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ぽわ~~~となって、うわ~~~~と動揺する私 3

 「あれ!?」とハタナカさんに近くで言われてドキッとする。「ユズりん?なんか顔赤くない?夕べなんで返信くんなかったの?」

 やっぱ言われた!!

「なんで?」きょとん、とした感じで小首をかしげるハタナカさんだ。怖い。

「ササキさん」と、ハタナカさんがユマちゃんに声をかける。「今日は私も一緒にご飯食べていい?」

マジで!と思う間に、「いいよ~~」とユマちゃんが軽く返事をしていた。

 それもマジで!?と思う。

 ユマちゃんのこういうとこ嫌だよね。夕べ電話でユマちゃんのこういうところを面白いって思うって言っちゃったけど、やっぱ嫌だ。

 わ~~困るなぁ…あ、今タダと目が合った。ハタナカさんに何か言われてると思って心配してくれたりとかは…しないのかな。


 

 「昨日のチーズケーキ食べました事件があってさあ」とユマちゃんに話しかけるハタナカさん。「私悔しかったから『悔しい』ってラインしたのユズりんに。でもユズりん何にも返してくんなくってさ」

 「へ~~~そうなんだ~~~」とユマちゃん。

 ユマちゃんはやっぱり楽しんでるよね絶対。ユマちゃんてホントそういうとこあるよね。…まあ…でも私もこれ、他人事だったらちょっと楽しんじゃうんだろうな。どうなるんだろうって。

 それに一人でハタナカさんに責められるよりはユマちゃんがいてくれる時でありがたい。


 「いやなんていうか…返しづらくて」と、それも返事しづらいという感じを前面に出して答える私をじっと見るハタナカさん。

「なんで?」と聞かれる。

「…どう返していいかわからなかったし…」

「じゃあ」とハタナカさん。「『どう返していいかわからないよ~~~』って返してくれたらいいじゃん。ねえササキさん?」

「そうだよね」とユマちゃん。

え~~~!!

 …夕べ電話で相談した時には自分だったら返さないって言ってたくせに!


 「でもさ、」とユマちゃん。「そんな事返したらハタナカさんが逆上する~~~って思ったんじゃないかなユズちゃんは」

なんでそんな事を言ったユマちゃん。

「そうなの?」とハタナカさん。

思ったけれどもちろんうなずくわけはない。「いやそんな事ないんだけど…なんか何返してもあんま良くないような気がして」

ハタナカさんが弁当の箸を置き、大きなため息をついてこれ見よがしに天井を見つめながら言った。「私ってそんな心狭い感じに観られてんのかなあ。ショックなんですけど~~~」

「…ごめん」

そりゃゴメンしか言えないからね。

ハタナカさんがキッ、と私を見て言った。「いや『ゴメン』が欲しいわけじゃないから」

「だって私とタダは付き合ってるわけじゃないし…」

「でもケーキ作ってもらってるじゃん」

「…」

「一緒に食べてるじゃん。海だって一緒に行ったんでしょ?花火大会も!体育祭の時だってイズミ君オオガキに張り合ってる感じだったじゃん」

「…」

「イズミ君がユズりんの事好きなのに、『私は別に』って事?何その天然ブリブリ」

「…」


 …あ~~弁当進まない。これいつまで続くんだろ。けどハタナカさんは声を押さえてはくれてるんだよね。そしてそれでもクラスの女子のみなさんは、私たちの事を絶対気にしてる感じなんだけど…。

「人がどうとかさ」とハタナカさんが言った。「私は気にしない。気になるけど気にしない感じに持ってく」

「…」

「だから私の事なんか気にせずにぶっちゃけてみて?ユズりんはイズミ君と本当はどうなりたいの?」

どうなりたいの?


 どうなりたいの?どうなりたいの?どうなりたいの?

 …私がタダとどうなりたいか…

 


 私はタダの事が気になって、すごく意識し始めてきて、それでこの先どうなりたいんだろう。好きだってずっと思われたいの?私もちゃんとタダを好きになって、そして付き合ってとか言われて付き合うの?その後どうなるの?大学とか行ったらどうなるの?それは大人になるまでずっと、そして大人になってもずっと続くの?

