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男と少女②

時刻は22時22分。


暗闇の中、魔物と言われるいわゆる偉業との相対、当てにしていた拳銃が使えない、わかっていても逃げられない……などなど、現在絶賛絶体絶命な男がそこにいた。


グルアァァァアッッ―――!!


「うぅぅぅあぁぁぁっっ!!」



一匹は愉悦に啼き、一人は恐怖に叫んだ。


男が、怪物に向けて叫び手の中にある拳銃のトリガーを必死に引いたその時。

突如、怪物に一筋の光の線が描かれた。


チン――。


軽い金属音が響いた後、夏とは思えないほど冷たい風が男に流れた。


「ったく、遅刻だ遅刻、大遅刻だ!!この馬鹿弟子がッ!!」


そう叫び男の目の前に、一人の少女が現れた。

彼女の見た目は、どう年を多めに見積もっても12,3歳ほどの容姿で髪は膝まで届く銀髪、真っ白な薄手のワンピースをまといその手には彼女の身長ほどもある刀。

そして、その刀には複数の時計がまかれていた。


男を弟子と、そう呼ぶ少女がくるりとその場を回転し後ろに跳んだ。

すると、そこには先ほどの怪物が見えた。

その怪物は少女が現れる前に見えた一筋の線に沿ってズレていた。


「し、師匠助かりましたぁ」


ありがとうございます。とそういいながらも弟子と呼ばれた男は前に足を出してしりもちをしている格好の悪い状態で左手に着けた時計をちらりと見ていた。


「でも師匠、遅刻はしていませんよ?」


はてと、男は言いながら時計を少女に向ける。


時刻は22時22分を指していた。

少女はその向けられた時計を見ながら何を言っているんだと言いたげに鼻で笑って答えた。


「22時22分30秒だ。30秒も遅刻(・・)だ馬鹿弟子」


少女はその可憐な見た目をぶち壊す口調でそう答えて「師匠ではなくベルちゃんと呼べ」そう追加した。


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