4、合宿!〜前編〜
期末テストも終わり、あと数日で夏休みになる。オタク部に入ってからはや2ヶ月と少し。部活にも慣れてきて、結構楽しい。
私自身、かなりのオタクだから、オタクと喋るのはとても楽だしきっと安心もするのだろう。
絶対的に悪い人なんてのはルールを守らないでゲームだったらチートだとか、モラルを守らずキャラの欲しさだけに貪欲になりすぎたり、そういうことだと思う。
そういう人のせいでオタクはキモイだとかうるせえだとか結構批判されがちなのだろう。私の解釈的にいけばそんなところだ。
まあどっちにしろ、私だって一オタクだからそういうことには敏感だ。批判されてもオタクはオタク。偏見は持たないで欲しいと思う。異論は認めない。
「伶菜〜、今日部活、ミーティングだってさ」
「分かった〜。……でも何話すのよ」
「さあ」
宏大はそう言って首を傾げた。
まあ部長じゃないと分からないよね。
ていうか今更なんだけどオタク部なんてよく学校認めたな。大会に出れればOKなの?
とりあえず、部活へ行く準備をして、教室を出た。廊下を歩きながら外を眺めると、やはり夏になっているんだと実感させられた。
部室に着くと、ごちゃっ……ってなっていたものが全て片付いていた。片付け上手いな。さすがオタク。
その代わりにちゃんとミーティング用の机が置かれていた。ふむ。何話すんだろ?
そう思っていると部長が入ってきた。部員達がそれぞれ適当に座ったので私も座る。何を話すことやら……。
「夏休み、合宿をします」
………………は? 合宿? まじで言ってる……!?
大切な夏休みが合宿で潰されるのん? それは勘弁して欲しい。だが、それは杞憂だった。
「合宿中はずっとゲームかオタ活していい。むしろそれしかしなくてもいいまである。質問のある者は挙手を願う」
「神咲先輩、なんか持ってくるものありますか?」
私はわざとらしく、名前で質問した。特に意味は無いが。
「うむ。自分に必要だと思うものだけ持って来よう。勉強してもいいしオタ活してもいい。要項は明日にでも渡すつもりだ。まあどうしても来れないって人以外は参加してくれ。今日のところは以上だ」
はええ……。まとめるのくそはええ。ホントに要領いいな。さすが部長。
とりあえず、楽しくなれば、いいかな。
翌日。要項が配られた。
「合宿って言うからもっと遠いところだと思ったけど……。まさかの学校なんだね……」
「まあ部長もそれで妥協はしたんだろうね。致し方なし、かな」
まあ仕方ないよね。……いや、ちょっと待って?
「お風呂とかどうするの?」
「近くにあったはずなんだけど……。今ググるからちょまち」
まあ最悪家で風呂入って泊まるか。
「あるわ。歩いて3分かな?」
「近いな。行くわ」
ふむふむ。夏休み初めから5日間、かあ……。なげえ……。
私そんなの無理だよぉ……。ふぇぇ……。
***
本日、7月某日は合宿の初日だ。
私は荷物をまとめて家を出た。集合は午前10時。オタクは時間にルーズなわけじゃないからもっと早くていいんだけどな。だって私9時に家出てるし。まあどうでもいいんだけどね。
学校に着くと顧問は既に来ていて、部員もちらほら見えていた。唯一の救いなのは、女子の先輩と宏大がいることぐらいだ。いなかったら私来てないよ。
「あ、海ノ原さん! おはよう」
「恵先輩、おはようございます!」
「よくわかんない合宿だけど女子5人で頑張ろうね」
「はい!」
恵先輩、いい人……。女子割合おかしいでしょ。
そんなことを思っていると宏大と瀬那君が来た。エナメルバッグを肩にかけてオーラが出てそうな感じで。
「海ノ原さん、おはよう」
「伶菜、おはよう!」
「2人で一気に言わないでよ……おはよう」
少し呆れたように言ったのが気に食わなかったのか、宏大はちょっと項垂れていた。可愛いかよ。
「とりあえず、準備するか? ……でもゆうてやる必要も無いか」
「そうだな。各自準備みたいな感じか」
2人がそう喋ってるのを見て、私は少し疑問がでてきた。
「あれ、瀬那君と宏大って仲良かったっけ?」
私が思ったことを口にすると、2人はこくんと頷いた。……いつの間に…………。
