表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女は幸せを探す  作者: 彩夏
1/14

序章

初めての投稿です。温かく見守っていただけたら嬉しいです。

国の端の貧しい町に、一人の少女が住んでいた。

その少女は、住まいや身なりこそ薄汚れていたが、容姿はそうではなかった。

切れ長二重の金色の瞳に、筋の通った鼻、形の良い唇、卵形の小さな顔、透き通るほどの白い肌、何より目立つのが、金と銀が混ざったような美しい色をした長い髪。160はありそうな、14という年齢にしては高い身長が、大人びた顔をさらに際立たせていた。

少女の名はシルヴィアといった。誰もがふりかえるほどの美貌だが、その容姿とは違い、性格は少々変わっていた。

基本的に無口で無愛想、口を開いたとしても必要最低限しか話さない。

好みが偏っており、好きなものは博識と呼べるほど詳しいが、興味のないものは、基礎知識さえ知らない。

シルヴィアに親はいない。父親は知らず、母親は物心つく前に病で倒れて亡くなった。記憶がおぼろげだが、母は父はことを決して話そうとはしなかった。

母が亡くなり、数年間母方の親戚のほうで育てられたが、10を過ぎると家を出ていき、一人で暮らし始めた。

大叔母はもともと不仲だった姪の娘を押し付けられて、不満が爆発したのか、シルヴィアに虐待と等しい行為をしていた。

家の家事や仕事をさせることはもちろん、食事を与えなかったり、納屋に閉じ込める、時には暴力や肌に火を押し付ける、一度は閉じ込められた納屋に火をつけられて火事になり、死にかけることもあった。

母譲りの髪と美貌も、虐待のエスカレートにつながった。

今でも、シルヴィアの体は折れそうなほど華奢で、肌には火傷の痕がある。

おかげで、ちょっとやそっとのことでは驚かない図太い性格になり、それが良いのかどうかはわからない。

不幸中の幸いと言うべきか、その家の主人には虐待する度胸はなく、同情からか、当然ながら学校に通えないシルヴィアに勉強を教えていた。

主人は大学の教授を勤めるほどで、教える内容はレベルが高いものばかりだった。

学校で習う基本的知識から、大学で研究している内容、さらには未知の図解まで、ありとあらゆることを教えた。

シルヴィアが出ていったのは、一人で暮らして行ける年齢になったこと、大伯母に娼館に売られそうになったことが重なったからだ。

シルヴィアとしてはもともと出ていきたかったし、主人の計らいで遠く離れた町に住む所まで用意してもらえて、いいことづくめだった。

貧しくても薄汚れていても、暮らせればそれでいいのだし、金を稼ぐ方法は知っていたので、むしろ一人で暮らせることに感謝したい気持ちだった。

一人暮らしを始めて4年になった。

今日も1日暮らす銭を稼いで、シルヴィアは元気に暮らしている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