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聖都燃ゆ その5

「何だあれは!?」

 ベルトランが驚きの声を上げる。

「も、森……でしょうか?」

 ジャンの答えにベルトランは失望の色を隠せなかった。

「……お前はもっとマシなことが言えないのか。」

「しかし、あれは森ではないのですか?」


 ベルトランとジャンは北街区の手前で足止めを食っていた。聖教騎士団が北街区への聖王騎士団の進入を拒んでいたためである。

「貴様ら、こんな時に何を言っているんだ!」

「これはこれは、小ルクレール公。小さき貴人は聖都のルールをまだご存じないようですね。」

 ベルトランの怒号も街区の門を守る衛兵たちから鼻であしらわれる。

「貴様、俺は聖都の守備隊長だぞ!?口の聞き方に……」

「か、閣下、お止めください!」

 飛びかかろうとするベルトランをジャンが必死に押さえる。

「許可無く教会領に立ち入れば閣下の立場が危うくなります!!」

「貴様っ、どっちの味方だ!?俺を止める前にこの不遜な衛兵をボコるのがお前の仕事だろう!」

「閣下の身を守るのが私の勤めです!」


 主従が押し問答をしている時にそれは起こった。

 強烈な光とともに教会領の端、修道院がある方角に突如、大木が雨後の筍のようににょきにょきと生え出したのである。


「あれは森ですよ!」

 ジャンが自信ありげに断言する。

「……いや、確かにそうだが……俺が知りたいのは、なぜ突然あんなところに森が出現するのだ?」

「さあ?」

 知るわけがない。それも自信ありげにジャンが答える。

「……駄目だ……お前と話していると俺の頭がおかしいのかと思えてくる……」

 ベルトランが頭を抱える一方で、彼らの行く手を阻んでいた衛兵たちが槍を落とし、片膝をついてお祈りを始めていた。


「お、おい、貴様らどうした?」

「聖王様だ!聖王様が再臨されたのだ!」

 一人の衛兵が叫ぶと、周囲を取り囲んでいた衛兵たちもそれに倣う。

「陛下っ!お帰りなさいませ、陛下!!」

 甲冑の上から白地に青い十字が大きく描かれた(ローブ)を着込んだ兵士たちは一様に天を仰ぐ。

 今だ降下猟兵の攻撃続く聖都の一角で、祈りと歓声が沸き上がっていた。


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