プロローグ
私は神に誓います
あなたのそばに永久にいます
私は剣に誓います
あなたを一生守ります
私はあなたに誓います
私は一人の騎士です
私は私に誓います
私はあなたを
吐く息が白く、手は赤くかじかむ。
灰色の瓦礫にまみれた家。石の舗装がはがれている地面。視界に映るのはかつて城下町と言われ、今は名ばかりの、破壊されたままの都市だった。冬の寒さをしのげる場所はない。
一人の子供が捜している人を求めても、応えてくれるのは動く事もしゃべる事もできなくなった人たちばかりだ。
ふらふらと歩いていた少女はそのうちに、ぺたんと座り込む。身体から伝わってくる冷たさを感じていながら、暖かいと思える水が頬を伝った。
ざらついた地面。止まない風。冷気で痛みを訴える耳。
なにか音が聞こえる。なにもしたくない。近づいてくる。でも立ちたくない。
……私は一人の孤児でした。寒さに震えて死にそうなとき、あなたが止まってくれました。
「ねえ、君、行くところは?」
目に映る風景に似合わない立派な衣装。一目で違う世界の人だと、子供ながらにも分かりました。
彼の問いに、私は首を振りました。親も家も当の昔になくなっていたから。
「だったら、こない?」
――あなたがそう言ってくれなければ、私は死んでいたでしょう。
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