表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女は幸せを探す  作者: 彩夏
6/14

5

自分は皇女ではない。たとえそうだとしても、シルヴィアには認めるつもりはなかった。

王は、顔を歪め、しばらくうつむいた。そして、

「皇女ということを認めないというのなら、それでもかまわない。だが、ここに来るまでの兵や侍女たちの態度を見ただろう?」

ピクリと反応した。あれは、今思っていても、ただの客人にする対応ではない。

「今、やっぱり皇女ではなかったと否定すれば、余の面目は丸潰れな上、国としての威厳も保てなくなる。しばらくここに居て調べて、その後やっぱり違ったと、説明する。そなたが言ったような、一族の生き残りだとでも言う。だから、しばらくここに居てくれないか?」

それは、国王としての命令ではなく、一人の人間としてのお願いだった。

「もちろん、生活は保証する。本物の皇女と同様の環境を提供するし、侍女もつける。図書館は自由に使っていいし、したい勉強があれば好きなだけしていい。その際は、教師もつける。余の部屋を除けば、城のどこをうろついてもいい。どうだ?」

勉強の件で、反応した。

「本当に...、何を勉強しても良いのですか?」

王は、大きく頷いた。

「もちろんだ。必要ならば、研究書も用意する。そなたが望むことは、できるだけ叶えたいと思っている」

正直、シルヴィアにとっては魅力的な話だった。大叔父に勉強を教わったが、やはり足りない部分も多く、いつか本を買って勉強したいと思っていた。

「ただ、しばらくとはいえ、皇女として居てもらうのならば、多少は社交にも出てもらう。まあ、一、二回でいい。その分、環境を提供する」

シルヴィアは迷った。社交の件は面倒くさいが、勉強できることの代償だと思えばいい。それに、皇族の図書館を使えることなど、これから先の人生にあるのだろうか。

「...しばらくとは、ひと月くらいですか?」

「まぁ、そのくらいだ」

「...わかりました。いいでしょう。ただし、私にも条件があります」

「何だ?」

「社交に出れば、たくさんの人が私のことを皇女と思うでしょう。私はそのたびに否定します。『私は皇女ではない』と」

「...!」

「これを許可していただけるのならば、しばらくの間だけ、皇族になります」

王はしばらく渋い顔をしていたが、やがて頷いた。

「いいだろう。否定するのはそなたの自由だ」

「ありがとうございます」

そう言って、頭を下げた。王が侍女を呼び、玉座の間から出ようとする前、再びゆっくりと頭を下げた。そして、シルヴィアは出ていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