7話 トモダチ
今、俺達3人はゆっくりと中庭を歩いている。俺と石澤と恭子だ。
なぜか恭子も私も行くと言い出し着いてきたのだ。
そう。俺が石澤のにっこりスマイルをスルーした理由を話そう。
俺はあまり他人に深く関わりたく無いんだ。というより独りでいることが好きなのである。一匹狼であるのもこの理由だ。
もうこの際だ。はっきり言おう。
俺の名前は 夢島 神
顔 普通。
運動 普通。
成績 普通より少し上。
妹 大好き
性格 独りでいることが好き、妹の事になると殺意の覇気を纏う
職業 高校生、夢士(センス○)
これが周りから見た俺だ。
ふぅー。なんか肩の力がどっと抜けた気がしたよ。
今さらながらあんな自己紹介したことを後悔してるぜ。
急に恭子が「っあ!」と言い出す。「芽亜ちゃーん!久しぶり~」
そう言いながら愛しの妹へ抱きつく。
それに答える様に芽亜も恭子ちゃん久しぶり~と抱きつく。
恭子じゃなかったら殺してるぜ。
芽亜はすぐ俺に気がついた
「なんだ、お兄ちゃんも一緒にいたの??」
と俺の方を向き爆絶スマイル。
はぁ~。お兄ちゃんもう脳汁出過ぎてとろけそうだよ。
すると俺の脳内幸せタイムに水を指すように石澤がしゃべった。
「お兄ちゃん!?じん君の妹なのかい?」
少し驚いた様子で言ってきた。
まぁ驚くのも無理はない。
俺と妹では月とスッポンだ。いや、油と水か。いや、ダイヤとゴミくらい違うであろう。
妹はそれほど可愛いのだ。
「あら?こちらの方は?」芽亜が話す
「初めまして。石澤 浩と言います。今日転校してきたばかりで
じん君に学校の案内を頼んだんだ。よろしくね」と殺人スマイルを妹に向けて放ちやがった。悪気はないのに。美男子とは罪な生き物だな。
だが芽亜は目の色1つ変えず。深々と頭を下げ
「兄をよろしくお願いします。」と挨拶をして友達と校舎へ戻って行った。
「芽亜ちゃんしっかりしてるね~。あんたも見習いなさい?」
なんて恭子は言ってくるが自慢の妹だ。俺より優れているが何ら問題はない!寧ろ微笑ましいなんて思ってる馬鹿な俺がいた。
ちなみにまだ誰も俺のシスコンには気付いていない。
俺はかなりのポーカーフェイスな用だ。
時間は過ぎ今は放課後だ。もちろん俺は部活なんてやっていない。
他の生徒達が声を出しながらストレッチしている脇を通り抜け正門に向かう。
すると早い足音が俺に近づいてくる。「じん君!!じん君!!大変だ!」
え?え?と少し焦る俺。どうしの?と聞くと思わぬ答えが帰ってきた。石澤はかなり息を切らしている。相当全力で走ったんだろう。
「芽亜ちゃんが。第2体育館の裏で男子生徒に囲まれてた!!探し回ったよ!!とにかく急いで!あれ?」そこに俺はもういなかった。
後に走ってる時の俺を見た生徒はこう話していた。あの時の俺の目は恐ろしく狂っていたと。
体育館裏に着くとそこには4人の男が今にも芽亜の体に触れそうだった。その瞬間。俺の意識が飛んだ。
…………
我に帰った時には血だらけになって倒れた四人と俺の足にすがり付いてないている芽亜だった。
「お兄ちゃ‥ん。お兄ちゃん悪くないのに。ごめんなさい。ごめんなさい。」自分が襲われそうになったにも関わらず俺の心配か。なんて優しい妹なのだろう。
「おい!こっちだ!!」そんな声が聞こえてきた。
「おい。なんだこれは。急いで救急車呼べー!!」担任が吠えている。
「夢島! 貴様は退学だ‼」
あー。まじか。いや、当たり前か。
気付いたら周りにはたくさんの野次馬がいた。
「待って下さい!」石澤だ。
何だお前は?誰かがそう言った。
「僕は今日転校してきた石澤と言います。部活見学をしたくて色々見て回っていたら。夢島 君の妹がこの四人の生徒に囲まれて体育館の裏に行くのが見えました。これはまずいと思って夢島君を呼んだんです。」
「確かにこんな風になるとは想像していませんでしたけど。犯罪行為を行おうとしたこの四人が明らかに悪い!!退学にするのはこの人達じゃないんですか?」
その後、石澤と芽亜、なぜか恭子達の必死の弁解のお陰で俺は4週間の停学で済んだ。
これをきっかけに俺と妹を助けてくれた石澤とは毎日一緒にいるようになったのである。
7話 おわり