5、合宿!〜後編〜
2日目。起きたのは10時だった。
起きて数秒でゲームを始める。眠い。
サバゲーとか結構楽しいよね。最高じゃないですか。
「伶菜、今日勉強する?」
そう聞いてきたのは宏大だ。学年2位の言うことはやはり違う。1位の人は何してるんですかね。私でした。
「うーん……、まあ一応、かな」
「そっか。ちょっと分からないとこあるから教えて貰えると嬉しいんだけど」
「あーそれならやるよ」
教えるのはあまり上手くない。けどやっぱりそういうのを通してちゃんと自分も学んでいきたい。
将来設計とかは全くと言っていいほどしていない。でも勉強さえ出来れば、机上の知識は、絶対無駄にはならないはずだ。そういうふうに私は考えている。
……なんで私、ゲームしてるんだろう。意味わかんない。
「伶菜ちゃん、このゲームやってみない?」
「どんなゲームなんですか?」
自問自答してたら糸緑先輩が話しかけてきた。あんま面白くなさそう……。てか勉強したい。
「FPSだよ。伶菜ちゃんなら多分敵フルボッコに出来るよ」
「いえ、遠慮しておきます」
そうか、と糸緑先輩は離れて行った。よし、勉強するか。
3時間後、一段落しようかと思って私はゲームを始めた。
なんだかゲームする意味がよく分からなくなってきた。最近少し疑問に思うことが多いような気がする……。
なんでかは知らないけど、ホントにどうしようもない疑問だった。宏大はこういう変な疑問とか持つのかな。瀬那君とか……。
…………なんで瀬那君が出てくるのさ。まあ友達だからだよね。普通普通。
なのに何故、私の頬は熱くなっているのだろう。胸が痛い。どうしてこんなにも苦しいんだろう。どうしてこんなにも瀬那君が頭に浮かぶのだろう。
こんな気持ち、知らない。
私は気持ちを紛らわすため、勉強をした。
***
3日目。昨日の夜なんて全く覚えていない。20時とかに寝た気がする。早いな……。時間てこんなに早く過ぎるものなのか。
てかそろそろやばい。宿題終わらないよ〜! ゲームなんか出来る状況じゃない……!
……3時間後のこと。
「宏大〜! ゲームの誘惑がひどいよぉ……」
「知らんがな」
「ひどーーーーい!!!」
宏大に冷たくされたよォ……。もうイヤだ……。宿題、放棄するぅ……。
泣き目見た。ホントにどうするのよ……。
どうもしない。答えを見てやる。それじゃ意味無いか。てかなんでこんなに焦ってるの? まだ夏休み長いじゃん。
……はぁ。まあいいや。どうせ終わるし。
夜。どうせ最後なら屋上にでも行ってみようってことで、私と宏大と瀬那君は、屋上へ続く階段を登って行った。他の部員達はもう既に寝ている。……暗くて怖い…………。
まあ男子2人いるから大丈夫か。
「そういえば屋上って立ち入り禁止だよね? どうやって入るの?」
「ふふふーん」
私は得意げに笑ってみせた。2人とも首を傾げている。
階段を上がり続けていると、屋上への扉が見えてきた。よく小説でもあるあの開け方だ。
「まあ端的に言えば、カギが壊れてるだけなんだよね。ちょっと力入れれば……っ! ……よし! 開いた!」
「へえ……。昼休みバレないように来ようかな」
「あははっ! 3人で来ようよ!」
「俺教室で食べたいんだけど……」
そう言って瀬那君は渋ってる。可愛い。
「えー、いいじゃん! 楽しいし!」
すると瀬那君は顔をぷいっと背けて、こう小さく呟いた。
「……なら、別に食わねえこともねえよ」
「素直じゃねえなお前」
宏大が揶揄うようにそう言った。私はそれを傍目で見ていた。……2人ともっと仲良くなりたいと、そう思った。
そして私が、屋上の扉をガチャッと開けると、夏の夜風が私に当たった。……涼しい。
「うわ…………!」
「キレイすぎんだろ……」
夏の夜空は合宿始まりの日に見たような景色ではなく、より一層輝いて見えた。
「夏の大三角形……」
あんなにキレイに見たのは久しぶりかもしれない。
私は3人で見たこの夜空を、きっと、忘れない。
4日目。屋上で寝落ちしたらしい。今何時だろ……。やば。もう9時半じゃん……。てか2人とも居ないじゃん!
階段を降りて行くと、既にオタク部の人はゲームをしていた。
「海ノ原、お前何してんだ?」
「か、神咲先輩! あっと……その……」
屋上行ってましたぁなんて言ったら殺されるのは目に見えている……。どしよ。
「き、教室で寝てたんです! 忘れ物ないかなって思って入ったら眠すぎていつの間にか落ちてました!」
何とかならんもんですか……?
「ふむ。理解した」
そう言って神咲先輩はゲームをしに行った。ホッ。さて、私もゲームやりますか。
「えー諸君。4日間、お疲れだった。オタク部は色々おかしな部だが、こうやって合宿出来たのは君たちにとっていい経験になったと思うぞ。俺たち3年生は9月いっぱいで部活を引退しないといけないから、こうして接していられるのももう少ない……。でも、全員で合宿出来た。ホントに嬉しかったし、楽しかった。心からの、ありがとうを送る。それじゃあ、また元気で夏休み終わったら会おうな。解散!」
神咲先輩、結構いいこと言うなあ……。かっけえ。
そう黄昏れている時、宏大に声をかけられた。
「伶菜」
「ん? どしたの?」
「あの、さ……、花火大会、一緒に、行かない?」
「花火大会? いつあるの? てかそれどこでするの?」
疑問だらけだよこっちは……。首を傾げて私はそう聞いた。
「山形市内であるんだけど……、確か8月11日だったかな」
「あーいいよ。どうせ暇だしっ!」
そういってドヤってみせた。まあ大した意味は無いけれど。
「まじ? なら、集まるところとか後でLINEするね」
「分かった。じゃあ、またね」
「うん。またね」
そう言って宏大と別れ、学校を出た。花火大会、か……。
こうして、オタク部の合宿は幕を閉じた。
祭りは終わった。
なら、また始めれば、祭りはいつまでも続く。
私らのお祭りはいつまでも冷め止むことはないと、そう、信じて。
どうもこんにちは。青春夢依です。
新たな年が始まろうとしてますが、皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか。僕は結構楽しかった一年だと思います。
あの頃の自分は全然未熟で、どんなことも手を抜いてばっかいました(笑)。
後悔したって、地団駄踏んだって、全ては後の祭りですよね。どうやっても過去には戻れない。
僕もどんなに後悔しても、過去には戻れないことを知っています。
なら、後悔しないため、僕は今を大切にしていきたいんです。
というわけで、第5章、お届け致しました。
いかがでしたか?楽しんでいただけましたか?次章は別の視点かも……?
まだまだ続く、伶菜達の青春模様、読んで下さり、ありがとうございます。
また次回、お会いいましたしょう。