奇妙な一行 その6
「だから、殺し合おう!」
シュバルツ、シロが同時に声を上げる。
「嫌よ」
意外にも真っ先に否定したのはクリスだった。
「この娘、どう見ても私と同じくらいだし……それに同じ世界から転生してきたんじゃないの……?」
クリスは七海の格好を見て、自分と同じ世界の人間だと確信した。七海はまだ学生服を着ていた。
「ク、クリスちゃんは……日本から来たんですか?」
同じ言葉で喋ってっている……ただ、それだけの理由だったが七海は同じ国から来たのかと感じた。
だが、クリスは金髪であり、透き通るような白い肌は日本人には見えない。
「ええ。あなたと同じ——日本人よ」
クリスはにっこりと笑った。
——こんな整った顔立ちの日本人もいるもんなんだ……ハーフなのかな?
「あ、はい。よ、宜しくお願いします」
ペコペコと七海が頭をさげる。クリスはそれを整った笑顔で受けた。
「ちょ、ちょっと七海!やめなよ、相手は聖王なんだよ!?」
「ふふん、既ににして王者の風格が漂っているね」
黒いインストーラーが掴まれたまま主人を諌めると、白いインストーラーは得意げだった。
「なんでアンタが得意になってるのよ?」
クリスは腕の中の白い小さな頭をギリギリと締め上げる。シロは声にならない叫びをあげた。
「大体……なんで聖王と魔王、人間と魔族が戦わなくっちゃならないのよ……」
そう、クリスが呟く。それを受けて答えたのは反対側のシュバルツだ。
「そんなの決まってるじゃないか——“そう、決まっている”からだよ」
シュバルツの声のトーンは冷ややかであり、淡々としていた。
「君たちは農作物を荒らす害獣を駆除することをためらうのかい?
君たちは綺麗な花を枯らしてしまう害虫を駆除することをためらうのかい?
——つまり、そういうことさ
魔族にとって、人間とはそういう存在。
君たちにとっての魔族もそうなんだろう——?」
聖王を前に魔王の教育係は饒舌だった。
「だから、決まってるんだ。
君たちと僕ら魔族が戦うことはね。」
——ああ、まただ……
コイツもシロと同じことを言うんだ……
当然よね……私と、魔王を戦わせたくて仕方ないのだもの……
……どうしてかな……こんなに胸がざわつくの……
イライラする。
鋭い視線がシュバルツに送られる。
馬車の中に静けさが戻ると、車輪がガタガタ鳴るのが強く感じられた。
そして、その静けさを一人の少女の言葉が破る。
「そ、そんなの間違ってるよ!」
全員の視線が一点に注がれる。そこにあったのはうつむき、精一杯の力で叫んだ七海の姿だった。
連休中はいろんな方から読んでいただけたようで嬉しかったです。
ストックがなくなってしまいますが、ストックがないからこそ書こう!ってことで、最新話を投下します。




