奇妙な一行 その2
「とにかく、だ」
状況を整理しよう。ホークの提案に全員が賛同する。
「あ、あの……まずは自己紹介をするっていうのは?」
七海が恐る恐る提案した。
ここにいる全員の共通点——それはなんらかの形でホークさんと繋がっているということ……
シグナスはともかく、ステラさんもホークさんとは知り合いのようだし……
何より、目の前のクリスさんとの関係が気になる。
「そうだな。じゃぁ、まずは俺から」
七海の言葉を受けてホークが口火を切る。
全員の接点であるのに自己紹介だなんて——七海は違和感を覚えた。
「俺はホーク。聖王国第十辺境師団、特別旅団所属、第一大隊大隊長。
傭兵でもあるんだが……一応、階級は少佐だ。」
師団だとか隊とか全然わからないけど、とりあえずホークさんは傭兵で——
七海の脳内メモ帳にホークの情報が書き込まれていく。
「ついでに、今日勇者になった」
ついでに、勇者——と……
え?
「えーっ!?」
七海、シグナス、そしてステラまでもが驚きのあまり声を上げる。
一方で、向かい側のクリスは涼しい顔をしていた。
「……ホーク、ついに頭に虫が湧いた?」
シグナスが気の毒そうにホークにツッコミを入れる。
「お前なぁ……。まぁ、俺自身が一番信じられないんだから無理もないが……」
苦笑しながらら頭をかくと、ゆっくりとクリスの横に腰を下ろした。
「だが、もっと信じられないことに、このクリスは聖王だ」
「!?」
三人が固まる。
ステラ、シグナス共に七海をかばうようにして身構えた。
「クリスよ。なんかよく分からないけど……こちらの世界に転生したとかで聖王になったわ」
クリスはサバサバと簡潔に自己紹介を終える。
——えっと、聖王ってことは人間の王様で……人間をまとめて魔族と戦う……んだよね。
ってことは、魔王である私の敵ってことなのかな……
「これでわかったかしら?ホークは私と契約した勇者……つまり、下僕よ」
「勇者イコール下僕はおかしいだろ」
抗議を無視してクリスは身を乗り出して七海に問いかける。
「アタシは名乗ったわよ。あなたは一体何者なの?」
「わ、私は——私は——魔王ですっ!」
七海の思いがけないカミングアウトにその場は凍りついた。




