6、Red Light
〜宏大side〜
「送信、っと……」
俺は同級生である海ノ原伶菜を花火大会に誘い、集合場所と時間を送った。
2人で出かけることは何度かあったけど、花火大会は初めてだった。
……やべえ。めっちゃ緊張する。俺が伶菜の好きな人聞いた時、めっちゃドキドキしたし……。
最後の戦いだ。2年生の夏が終われば、受験へ向けて勉強を始める流れになる。
それまでに伶菜に言いたいことがあるから、こうして花火大会へ表立ったのだ。……たとえ答えが解っていても。
俺は伶菜がどんな思いを抱えているかもう既に解っている。それがどんなに俺を苦しめてたとしても、絶対俺は伝えなければいけないと思っている。決して逃げたりはしない。そう心に誓った。
花火大会当日。
「宏大〜! 遅れてごめんね!」
「大丈夫大丈夫。ゆうて遅れてないし」
「や、でも待たせたから! 私の信条は待たせたら遅れたと同じ!」
なかなかぶっ飛んだ信条だな……と思いつつ、俺は伶菜の浴衣姿を眺めていた。
……どうしよう。似合いすぎてて言葉が出ない……。
「どう? めっちゃ似合ってるでしょ!」
そう言ってくるりんと伶菜は回ってみせた。
「うん。やばい。可愛い」
そういうと伶菜は目を見張ったあと、前髪を触りながら、顔を赤らめた。
「あ、ありがと……。けどなんかちょっと照れる……」
えへへとはにかむように笑う伶菜はより一層俺を虜にした。
コイツどんだけ可愛くなりゃ気が済むんだよ……。てか丸っきり俺の好意に気づいてないんだよな……。
ホントに伶菜は鈍いというか、人の好意に気付かないとかの問題じゃない。直接言わないと絶対分かんない人だよ伶菜は。
まあ今更そんなことを気にする俺ではないし、別にいいんだけど……。それでも、ちょっとくらい分かってくれてもいいかなぁ……って思ったこともある。
駄弁りながら伶菜と歩いていると、会場が見えてきた。伶菜はテンションが上がっているのか、こう言った。
「宏大、リンゴ飴食べよ!」
「あ、うん……、いいよ」
「? どしたの? 早くいこーよ、宏大!」
「あ、ちょ……っ」
伶菜は俺の手を引っ張ってリンゴ飴を売っている店の前まで来た。…………心臓終わる……!
首筋まで絶対赤くなってる……。
でも、手を握り返すと、伶菜も少し頬を赤らめた。……やっぱり俺は伶菜が好きだ。
いくつもの舞台を見てきて、告白シュチュエーションも幾度となく観てきた。
ベタ中のベタだけど、こうして花火大会に一緒に来れたことが俺にとってはホントに嬉しかった。
俺はこんなにも好きになった人は初めてだった。
少しだけ痛む心を持ちながらも、俺は自分の答えだけを見つめていた。
7時半。花火が打ち上がった。
カラフルに咲き誇る花火はとてもキレイで、今からすることを忘れさせるような感覚に陷った。
夜空に打ち上がる無数の色付いたガラスは伶菜の横顔を照らしていた。こんなんじゃ花火に集中できない……、まあ元々花火が目的じゃないんだけど。
「すごいね、宏大! キレイすぎて禿げちゃうよ!」
「髪の毛無くなったら伶菜死ぬだろうが……」
「どやー」
「なんか色々ちげーよ……」
呆れながらそんなことを言った。伶菜はけたけた笑っている。
君は笑った方がやっぱり可愛い。向日葵の花がよく似合う。
「なぁ、伶菜」
「おおー! 青いのは結構好きだよー! あと少しかな〜……、って? 宏大?」
「伶菜」
俺が真剣な声で名前を呼んだからなのか、伶菜は少し驚いた顔をしている。
「……な、に?」
これが俺の気持ちだから。君に届けたい、俺の気持ち。
〜伶菜side〜
宏大が真剣な声で私の名前を言う時は、たいてい大事なことを口にする。今までの経験の結果だ。
でも、なんでかは分からないけど、少し驚いてしまった。
「……な、に?」
あまり上手く舌が回らない。どうしたものか。
「あの、さ……、」
その時、一瞬何かに捕まったように体が硬直した。……何!? なんなのこれ……!?
「伶菜、お前のことが、好きだ」
……え? 宏大が……私を……好き?
私はさっきよりも驚いて、また体が固まった。
「どうしたの? そんなに驚いて」
「ご、ごめん……ちょっと頭がまだこんがらがってて……」
これが俗に言う……告、白? 今までされたこと無かったから、未だに心臓ドキドキしている。
広大の顔をちらりと見たが、暗くてあまり表情が見えなかった。
「えと……」
「ごめんな。急で。でもさ、今日伶菜を花火大会に誘って、伶菜が来てくれて俺、嬉しかったんだ。そういうところが、俺は……、好き、なんだよ」
「…………っ」
そんな風に思ってくれてたんだ……。素直に嬉しい。……これってOKしたら、宏大と付き合うってことになる……のかな?
……少しモヤモヤしている。
「伶菜……?」
「あー……ごめんね……私、こういうの初めてで……。どう、言えばいいのかな……」
「今の自分の気持ちを、素直に伝えればいいよ」
自分の気持ちを……素直に……。
「宏大……、あのね、私……」
「うん」
宏大の顔が赤く染まる。……やっぱり可愛い。
「宏大とは、友達でいたい」
「………………そっか」
「だから……その……」
なんて言おうか迷っていると、宏大は顔を下に向けた。
「大丈夫。知ってたから」
…………え?
「伶菜が一希のことを好きだって知ってる上で、俺は伶菜に自分の気持ちを伝えたんだよ」
「…………瀬那、君……?」
そうだよ、と宏大は頷いた。
きっと私も、心のどこかで気付いていたのだろう。けど、きっとそれを誤魔化し続けてきていたのだと思う。
仮に私が、ホントに瀬那君のことを好きだと思うなら、私はどうすべきなのだろうか。
「だから、自分の気持ち、ちゃんと一希に伝えなよ」
「宏大……」
ホントにいい奴だよ、宏大。友達、いや、親友として大好き。それは私の心においておく。
「今日はありがとね! 伶菜と花火見れて楽しかったよ。俺今日はもう帰るから、……じゃあ、また」
「あ、うん。私も誘ってくれてありがとう。……また、ね」
宏大の背中を見て私はひらひらと手を振った。
宏大はちゃんと自分の土俵に立った。なら、次は私が立つ番だ。
宏大と一緒に花火を見に来れたことが私にとって大きな糧となった。
ここからは私の舞台。
オタクとして、宏大の親友として、そして、瀬那君が好きな、海ノ原伶菜として、高らかに、謳おう。
私が謠う、真価の鎮魂歌だ。
あけましておめでとうございます。青春夢依です。
季節は冬です。この話は夏です。どうしたってこうなるんですかね。
久しぶりに買い物に行ったら、脚が悲鳴をあげました。助けてください。
いやー……甘酸っぱい。青春を謳歌してる人は羨ましい。僕自身青春ど真ん中なんですが。
次からのシーンは若干ですがエロシーンがあるかもです。ないかもです。楽しみにしててください。
というわけで第6章、お届けいたしました。いかがでしたか?楽しんでいただけましたか?
感想などをくれると嬉しいです。
読んで下さりありがとうございます。
また次回お会いいたしましょう。




