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プロローグ
荒れ果てた大地。空は赤黒く染まり、禍々しい雰囲気が一面を覆い尽くしている。
そんな荒野の崖の上、二人の少年少女がいた。
「世界が違おうとも、争いは無くならんというわけか」
「兄様・・・・・・。本当に良いのですか?」
少女の問いかけに目を閉じ思考する少年。風が再び吹いたのち、ゆっくりと目を開け口を開く。
その表情はどこか重々しく、覚悟を決めたものだった。
「終わらせる。私が、この争いを」
「兄様が望むのならばどこまでもついて行きます」
間もなく即答する少女に対し笑みを浮かべる少年。少女も同じ笑みで答える。
二人の間にこれ以上の言葉はいらなかった。
少年に少女は寄り添い、二人は遥か先へと視線を向ける。
その先にあるのは、そこに似合わぬ程の輝きを放つ木に覆われた神々しい神殿。
迷わぬ歩みで神殿へと向かう。
ーー楽園の扉が、開く。
二人は扉を潜ると激しい光に包まれてその姿を消した。