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男の願い

 男はこの世界に絶望をした。

 理由は至極簡単、気に入らなかった、思い通りにいかなかった。まぁ、理由としてはそんなものだ。

 何をしても、どんなことをしても報われない。

 一回の失敗で存在を否定され、今まで積み上げてきたものが一気に無価値になる。

 一つのミスで世界が変質する、自分を取り巻いていた環境が過ごしにくくなる。


「あぁ……しくったなぁ……」


 男はただまっすぐに黒い空を見つめてそうつぶやいた。

 空からは、男をあざけわらうかのように落ちる雨。

 下には硬く黒いアスファルトが存在し、彼の周辺には赤い液体が大きな水たまりを成していた。

 その眼には怒りとも哀しみともいえる感情がこもり、表情は単純な痛みで歪んでいた。

 孔が開いたその腹部は赤い水たまりを成すためには十分すぎる原因を表していた。


「………」


 そんな状況で男とは別の気配がひとつ存在した。

 その存在はとことこと軽い足音を立てて男に近づき尋ねた。


「お前望みは何だ―――」


 男は流れ出す血液によって朦朧とする意識の中声の主に向けて、こう答えた。


「俺の……俺の望みは――――――」


 男はひねり出すようにそう答えた。

 彼は、にやりと不気味に話笑い息絶えた。

 その男をみていた存在は彼の瞳を閉じてその願いに対して答えた。


「―――お前の願いをかなえよう」


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