「…わからない…」とボソッと答えると、「もう~~~~~ユズりんは~~~~~」とハタナカさんが唸った。

「イライラする」ときっぱりと言われてビクッとする。

「…ごめん」

「ほらまたゴメンとか言うな」

そう言って私を睨むハタナカさんから目を反らしてしまうダメな私だ。

「私はねえ」とハタナカさんは今度はニッコリと笑って言った。「あきらめないんだよね。イズミくんと文化祭の委員も一緒だしほんとラッキー」

なんとも答えられない。


 

 そしてそんな場面でだ。弁当を食べ終わったタダに呼ばれた。「大島!」

 私はビクッとして、ユマちゃんは「おや?」と笑い、ハタナカさんはムッとしている。

 なんで今呼ぶかな。

「大島!食い終わったらちょっと図書室付き合って」

図書室?

 いや、この状況で『うん』とか言えるわけないじゃん。

「…私、ちょっと今は…」

 タダが近付いて来た。ハタナカさんどうするんだろう。何か言うかな。私に?タダに?

「ササキとハタナカ、ごめん、ちょっと大島に付き合ってもらうから」

「行ってらっしゃ~~~~い」と明るいユマちゃんと、「わかった~~早く帰ってきてねユズりん!」と私に笑いかけるハタナカさん。

「じゃあ廊下いるから」とタダは言って先に教室を出て行く。

 私はもちろんハタナカさんを気にする。

「ほら、早く食べて行かないと」とユマちゃん。

「早く帰ってきてね~~~」と棒読みで言うハタナカさんが怖い。



 どうしよう。行きにくい。

 でもタダが先に出て廊下で待ってるし。ユマちゃんがもう一度言った。「ほら!早く行ってあげないと、タダが待ってるよ」

 どうしよう…迷いながら弁当をもそもそ食べる。

 「大島!」廊下からタダが私を呼んだ。「まだ?」

 私はハタナカさんの視線を出来るだけ気にしないようにして弁当を急いで食べてしまって片付け、タダのいる廊下に出た。



 ホンダ達とだべりながら待っていてくれたタダが私の方へ近付く。後ろでホンダ達が私とタダをニヤニヤしながら見ているのが見えて恥ずかしい。

 「ハタナカに何か言われてんの?」と歩き始めてタダが言う。

 やっぱり気にしてくれてたんだ。でも二人きりはソワソワする。

「んん~~~」と言葉を選ぶ私。「ハタナカさんタダの事すごい好きだもんね」

「どこが良くてそう思ってんだろうな」

「え?」

「あんま感じ良くした事もないし。どっちかつったら避けてるのに」

顔じゃないの顔。それとかその避けてる感じが余計気を引いてしまっているとか。


 ちょっと聞いてみる。「…ハタナカさんにはっきり告られた事あるの?」

「うん。まあ…」

そうなんだ!

「…断ったの?」

「…断ってなかったらおかしくね?バカじゃん大島」

そうか。「そうだよね。ごめん」

 だって私に好きだって言ってくれてんのにね。何を聞いてんんだ私。




 どうしよう…どんな風に断ったのかすごく聞きたいけど、聞いたらさすがに嫌な感じだと思う。でも…『悪い、オレは大島が好きだから』とか…言ったりとか?

「何回か言われて、」とタダが言う。

何回か言われた!?何回も告られたって事か?

「2回目か3回目くらいに好きなのは大島なんだろって向こうから言われて」

「…」

「まあ花火大会でも会ったりしたからな。一緒にいた時」


「そんなに何回も告られてんの!?」

「5、6回くらい?」

5、6回!…私がヒロちゃんに振られた数を超えてる!っていうか5回か6回かなんでそこ、ちゃんと覚えてないんだタダ。失礼なヤツだな。…告るって大変なことなのに。

「…ごめんそれいつくらいから?」とどうしても気になって聞いてしまう。「最初はいつ?」

「海に行く前?」

なんで疑問形なんだ。でもマジで!


 「でもハタナカは」とタダが言う。「断っても全然気にしない感じでちょっと安心してたら何回断ってもやっぱ来るからちょっと怖いかも」

 …あれ?じゃあ私もそんな感じにヒロちゃんに思われてた?

「それでうるさい感じは嫌なんだけど」とタダ。「ぐじぐじした感じ出されるよりは良いかなって思う。なんか文化祭委員の仕事もすげえてきぱきしててオレいらないくれぇ」

 …そっか…私はぐじぐじしてるけどね…




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