まあどうてもいいんたけどね。宏大顔広いし。
あ、全員揃ったみたい。だから早いな。まだ9時半だよ?どんだけ楽しみなんだよ。それ私もじゃん。
これから始まるんだ。私の大切な青春の一部分。
はぁーーー……と長い溜息を吐いて私は大浴場に入った。
始まった一日目の合宿はなかなかいい感じだった。私はずっとゲームしていた。勉強なんて一切してない。
だって他の人にこれやってみてって言われてやったら結構ハマっちゃったんだもん。仕方ない。私は悪くない。ゲームを作った人が悪い。
よって私のせいじゃない。違いますか? 違いますよね。知ってました。
大浴場に浸かっていた私はもう極上気分だった。死んじゃうわ……。死んじゃうのか。
ざぱっと出て、身体を拭き、脱衣場へ進んだ。風呂上がりに髪をさっと乾かす。
生まれつきの灰色がかった私の髪は結構気に入っている。なんか周りと違う感じが何となく私は好きだ。
一緒に来ていた男子達は、まだ入っているようだから、外で涼むことにした。
星、だ。あれは確か……、はくちょう座のデネブ、だったかな……。キレイ……。
「伶菜! 行こうぜ!」
「あ、おかえりー」
男子が帰ってきたから私達は学校に向かった。学校に着くともう既に寝ている人もいた。早いな。
私はまだ寝ないから、外で星を眺めることにした。ホントにキレイだ。ボキャ貧辛い。
するとじゃりっと地面を踏む音が聞こえた。横を振り向くと誰かいた。
「……誰?」
「俺だよ」
「…………誰?」
「なんでさっきと同じ問なんだよ。一応友達だろうが」
私はふふっと小さく笑った。
「どうしたの? 怖くなって逃げ出してきたの?」
「そんなにチキンなんですか俺……」
そこにいた人物、山下宏大は、がっくりと頭を垂らした。
さすがにそこまでチキンじゃないよね。男子の威厳どこ行ったの。
「んで? どうしたの?」
「ちょっと寝られないから外の空気を吸いに」
なるほど。よくある事だ。私も実際そのクチだ。
「ねえ、伶菜ってさ」
宏大に質問を投げかけられたから、私は視線で続きを促した。
「……す、好きな人、とか、いる?」
「藪から棒だね。……なんで?」
宏大は目線を下に向けて、ちょっと恥ずかしそうにしていた。可愛い……。
「なんか伶菜ってそういうの興味無さそうだからさ。ちょっと聞いてみたかっただけだよ」
興味無いといえば確かにない。でも時々胸がチクチク痛む時とかがある。……なんでだろう? それが、恋とかってやつなのかな。
「う、ん……どうだろ」
私はごまかすようにてへっと笑ってみせた。宏大もちょっと笑っていた。
「宏大は好きな人とかいるの?」
私はそう聞いてみた。聞かれたら聞き返すスタイル。
すると宏大は恥ずかしかったのか、頬を真っ赤に染めてこう言った。
「……い、るよ」
へぇ……いるんだ……。意外。なんだろう。すごく可愛い。
「どんな子なの?」
「それ聞くの?」
宏大がそう言ったから私はこくんと頷いた。
宏大は意を決したように、こう答えた。
「ゲームが好きで、俺とよく喋ってくれる、かな……。少し天然っぽくて、どこか抜けてる、みたいな……。そんなところも可愛いなって思ったりした、かなぁ……」
「その子とうまくいけるといいね」
「……そうだね」
宏大は静かに頷き、そう答えた。
再び夜空を見えげ、星を眺めていた。
月明かりが照らすこの世界が、一瞬だけ、輝いて見えた。
どうもこんにちは。青春夢依です。
今年の冬はなぜ雨が降りまくってるのでしょうか。ホントに訳分からない。雪降れよ。
英検の時期がやってきたので僕は英検対策の勉強したいと思ってます。でもちゃんと小説書くよ!う、嘘じゃな、ないんだからねっ!
まあこんな茶番は置いておいて。
夏休みの合宿とか、ホントに辛い。イベランあんまり出来ないし、そもそもゲーム出来ない。
こんな部活があったら僕は即入部してます。
部活を通して僕達はどんなことを学んできたでしょうか。伶菜達も沢山何かを学んでいくと思います。
というわけで、第4章、お届け致しました。いかがでしたでしょうか。楽しんで頂けましたか?
読んで下さり、ありがとうございます。
また次回、お会いいたしましょう。