膝痛の原因は膝に限らない。
膝が痛いという中高年は多い。そこで訊くと病院では膝のレントゲンを撮られて変形性膝関節症だと言われたと言う人も多い。中にはヒアルロン酸の注射を定期的にしたりブロック注射をしたりしている人もいるがいっこうに良くなっていない。
そんな方を数えきれないほど診てきたが、ほとんどの人が大なり小なり前傾姿勢。つまり、腰が前に傾いている。この場合は腰を中心とする全体の骨格の歪みが膝の関節に負荷を掛け過ぎている。
私のやり方(これはここでは内緒にするが)で腰の筋肉一帯を温め歩いてもらうと「なんか少し楽です」とよく言われる。あるいは、大腿部の付け根に近い部位を指で押さえてみて痛みを確認してここを私のやり方(内緒)で温めると、やはり膝の痛みが楽になることが多い。
病院では膝が痛いというと膝だけを調べるというのが通常であるが、膝を何かにぶつけて痛いという場合を除き、次第に痛くなった膝痛の原因は膝以外の部位を含めて全身的に絡んでいる。試しに腰を多少前傾して大腿筋の張り具合を診るとわかるが、直立の姿勢に比べると明らかに力が入らない。
人間誰しも加齢とともに多少身体が前傾するのは、若い人と中高年の歩き方を比較するならわかるものである。従って、加齢とともに誰しも大腿筋で体重の負荷を十分に受け止めることができなくなる。その分負荷は膝関節に掛かる。これが多くの膝痛の原因、あるいはメカニズムである。
どんな膝痛であろうが、この理屈を無視した治療は根本解決に至らない。増してや、予防は不可能である。変形性膝関節症などでは病院で手術を勧められることが多いが、これなどは身体全体の歪みの問題を視野に入れず膝という局所だけしか観ていない近視眼である。即ち、木を見て森を見ずの典型的なケースと言える。
では、なぜ加齢とともに身体が前傾し大腿筋が巧く働くなるかと言えば、大動脈から全身に行き渡る血流が徐々に悪化するためである。血流量が減少した筋肉は硬くなり柔軟に負荷を受け止めることができなくなってくる。
骨盤や腰椎の位置を安定させているのは腹筋、脊柱起立筋、大腿筋、内転筋、大腰筋など様々な筋肉群が関わっているが、これら筋肉一帯の血流量が減少することで筋力が低下すると身体は前傾気味になる。
また、同様に大動脈から内臓に至る血流が悪化すると内臓下垂が進行する。加齢とともに下腹が出る大きな原因である。特に、女性の場合は婦人器が下垂した腸で圧迫され易く、筋肉量が男性に比べて少ないことも加担して膝を悪くし易い。
要するに、大動脈からの血流を元に戻しながら腰にも内蔵にも大腿筋にも十分な血液が流れるようにすれば、大概の膝痛は即改善するものである。実際に私の治療の現場では膝に手を加えることなく全身の血流を良くすることで、それまで何をしても改善することのなかった膝痛をすぐさま改善している。これが事実である。
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