ポタポタと切られた腕から血が滴り落ちる。
「あなた、何者?」
「俺は、カルア一族のグレン。この泉を貰いに来た」
「カルア一族……誰であれこの泉は渡さない!」
アビィがそう言うのと同時に何かがグレンに切りかかる。
グレンはその攻撃を受け止め、跳ね返す。
「アビィ!」
「アルテッサ……」
アルテッサはすぐさまアビィに駆け寄ると、大きく切られた腕を見てグレンを睨む。
「あなたがアルテッサですか……あなたと戦うのを楽しみにしてたてんですよ」
グレンがそう言うとアルテッサはすぐさま戦闘モードに入る。
「アビィ、ここは私に任せて中に入って」
「……分かった、お願いね」
「まかせて!」
アビィはひとまず切られた腕の怪我を治すために聖域の中に入っていった。
アビィはすぐに傷を癒す水の場所へといきその水を切られた腕にかける。
するとたちまち傷が塞がり切られた腕が治る。
アビィは傷が塞がったのを確認してアルテッサの所に加勢に行こうとした時だった……ドサッと何かが落ちる音がして音がした方へと向くと傷だらけのアルテッサとグレンが立っていた。
「アルテッサ!!」
「安心しろ、殺してはいない……かなり痛めつけたから動けるには時間かかるとおもいますがね」
アビィはすぐに傷を癒す水をアルテッサに飲ますとアルテッサの体はたちまち傷が癒えていく。
「……うっ」
「アルテッサ!」
アビィはアルテッサを呼びかけるがアルテッサは気を失ったままだった。
「さぁ、一緒に来てもらいまっしょうか」
そうグレンが言うとアビィは悔しそうに顔歪ませ、従うしかなかった。
「これがカルア一族」
「グレン……まさか襲ってきた人……」
「そうね……可能性はあるわ。さぁ話しは一旦ここで終わりにしましょう……まだ夜明け前だから体を休めましょう」
アンがそう言うとリックとリーンは頷き休める場所へと移動して眠りにつく。




